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あなたの古着が大変身! 世界の子どもに届けられるハッピーなぬいぐるみ

ぬいぐるみを受け取った南アフリカの子どもたち

ぬいぐるみを受け取った南アフリカの子どもたち

もう着ることもない服だけど、もったいなくて捨てられず、タンスの肥やしになっている…なんてことはありませんか? あなたの古着が、パッチワークの可愛らしいぬいぐるみに大変身します。プロジェクト14年目の今年も、ウサギのぬいぐるみを皆さんから大募集中! あなたも参加してみませんか?

ハッピートイズプロジェクトは、一般の方々に、思い出の布やハギレを使ってぬいぐるみを作ってもらい、クリスマスに神戸と東京でツリーに飾るというプロジェクト。その後、ぬいぐるみは提携先のNPOなどを通じて、 国内外の子どもの施設や病院、難民キャンプの子どもたちへとプレゼントされます。

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このプロジェクトが始まったのは1997年、阪神大震災から2年後のこと。神戸を拠点とするダイレクトマーケティングの会社フェリシモは、地元神戸のために、何かできることはないかを考えていました。そのひとつの答えとして始まったのが、このハッピートイズプロジェクト。フェリシモのお客さんに協力を仰いで、被災した子どもたちに笑顔を届けたいという思いからのスタートでした。

開始当初は布を集めるところから始まりました。「お家に眠っている布を送ってください」と呼びかけたところ、3万枚もの布が寄せられます。その布を使って神戸のクリスマスにぬいぐるみを飾ろうということで、今度はぬいぐるみの作り手を募集したところ、数多くの応募があり、最終的に1100体ものクマのぬいぐるみが誕生しました。神戸の大きなクリスマスツリーに飾られたクマたちは、神戸の人々に笑顔をもたらしたのです。

2010年のあみぐるみキット

2010年のあみぐるみキット

それから3年後の2000年からは、布を集めるのではなく、「家に眠っている布で作ってもらったぬいぐるみを、世界中の子どもたちに広げていこう」という主旨のもと、本プロジェクトは続いていきます。

中国やイラン、インドネシア、アフガニスタン、南アフリカなどにぬいぐるみを送る一方で、展示する場所も、神戸のみでなく、東京、ニューヨーク、北京、香港など、活動の場を広げて多くの人に知られるようになっていきました。

ぬいぐるみのテーマも、クマから始まり、犬、キリン、ゾウ、カメ、コアラ・・・と種類も増え、布のみではなく、毛糸を使ったあみぐるみも始めるなど、展開は広がってきました。多い年には4800体ものぬいぐるみの送付があり、プロジェクトも、今年で14年目を迎えます。

寄贈先のカンボジアの子どもたち

寄贈先のカンボジアの子どもたち

寄贈先のパレスチナの子どもたち

寄贈先のパレスチナの子どもたち

今年のテーマは「ハッピーうさちゃん」!長い耳につぶらな瞳のうさぎは、子どもから大人まで皆に愛されるキャラクター。これまでのところ、型紙の売れ行きは好調です。

すでに送られてきているうさちゃんのぬいぐるみ

すでに送られてきているうさちゃんのぬいぐるみ

利益を追求するのが当たり前の企業にとって、こういった社会的な取り組みを継続して行うことはなかなか難しいもの。特に、昨今のような厳しい経済状況が続く中ではなおさらのことです。それでもこのプロジェクトが続いている背景を、フェリシモのコーポレートコミュニケーショングループ関谷さんにお伺いしました。

フェリシモでは、常に事業性、社会性、独創性の3つをバランスよく考えることを大切にしてきました。事業性とは一般の企業と同じように利益を追求すること。社会性とは、社会にとっての幸せ、社会にとってよいものを生み出すこと。そして最後の独創性は、それらのことを、どんな新しい形でお客様に提案していくかを考えること、です。

このどれか一つが突出していても、どれかが欠けていればだめだというフェリシモの考え方が根底にあって、このプロジェクトを続けていけるのだと思います。例えば、始めた当初は、ぬいぐるみの型紙を無料で提供して皆さんにつくってもらっていましたが、ぬいぐるみの輸送費などをフェリシモがすべて負担するとなると、なかなか長続きさせるのが難しかったのです。このプロジェクトを続けていくために、今は型紙や、布をセットにしたキットを販売するようにして、その売上を輸送費などに充てています。

2010年のパッチワーク材料キット

2010年のパッチワーク材料キット

今は、自分のつくったぬいぐるみが、どこの国の誰に渡ったのかまでは残念ながら知ることができません。けれど、世界から届く写真や手紙からは、ぬいぐるみを抱えた子どもたちが笑顔に満ち溢れている様子が伝わってきます。以前フェリシモのお客様だった一人の女性が、ホンジュラスという国で、たまたまこのぬいぐるみを子どもたちに配る場面に出くわしたのだとか。日本にいてまったく知らなかった試みを、海外で目の当たりにした際の感動の手紙が届いたそうです。

今後は、ぬいぐるみをつくってくださる方々を、海外にも増やしていきたいそう。すでに参加キットは、数年前から香港や中国、シンガポール、台湾でも販売され、海外でもぬいぐるみづくりのワークショップが行われています。

時間と手間をかけてつくった可愛いぬいぐるみが完成したら、なかなか手放したくなりそうな気もしますが、ぜひあなたも、クローゼットに眠っている古着でぬいぐるみをつくってみませんか?

あなたも、古着でぬいぐるみをつくってみませんか?