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【インタビュー】夜な夜な自転車で都内を駆け回る彼らは誰!?「Night Pedal Cruising」の清田さんに聞く!

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Night Pedal Cruising vol.15(2009/10/29)

ロード、マウンテン、ママチャリ、ありとあらゆるサイクリストが毎月最終木曜日に都内をサイクリングするイベントを知っているだろうか?それも夜に。老いも若きも、男性も女性も、毎回50人以上のアーバンサイクリストが参加するこのイベント。はじまってそろそろ2年が経つという。

そんな、都心直下型ノンジャンル系お気楽マンスリーグループライド「Night Pedal Cruising@NPC_TDF)」(以下NPC)を主催する「TOKYO DESIGN FLOW@TokyoDesignFlow)」(運営: Media Surf Communications)のNPC担当、清田さん(@nkdf)にお話を伺ってきました。

── 次回(6/24・Thu)で23回目の開催、期間でほぼ2年を迎えますね。感想はいかがですか?

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インタビューに答える清田さん(2010/6/14)

だんだんいい感じのフロウになってきている気がしますね。いわゆる、非日常的な「イベント」ではなく、日常の延長線上でフラっと仲間が集まって、自然な感じでグループライドを楽しむ空気が出てきたような気がします。いろんな種類の自転車、初心者も上級者も集まってきます。最近は参加者の半分くらいが初参加のひとで、敷居も低くて親しみやすいグループライドなのかもしれませんね。

── そもそも、なぜこの「Night Pedal Cruising」をはじめようと思ったんですか?

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もともと、僕たちメディアサーフコミュニケーションズでは「TOKYO DESIGN FLOW」というプロジェクトの一環として「Last Thursday」というイベントを開催していて、そのイベントから派生するかたちで夜の自転車グループライド、「Night Pedal Cruising」が始まりました。「TOKYO DESIGN FLOW」の周りには自転車好きな人が多かったし、今後の都市生活を考えると自転車は外せない重要なテーマだよね、というのがキッカケです。

── NPCのサイトを見ると、「自転車にコンセプトはいらない」とあるのですが、それはどういった意図なんですか?

たとえば、近所をぶらっと散歩したり、公園でのんびりしたりという時にいちいちコンセプトを考えたりしませんよね。ただ単純に、「自転車で走るのは気持ちがいい」、「都心を走るなら夜の方がもっと気持ちがいい」、「仲間で走るとさらに楽しい」。強いて言えば、コンセプトっぽいものはそんな感じです。それに共感してくれたひとが自然に集まって、毎月いっしょに走れればいいなと考えています。

── そんなNPCを通して発信したいメッセージのようなものはあるんですか?

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ママチャリが表参道を駆け抜ける!(2008/10/30)

東京都心での移動を考えると車よりも自転車の方が早かったりするわけだし、自転車のほうがもっと気楽に豊かな体験ができる

日常を楽しむというか、ちょっとのコトでもいつもの生活を楽しくできるというか、そういうことが伝わればいいなと思います。ピカピカの自動車でネオンきらめく夜の東京をかっ飛ばす、というかっこ良さも理解できますが、それが共感を得にくい社会になってきています。ローンに縛られ、ガソリン価格の上下に一喜一憂しながら自動車だけに乗り続けるよりも、東京都心での移動を考えると車よりも自転車の方が早かったりするわけだし、自転車のほうがもっと気楽に豊かな体験ができるということが伝わればと思います。

──「自転車が集団で走ったら危ない」なんて批判も少なからずあると思うのですが、それについては?

そもそも「自動車が集団で走っている」いまの状況が一番危ない。年間何千人も自動車の交通事故で死んでる人がいます。ただ、その状況が日常となりスタンダードになっただけ。

たしかに、自転車が集団で走ったらすごく危ないです。危ないとわかった上で乗っています。でも、そもそも「自動車が集団で走っている」いまの状況が一番危ない。年間何千人も自動車の交通事故で死んでる人がいます。ただ、その状況が日常となりスタンダードになっただけ。100年以上前に自動車が走り始めた当時は、いまのこの状況をだれも予想していなかったはずです。同じように、道路上で自転車に乗るひとが今後増えて行けば、行政も対応を考えざるを得ないし、環境も変わっていくはず。自転車が走りやすい環境が整備されていけば、いま危ないとされていることもだんだん危なくなくなるのではないかと思っています。「危ない」というのは簡単ですが、誰が危ないのか? 何で危ないのか? まず、「危ない」をちゃんと考えたいですね。NPCはあくまでも、そういう意識を持った自立した自転車乗り達が集まり、同じ時間に同じコースを個人の責任で走っている、というスタンスを取っています。

── これまで、毎回テーマごとに変わっていたコースが固定化されるみたいですね。

コースがある程度決まっていたほうが、途中参加しやすく、より多くの人を巻き込めるかなと思って試しています。また、定期的に同じコースでぼくらのグループライドが目撃されることによって街の中での自転車の存在をよりアピールすることが出来るのではというのが意図です。

── 今後、直近で何か派生していくプロジェクトの計画はありますか?

NPC自体のプロジェクトではありませんが、今年の8月に六本木ミッドタウン内のデザインハブで「自転車生活」をテーマに開催される展示会とイベントにメディアサーフが企画と運営で関わっています。自転車関連の活動やコミュニティは現状、自転車の車種や主催者の思惑によって縦割り化、たこつぼ化が進んでいるように感じられます。そういうものをとりはらって、「自転車」というおおきな共通項でより広く多くの人に参加してもらって、自転車生活のすばらしさを伝えられる場になればと思っています。

── いま注目している自転車周辺のムーブメントや流れはありますか?

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トールバイクにまたがり夜道を颯爽と駆け抜ける清田さん

いろいろありますが、NPCにも協力していただいている、R自転車集団(@rbike)さんが開催しているトールバイクワークショップがおもしろいです。もともと、ニューヨークでトールバイクなどの改造自転車でめちゃくちゃなことをやる「Bike Kill」(ググってみて!)というイベントがあって、そこのメンバーの「Black Label Bike Club」が来日したときにR自転車さんがその製造技術を伝授されて始まったものです。いま、NPCの仲間が乗っているトールバイクが3台あります。街の景色が変わって見えますよ。慣れれば安全に乗る事ができます。本質的な話ではないですが、道交法上でも取り締まりの対象外なのでおまわりさんに止められることもありません。

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Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by anthonygrimley

あと、個人的にはママチャリ、特に前後に小さい子供を載せて3人乗りで走るパワフルなママさん達の姿に人間の力強さを感じます。生活の中で身体を使うことを忘れかけた現代人への強烈なカウンターパンチですよね。最近は電動アシスト自転車も普及しているので、そんなママさんたちの生活もだいぶ楽になったのではとホッとしています。

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三輪車で野菜を運ぶMedia Surf Communicationsの田中くん

そのほかにも、自転車でお店を開いてお菓子や雑貨などを売るひと達にも注目しています。ヨーロッパやアジアの街角でよく見られる風景なのですが、東京でもそういう場面が増えるのは街の活気に繋がったり、働き方の選択肢が増えるという意味でとてもよいことだと思います。NPCのメンバーでもある三輪自転車生活社さんが彼らを三輪車という自転車を通じてバックアップする活動をなさっていて共感します。

── それでは最後に、「こうなればいいな」という将来像があったら教えてください!

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san francisco critical mass june 2005 castro and market / Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Charles Haynes

・Night Pedal Cruisingについて

主義主張を通すために頭を固くして走るのではなく、水が流れるように自然なかんじで、平和な感じで続いていって、賛同してくれる人も増えていけばいいなと思います。

アメリカのサンフランシスコで始まった自転車の集団走行「クリティカルマス」という現象、社会運動がありますが、NPCのスタート当初は「夜のクリティカルマス」のようなものになるのかなと思っていました。でも今は、主義主張を通すために頭を固くして走るのではなく、水が流れるように自然なかんじで、平和な感じで続いていって、賛同してくれる人も増えていけばいいなと思います。その結果、自転車をとりまく環境が変わってくればもっといいですね。

・自転車の利用方法、自転車との付き合い方について

モノへの愛情が大事だなと思います。自分で手を動かして修理したりカスタムしたり。そうすれば愛情が湧いてもっと自転車を大事にするし、結果的に放置自転車なども減ると思います。

・東京(日本)の交通事情について

道路上でも法律上でもグレーな部分が多いので、そういうものに頼らずに自分の意識を高めて安全に乗る事がいまは大事だなあと思います。

自転車は交通手段の中では車と歩行者の間にある存在なので、加害者、被害者、両方の立場で想像力を働かせながら自転車に乗らなければいけないなと思います。道路上でも法律上でもグレーな部分が多いので、そういうものに頼らずに自分の意識を高めて安全に乗る事がいまは大事だなあと思います。不満を言ってても楽しくないので、逆にそういうグレーな部分を楽しむぐらいの気持ちで自転車に乗れるとよいですね。

── ありがとうございました!僕も次回は参加したいと思います!

自らのことを「都心直下型ノンジャンル系お気楽マンスリーグループライド」と呼ぶ彼ら。それを象徴するかのようなオーブンマインドなインタビューとなりました。行きつけのカフェに寄るように、フラっと参加できるのがこのイベントの醍醐味。次回の開催は6/24(木)の夜。「参加するほどの経験がないから」、「いい自転車を持っていないから」、そんなことが気になるひとほど、友達を誘って(もちろんひとりでも!)一度参加してみてはいかが?

次回の開催は6/24(木)!@NPC_TDFをフォローして開催情報をチェックしよう!