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アキバがアートで47都道府県とつながる! 3331 Arts Chiyoda

学校の趣をそのままにリノベーションされた3331 Arts Chiyoda

グラウンドは公園へと変わり、入口前は芝生に

近年の少子化により、日本中で廃校が増え続けている。今、その廃校を再利用し、新たな施設として生まれ変わらせる取り組みが関心を集めている。デザイン事務所や建築事務所、広告・企画会社などが入る世田谷区の「世田谷ものづくり学校」(旧池尻中学校)や吉本興業が入居し、「よしもとクリエイティブカレッジ」も併設される旧四谷第五小学校などが成功事例として活躍中だ。どちらも区と運営団体が賃貸契約を結んでの試みだ。

そんななか、グランドオープンを控え、現在注目を集めているのが「3331 Arts Chiyoda」である。同施設は2004年に閉校となった旧練成中学校を修復し、現代美術を軸とした大型アートセンターとして生まれ変わる。

すでにプレオープンし、本格的なオープンを2010年6月26日にひかえている。校舎の再利用が決まった2006年に行なわれた千代田区による施設運営公募・審査から選出され運営を手がけるのは、社会派アーティストとして知られる東京芸術大学の中村政人准教授が率いる運営団体。同団体の前身である「アーティスト・イニシアティブ・コマンドN」は、過去10年にわたり70以上のアートプロジェクト、300人以上のアーティストとコラボレーションを展開してきた。その繋がりを活かして、施設を盛り上げていく。

かつて教室だった空間には、次世代を担うアーティストたちがすでに入居し、それぞれの活動を始めている。玄関や廊下部分はギャラリーへと変身し、これからは各入居者が中心となってワークショップや作品展、イベントなどを精力的に展開していく計画だ。さまざまなアイデンティティを持った団体が同居するその様子は、さながらアートの“航海船”のよう。

そこで気になるのが、この“航海船”の目的地。その航海計画路はというと、3331を拠点として生まれる地域発の社会的なアートコミュニティーの創出、そしてそのコミュニティーの先には、国内47都道府県と双方向に繋がるアートネットワーク、さらには東アジアのアート拠点との繋がりの拡大だ。

左:「江戸一本締め」を文字表記化してつくられたロゴデザインは、ASYLの佐藤直樹氏が担当。右:1Fには真っ白なギャラリーが誕生。

左:「江戸一本締め」を文字表記化してつくられたロゴデザインは、ASYLの佐藤直樹氏が担当。右:1Fには真っ白なギャラリーが誕生。

現在までにプレオープン企画として公開となった秋田と東京の2拠点で新しいコミュニティを生み出す市民芸術活動「ゼロダテ アートプロジェクト」(秋田県大館市)の『ゼロダテ ショッピングセンター』(4/11まで)やいらなくなった子どもたちのおもちゃを交換する「かえっこバザール」で集まった素材でつくられた恐竜のオジェを展示した『藤浩志VPC発Kaekko経由Toys Paradise』(4/11まで)も地方や秋葉原周辺地域との繋がりを生み出す展示となっている。

コミュニティスペース、屋上、体育館などは一般でも利用可能なスペースとなり、これからもアートを中心としたさまざまな活動が発生することで、それぞれが影響し合う創造の場としていく。これから生まれていくであろう参加型のコミュニティー。そして、新しい発信力を持った秋葉原の姿に注目したい。

最後に、オープン前のイベントとして注目したい展示をひとつご紹介。

佐々木耕成展『全肯定/OK.PERFECT.YES.』(4/23から)

佐々木耕成氏 撮影:Ujin Matsuo

佐々木耕成氏 撮影:Ujin Matsuo

1960年代に前衛芸術運動の最前線で活躍し、70年代にはニューヨークのカウンターカルチャーの只中で芸術思想を練り上げてきたアーティストである佐々木氏。日本への帰国後は美術界との関係を一切絶ってきたが、近年、群馬県の赤城山麓に自らの手で建てたアトリエで活動を再開。現在なんと82歳。

40年ぶりの再デビューとなる本展では巨大な抽象画約50点が初公開となり、「私は否定というものを一つの媒介物にしない。全体の存在を肯定する考え方をする」「むしろ真実でないものはひとつもないという考え方。言葉で言えば真っ赤な嘘ではなく真実の嘘」と語る佐々木の制作背景にある「全肯定」の思想を浮き彫りにしていく。

その他にも佐々木氏所有のスクラップブックから60年代当時の資料、佐々木氏の近年の制作風景を納めた記録映像、佐々木氏が活動していた60年代のニューヨークの街並や佐々木の仲間たちとのコミューンでの暮らしをおさめた16mmフィルムなどのドキュメント映像も公開となる。

佐々木氏制作風景

佐々木氏制作風景

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