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音力発電の技術が実現する“分散型発電”。その可能性を探る!

振動で発電する発電床(R)

振動で発電する発電床(R)

振動といった日常のいたるところに存在するものを使った発電ビジネスに取り組む株式会社音力発電。駅の改札の床や人通りの多い道路など、人の通る振動で電気を起こす「発電床(R)」や、人の声や音で発電する「音声発電機(TM)」など、ユニークな取り組みでご存知の方も多いだろう。

当たり前のように存在する音や振動を“これまで捨てられていたエネルギー”として見出し、電力として有効活用しようという発想は再生可能な新しい発電インフラを生み出す可能性を感じさせてくれる。

だが、他にも注目すべきポイントはまだまだあるようだ。様々な社会的意義と可能性を秘めた音力発電のビジネスを詳しく探ってみよう。

音力発電を語る上で重要なキーワードは“分散型発電”であることだろう。これは、電気の利用場所で発電する仕組みのことで、言わば「地産地消」の電力版。その場で利用するため、送電や変電のロスが少なく、廃熱を利用するコージェネレーションも容易とあって、注目される発電形態だ。小規模での発電や供給が不安定になりやすい自然エネルギーに威力を発揮するのも特徴のひとつといえる。

音力発電の研究する「発電床(R)」や「音声発電機(TM)」は、駅の改札の振動によりそのICカードを読み取る電力を賄ったり、会話の音声で携帯電話を充電するといった分散型発電モデルを実現するのに非常に有効な技術となり得るのだ。

しかも、その発想がユニークである上に“無理がない”ところにも注目したい。以前ご紹介したソーラーパネル付き携帯電話の事例などでは、利用者が意識的にその充電環境を用意せねばならないのが少しネックに感じられた。しかし、携帯電話という機器と必ず一緒に存在する「音」を用いた発電であれば、その必然性は十分。携帯電話側からではなく、エネルギー源から考え出された発電システムは、非常に的を射ていると言えるだろう。

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会話の音声で携帯電話を充電するなんてことも「音声発電機(TM)」の技術なら可能に…

さらに分散型発電の意義として大きな可能性があるのは、ユビキタス電源としての利用だ。ユビキタス社会においては、あらゆる場所に情報通信機器が存在することになるが、その電源確保は大きな課題となるだろう。たとえば、音力発電の振動力発電機を靴底に搭載するなどの方法で蓄電しておけば、様々な小型通信機器に利用することも可能となる。先ほどの携帯電話の例もそうだが、自分のエネルギーは自分の行動でまかなう、なんていう未来も見えてくるようだ。

また、新たな未来像としては、騒音、振動、防災への利用の可能性にも注目。音や振動を利用して発電するということは、当然外へ発せられるエネルギーは減少する。それが騒音や振動の対策になるという、まさに一石二鳥の利用法。具体例としては、防音壁に「音声発電機(TM)」を内蔵して防音+発電を実現し、録音スタジオの電力の一部をまかなう用途などが考えられる。また、振動は人や物が移動したときに発するものなので、その時の発電がセンサーとしての役割を果たすこともできる。これは防犯システムや異常感知システムなどへの利用が可能だろう。

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踊って発電するダンスイベント「発電ナイト

多数報道された渋谷ハチ公前広場における発電床(R)の実験(2008年12月)や日本橋における参加型イルミネーション(2008年12月)、ダンスイベント「発電ナイト」といった派手な話題の多い音力発電の技術だが、ただの話題先行ではなく、その社会的意義や可能性はまだまだ広がっていくように思う。現在は、道路や鉄道等での利用による、大規模発電の計画も着々と進んでいるようだ。

音力発電の技術は、現在イベントなどを中心にお目にかかれる機会も多くなってきている。この技術が実用化されたとき、再生可能な分散型発電エネルギーという未来のエネルギー像への大きな道が開けることは間違いない。新エネルギーのけん引役として、音力発電のビジネスの今後に期待しよう!

音力発電について調べてみよう。