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「森林ノ牧場 那須」もオープン間近。アミタが創造する森林ビジネスに注目!

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森の中で牛と遭遇!?私たちの知る牛の住み家といえば牧場。この光景に違和感を覚えてしまう方も多いだろう。

次々と新しいグリーンビジネスを創出するアミタ株式会社の今最もホットなキーワードは「森林」。この写真は森林で牛を放牧しようという大胆な発想から生まれた「森林ノ牧場」の様子だ。アミタは森林に何を見出したのか?何を生み出そうとしているのか?その真相を探ってみよう。

森林ノ牧場」とは、その名のとおり森に牛を自然放牧する牧場のこと。365日24時間、牛を自然放牧させながら森林を管理し、その乳牛から搾った「森林ノ牛乳」や「森林ノアイス」といった商品の販売で収益を得る新しい酪農ビジネスだ。

でもなぜ、森林なのか?

アミタが目をつけたのは木材価格の低迷や森林従事者の高齢化などが原因となり、放置されてしまった森林。そこに牛を放牧することで森林を管理する「森林酪農」という手法を取り入れた新しいビジネスモデルの実践を試みる場として、「森林ノ牧場」事業は始まった。放置森林の問題は全国に広まっており、大阪府や香川県では自治体が森林整備方針を出すなど、その対策が急務となっている。そんな現状にある森林に、林業以外の新たな価値を生み出そうと考えたのだ。

まさに逆転の発想。お金をかけて森林整備をするのではなく、「森林ノ牧場」では、“自然に無駄なものはない”という考え方で、バイオマス発電プラント、工房、牛舎といった施設を用いて、豊かな自然の循環モデルを構築した。地域住民やコンセプトに共感したサポーターも巻き込み、ビジネスとして成立させながら、荒廃していた森林に命を呼び戻したのだ。

greenz/グリーンズ 森林ノ牧場循環図
森林ノ牧場 丹後」における自然の循環モデル

森林で牛たちはどんな暮らしをしているのだろうか?こちらの写真は2007年末にオープンした「森林ノ牧場 丹後」に放牧されている牛の様子だ。

greenz/グリーンズ 丹後の牛

木陰でのんびりと、気持ちよさそうにくつろぐ牛の姿。こうやって見ると、牛と森林という組み合わせも違和感なく見えてくるから不思議だ。ここでは、草木の葉っぱを食糧とし、好きな量だけ食べさせる。牛は好きなところで散歩し、好きなところで寝る。そして、赤ちゃんも自然交配によって生まれる。「牛との約束」として掲げられたこれらの環境により、牛は、本来ある自然そのままの姿で生きている。人間に管理され、「育てられている」のではなく、自ら「生きている」という言葉がぴったりと当てはまる牛たちの姿は、どこかたくましく見える。

健康的に育った母体から生み出されるミルクはどんな味だろう。商品として販売されている「森林ノ牛乳」は、様々な野生の草を食べているため、わずかに草色がかった色をしているのだとか!自然そのものの豊かな味わいを存分に堪能できることだろう。

森林に牛を放牧することのメリットは他にもある。牛たちは樹々の下の生い繁った草を食べ、倒木や枯枝などを蹄でならしてくれる。すると、そこに道ができ、森林の管理をする林業の人が入りやすくなるのだ。なんだか、ヒトとウシがお互いを認め合って心がつながったような不思議な感覚。森林の中で生まれる“つながり”は、アミタが推し進める“関係性を事業にする”ことを実証しているようだ。

7月25日には、待望の第2弾「森林ノ牧場 那須」が満を持してオープン。こちらには、カフェやキャンプエリアなどの施設も予定されており、今後観光地や教育の場としてのビジネス展開も楽しみだ。オープン当日はアイスの試食など様々なイベントも用意されているようなので那須まで足を運んでみるのもよいだろう。詳細は森林ノ牧場 那須特設サイトに公開される予定だ。

森林プロジェクトは、他にも「森林ノ田んぼ」「森林ノ雑穀」「森林ノ畑」と続々とつながり、その展開は尽きることがない。「森林ノ・・・」何ができるだろう?考えてみるだけでもワクワクしてくる。

改めて、アミタが掲げるミッションを見てみよう。

一切の事象は孤立しない。一切の事象は相互に依存し合う。(中略)

我々は宣言する

大いなる生命システムの中で、人類が相互に依存できる生命として認知されるため、持続可能社会の実現を今こそ最優先と考え、我々にできること、すなわち循環型システムの形成を第一優先順位とし、新しい関係を生み続け、築き上げることを。

この世の中につながりが途絶えて孤立したものや、無駄だと思われているものがある限り、アミタは新たなビジネスモデルを創造し、つながりを作っていくことだろう。それはもともと、人間がその関係性を断ち切る前から存在した、地球上の生命の本来の姿を取り戻す作業なのかもしれない。

事業を通して社会に「つながり」を回復する「アミタ」。
持続可能な未来を創造するビジネスモデルのお手本的存在として、今後も注目していきたい。

アミタのこと、もっと知ろう!