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発展から環境へとシフトを始めた中国は世界のモデルとなりうるか?

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by randomix

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これまで温暖化対策において世界の悪役にされてきた中国だが、急激な経済発展を背景に先進国と同等の環境政策を策定しようという動きが急速に広まっている。中国が“環境の世紀”のリーダーシップをとる国となるのか? 具体的にみてみよう。

5月13日には国家規模で支援する11の科学プロジェクトを発表、「水汚染の制御と処理」「遺伝子組みかえ生物の新種栽培」「新薬の開発と製造」「エイズやウイルス性肝炎などの伝染病の防止と治療」といったプロジェクトが盛り込まれた。そして、さらに中国のハイテク分野の支柱としてバイオ産業を育てることの必要性も指摘され、「バイオ分野をハイテク領域の基幹産業として位置付け、バイオ医薬やバイオ農業、バイオ製造、バイオ環境保護といったバイオ産業を大きく発展させること」が確認されたという(チャイナネット5月14日)。細則については年内に公布するとされているが、つまりはバイオテクノロジーの発展を促し、医療、農業、工業といった分野に生かして行こうという方針を固めたということだ。

エネルギー政策では、石炭火力発電所の効率化、原子力発電の拡充に加えて再生可能エネルギーの拡充も計画している。特に風力に力を入れ、2020年までに再生可能エネルギーの全発電量に占める割合を現在の1.5%から6%に、風力発電の発電量を1億~1億5000万キロワットに改善することを目標に掲げた。日本は2020年に760万キロワットと見積もっているから日本の20倍の数値ということになる。

ただ、原子力発電も風力発電も機器は輸入に頼っており、その国産化が急務とされている。逆に太陽光パネルの生産は盛んだが、こちらはほとんどが輸出に回される。そのような不均衡はあるが、太陽光や風力といった再生可能エネルギーにまつわるマーケットが今中国でにぎやかなことは確かだ。その部分は今後に期待が持てる。

ただ、無視できない大きな問題もある。中国は温室効果ガス削減の柱として原子力発電の拡充を第一に挙げている。また大規模水力発電所も同様である。原子力発電や大規模水力発電は直接的には二酸化炭素を排出しないが、その廃棄物や環境負荷の問題から基本的には再生可能エネルギーとはみなされない。政府が掲げる2020年の6%という数値には大規模水力発電も含まれている節があるから、その数値だけを見て中国は進んでいるとみなすことはできない。

つまりは今のところ先行きは不透明と言わざるを得ないのだが、不透明だからこそグリーンビジネスが発展するチャンスがあると見ることもできる。中国がマーケットとしての可能性を秘めるのは、先にあげたバイオやエネルギーといった大規模なものだけではない。中国では同時にLED街灯の導入を積極的に進めたり、5つ星ならぬ5つ葉のエコホテルを認定したり、なんていう試みも行っている。また、中国唯一の国家規模の電気自動車を産業化するためのテストを行う基地である東風電気自動車産業パークも先ごろ稼動したというし、2009年を「エコ観光年」に定めたりもしている。

さまざまな受け皿が準備され、中国のグリーンビジネスがこれからまだまだ延びることは確か。“環境の世紀”が“中国の世紀”となるかどうかは、そのビジネスの成否にかかっている。

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