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食べ残したら「お持ち帰り」の習慣を。ドギーバッグで食を考える

Pinky Takeout Boxes: Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by StreetFly JZ

Pinky Takeout Boxes: Creative Commons. All Rights Reserved. Photo by StreetFly JZ

Do you want a DOGGY BAG?(ドギーバッグ、お使いになりますか?)

これは、欧米のレストランでウエイターやウエイトレスから聞かれるオーソドックスなセリフのひとつ。

ムム…?レストランでドギーバッグ?レストランと犬ってどういう関係があるの?と考えちゃった方、ドギーバッグとは食べ残した料理を持ち帰るための発泡スチロールやプラスティック製の折り詰め箱のこと。欧米では一般的なレストランの料理の持ち帰りだが、従来この習慣に馴染みのなかった日本でも「もったいない」意識の高まりにつれてこの動きが徐々に広がっている。

農林水産省の調査によると、2007年度の日本の食料自給率は40%で、先進国の中で最も低い数値だ。にもかかわらず、同省「平成19年食品循環資源の再生利用等実態調査結果の概要」では、日本の2006年度の食品廃棄物発生量は1,135万トンと、残飯廃棄量の多さは世界トップレベル。「もったいない」発祥の国である日本が実は世界有数の「もったいない」国だったのだ。もちろん、日本が高温多湿な気候であるゆえ、食中毒予防に備えて食品衛生法などの法規制が厳しいことがこの原因として挙げられるだろうが、この法規制に企業が過剰に反応している面もあるかもしれない。たとえば、以下の動画で日本のNPO「セカンドハーベストジャパン」が警鐘を鳴らしているとおり、食品衛生上は何ら問題がないにも関わらず、外箱の欠損や流通期限などの理由で多くの食品が廃棄されている。

このような日本の食における「もったいない」に対し、食の大切さを改めて見直そうという動きが始まっている。2009年2月に設立された「ドギーバッグ普及委員会」では、食糧の無駄遣いを減らすための啓発活動として、レストランの持ち帰り活動=ドギーバッグの普及に努めている。「MOTTAINAI」や東京のイタリアンレストラン「オステリア・ルッカ」や日本料理店「」と提携して再利用可能なドギーバッグを開発・販売。消費者はこのドギーバッグを使えば、提携レストランで料理の持ち帰りができる仕組みになっている。自分が食べ残した料理を持ち帰ることによって、食べ物の大切さや食糧問題を考えるきっかけにすることが狙いだ。

実際、この地図で一目瞭然のとおり、飢餓率が高い国々は世界に多く存在し、8億5千万人を超える人々が今この瞬間も飢餓に苦しんでいる。

greenz/グリーンズdoggybag_hungermap
Hunger Map: Copyright(c) 2006 World Food Programme, All rights reserved. WFP 国連世界食糧計画のホームページより

現時点では飢餓率5%未満という恵まれた日本も、低い食料自給率を鑑みると、食糧危機を対岸の火事ととらえるのは楽観的すぎるかもしれない。古来、日本は、小さい国土で農耕に適する土地を開墾し、丹精込めて植物を育て、食べ物を粗末にせずにありがたく頂くという文化が根付いてきた国。ドギーバッグの先進国である欧米では、ドギーバッグですら容器の無駄遣いであるとして、タッパーを持参してレストランを訪れるお客さんも増えているそうだ。現在は、料理の持ち帰りに馴染みのない日本でも、タッパーや再生可能なドギーバッグを活用し、料理の持ち帰り活動を実践することで、食の大切さを改めて考え直すきっかけにしてはどうだろう。このような気づきから、レストランで食べきれない料理をオーダーしすぎない、無駄な買い物をしないなど、食糧の無駄遣いに気を配る具体的な行動につなげることができるだろう。

WFP 国連世界食糧計画のゲームで遊びながら食について考えよう!