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アフガニスタンからうれしいニュース!初の国立公園が誕生

Photo from Wikipedia Commons

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アメリカなど世界各国の軍隊がいまだ駐留を続け、まだまだ戦火が絶えないアフガニスタン。しかしそのアフガニスタンも徐々に国家体制が整い、国として復興しつつある。そんなことを国際的に示してくれるアフガニスタン初の国立公園制定というニュースが届いた。ただの公園というなかれ、これはアフガニスタンにとって重要な転機になるかもしれないのだ。

そもそも国立公園というのはその国を代表する景勝地などを国が公園に定め、私有地にしたり勝手に開発したりすることを防ぐもの。日本でも自然公園法により国立公園におけるさまざまな制限が法令化されている。

つまり国立公園を制定するということは自然という国の財産を国が管理し保全するということを意味するのだ。そして、それは国が地方権力によって分断されていたアフガニスタンが国家としての統治機能を取り戻しつつあるということを意味する。

今回アフガニスタン初の国立公園に制定されたバンダミール地区は5つないし6つの湖を持つ景勝地で1950年代から70年代前半にはヨーロッパからツーリストが訪れる観光地だった。しかし1979年のソビエト連邦のアフガン侵攻以降、内戦の影響で観光客が訪れるのは不可能となり、世界から忘れられていった。

またこのバンダミール地区には野生のヤギや羊といった野生動物もおり、アフガニスタンにしか生息しないといわれるユキスズメの一種などの自然動物もおり、1970年代までは絶滅危惧種に指定されている雪豹(Snow Leopard)も見ることができたという(乱獲により激減したといわれている)。

また、バンダミールの湖のひとつバンデ・ハイバットのほとりにはイスラムの預言者、ハズラット・アリが一夜を過ごしたとされる場所があり、この地はイスラム教の聖地になっていて、多くのイスラム教徒が巡礼に訪れる。

さらにこのバンダミール地区はバーミヤンからも程近い。バーミヤンといえば2001年にタリバーンによって破壊されてしまった巨大な石仏がある世界遺産地域(同時に危機遺産にもリストアップされている)。アフガニスタンやその周辺の仏教徒にとっては巡礼に訪れる地でもあり、現在アフガニスタンで唯一といっていい国際的な観光地だ。

アフガニスタンとしてはこの地を国立公園とすることで自然環境を保全するとともに、このバンダミールとバーミヤンを含めた地域に外国からの観光客を誘致しようという目論見がある。戦争によって土地が荒れ、確たる産業もないアフガニスタンが観光によって利益を生むことができれば、それは国家の復興に大きく寄与するに違いない。

この地が観光地になるには宿泊施設の整備以前に、周辺地域の地雷を撤去し交通網を整備するという大きな問題があるが、こういうところにこそ外国からの支援が届いて、地元の人々が自然環境を保護しながらここを観光地として育てていけるような方向に導ければいいと思う。

日本はバーミヤンの仏像復興に対する支援を積極的に行っている。ぜひバンダミール地区にも資本を投下し欲しいし、日本からの観光客を当て込んでホテルくらい(もちろん周辺環境に溶け込むものを)作ってしまってもいいんじゃないか。

『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』を読もう