人はどれだけのエネルギーがあれば生きていけるか?

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by vinduhl

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朝起きて照明を付ける。熱いシャワーで目を覚まし、台所で朝食を作る……。一日の始まりとともに、エネルギーの消費も始まる。いや、厳密に言うならば、冷蔵庫のように24時間エネルギーを使い続ける機器もある。現代人の生活とエネルギー消費は切っても切ることができない。

いったい全体、人はどれだけのエネルギーがあれば生きていけるのか?日本と世界のエネルギー利用実態として、こんな数字がある。

一世帯あたりの電力消費量は約300kWh/月

greenz/グリーンズ 世帯あたり電力消費量

一人あたりのエネルギー消費量は4.1石油換算トン/年

greenz/グリーンズ エネルギー消費量

一人あたりの電力消費量は7,816kWh/年

greenz/グリーンズ 電力消費量

データ提供元は、いずれも(財)日本原子力文化振興財団「原子力」図面集(CD-ROM)

似たような項目が並べど、単位が違うし値も違う。ましてや、一世帯あたりの電力消費量と一人あたりの電力消費量の数字は整合性が取れていない。前者を12倍した世帯あたりの年間消費量よりも、後者の一人あたりの方が値が大きくなるのはどういうことだろうか?数字の厳密な意味や計算式が違うのが原因だろうと思われるが、この統計数字だけではその内実までは見えてこない。受け取る方としては少々混乱気味。受け手もメディア・リテラシーを高める必要はあるだろうが、統計の基準を統一して、分かりやすく比較できるようにしてほしいところだ。

厳密な数字の意味はともかく、これらのデータから分かるのは、日本をはじめとした先進諸国がいかにエネルギーを大量に使っているかということ。こうしたエネルギーの不平等な分配・使用状況を是正すべく、スイスが自国のエネルギー消費量を下げる試みを展開している。具体的には、全世界の一人あたりのエネルギー消費量を基準値として、それを上回る分は削減していこうという取り組みだ。エネルギー分配の不平等はあまり報じられていないが、「サステナビリティの科学的基礎に関する調査プロジェクト(以下、RSBS)」の調査によると、電気が供給されていない人口は全世界で16億人を超えている(RSBS調査報告書P74)。

スイスの試算によると、全世界の一人当たりのエネルギー消費量(平均値)は、17,520kWh/年になる。これは2,000ワットの電気を24時間365日使い続けるのとほぼ同じエネルギー消費量に相当することから、スイスは「一人あたり2,000ワット」を省エネルギーの目標に掲げている。その名も「2,000ワット社会」といプロジェクトだ(同報告書P79)。

同じくRSBSの調査によると(同報告書P79)、スイスの現状は5,00ワット、ヨーロッパ全体では6,000ワット、アメリカは12,000ワット、日本は4,795ワット(=42,000kWh/年)だという。「2,000ワット」が、人が生きていくために「必要な」エネルギーかどうかは議論になるところだと思うが、議論の目安を果たす意味はあるように思う。なお、ここでいう「エネルギー消費量」は、電気だけでなく、暖房や移動に使う諸々のエネルギーを含んでいる。

エネルギーの使用量を減らすのは二つの方法しかない。無駄なエネルギーは使わない。使う際は効率よく使う。この二点だ。産業部門、運輸部門の省エネへの取り組みも重要だが、家庭でもできることはある。断熱性能の高い家やパッシブソーラーの住宅に住んで、冷暖房にかかるエネルギーを節約したり、省エネ性能の高い電気製品を使用したり。

日本はオイルショック以降省エネが進み、省エネ優等生とも言われるが、家庭での電力消費が増えているのも事実だ。他所の国のことだから関係ないと言わずに、気象変動・温暖化対策だけではなく、エネルギーの公平な分配を意識して、エネルギーの使い方を改めて見直してみてはいかが?

サステナビリティについて勉強する(エネルギーだけでなく色々な観点でよくまとまっています)