ついに長期開催決定!まっくらやみのソーシャルエンターテイメント「DIALOG IN THE DARK」を体験してきました!

DIALOG IN THE DARK

DIALOG IN THE DARK

暗闇の中で様々なシチュエーションを探検する話題のイベントDIALOG IN THE DARK(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)」、あなたはもう体験しただろうか?ドイツで生まれ、日本でも1999年以降毎年行われてきたが、このたび東京で初の長期開催が始まった。世界で600万人が体験したこの“見えない展覧会”を、さっそく体験してきました!

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DIALOG IN THE DARK

東京メトロ外苑前駅から徒歩10分弱、ビルの地下にその会場はひっそりと存在する。扉を開けると、まず受付スペースの狭さに驚く。せいぜい10名でいっぱいになってしまいそうな空間。こんな小さな会場で、本当にイベントが行われているのだろうか?

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DIALOG IN THE DARKロビー

それもそのはず、同時に体験する仲間はたったの8名。そこに「アテンド」と呼ばれる案内人が1人加わり、合計9名のグループとなってこれから行動を共にする。まずは視覚障害者が実際に使用する杖、”白杖(はくじょう)”の使い方を習い、少し暗い空間で目を慣らしたら、いよいよ暗闇の中へ出発だ。

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DIALOG IN THE DARK

(以下は暗闇のため画像はありません!)

暗闇に入り急に不安な気持ちに襲われるところを、アテンドが細やかにフォローしてくれる。それができるのは、彼が視覚障害者だから。彼にとっては普段どおりの空間である暗闇。ここでは、私たちが不自由な感覚となるため、通常とは立場が逆転し、彼らが私たちを助けることになるのだ。

的確なアテンドにより、次第に不安は拭い去られ、仲間とのコミュニケーションが活発になり、共に暗闇を楽しめるようになる。詳しい言及は避けるが、暗闇には様々なシチュエーションが用意されており、そのたびに仲間と一喜一憂。普段は得られない感覚に没頭するあっという間の90分だった。

私が一番驚いたのは、暗闇の中の孤独感。暗闇では、必要以上に細かく声や音で表現してしまうのだが、一度声を発するのをやめてみたとき、仲間に忘れられ、自分の存在がその場にないようなものすごい不安感を覚えた。いかに普段の生活において視覚に頼りきっているか、そしてコミュニケーションがどんなに大切かを痛感させられた。

イベント主催のDIALOG IN THE DARK JAPAN代表の金井さんにお話しを伺った。彼は、このイベントを“ソーシャルエンターテイメント”と呼んでいる。

このイベントでは暗闇を楽しむことから、何かが変わるという感覚を味わってほしいです。

暗闇の中では視覚以外のあらゆる感覚が研ぎ澄まされ、目でしか見ていなかったものを聴覚や触覚、嗅覚で必死に感じ取ろうとする。恐らく生まれて初めて味わう感覚に、誰しもが新しい自分を発見することだろう。それはまさしく“DIALOG(=対話)”の体験。仲間との、暗闇との、そして自分との偽りない真剣な対話体験は、人に何らかの変化をもたらす。それは人に対する優しさだったり、コミュニケーションの重要さだったり、人それぞれの異なる発見があるはずだ。

グループにより雰囲気やコミュニケーションがまったく違ったものになるのもこのイベントの大きな特徴だ。

毎回グループの雰囲気は違い、新たな発見があります。ひとりでの参加と知り合いとの参加はまるで違うでしょうし、その相手との関係によっても全く異なる体験ができるでしょう。カップルは相手に対する新しい発見があるかもしれませんよ。

リピーターも多く訪れ、特に大きな広告を展開していないにもかかわらず口コミでじわじわと広がっているのは、この発見があるからだろう。金井さんによると、アンケートの「このイベントを誰に進めたいですか?」という質問には、“友人”や“家族”という答えよりも“みんなに”という回答が多く寄せられるという。きっと、多くの人がこのイベントで何らかの変化を感じ、それを共有することで社会が変わるという感覚をつかんだからだろう。

また、視覚障害者の方がアテンドすることには非常に大きな意味がある。私たちが障害者の立場を体験し、彼らの感覚を共有するというのはもちろんだが、逆に彼らにとっても、暗闇の中に入るだけで人はこんなに不安になるんだ、という目からウロコの感覚があるのだという。人と人、真の意味の対等の関係がその空間には存在するのだ。

生まれつき視覚障害のある方にとっては、暗闇が日常の空間。そこに特別な不安を感じることもなく生活しているため、一般の人との感覚の差は普段知り得ないことだ。しかし、アテンドの際、普段と逆の立場になったとき、彼らが私たちに対して感じていること、例えば手を引いての道案内に“乱暴だな”と思っていたことを、自らしてしまう体験をすることもあるという。その感覚は、彼ら自身に大きな変化をもたらしている。

さらに、「開催から1ヶ月で、街にも変化が見られるんです」と金井さん。開催期間は視覚障害者の方が会場周辺を出歩くこととなるが、最初は地元の方も障害者の対応に慣れておらず、戸惑いも見られたという。でも時間が経つにつれ、コンビニの店員や街の人も彼らと接することに慣れてきて、自然なコミュニケーションとサポート体制が生まれてきているのだ。

何もハードの面では変化していないのに、雰囲気も対応も変わってきました。確実に街が変化しているのを感じています。

という言葉に、このエンターテイメントが社会を変える大きな力になる可能性を感じた。

しかし、イベント運営は決して容易ではない。
金井さんはじめNPO法人「DIALOG IN THE DARK JAPAN」のほとんどのスタッフはボランティアで活動している。大規模イベントと違い、8名という少人数アトラクションは、どうしても運営が非効率になってしまうし、視覚障害者のアテンドの公募から研修にも一人一人非常に細やかな対応で、時間と労力をかけて行われている。今では企業の協賛も一部得られてはいるが、大部分の収益は金井さん自ら“高い”と表現する参加者のチケット代。現在のところ第2期(7月上旬~)までの日程は決定しているが、その後は財政面により先が見えない状態だという。

ドイツでは、国がイベント運営に加わり、官民共同での常設に至っているという。このイベントは、これまで職種が限られていた障害者に彼らにしかできない仕事を与えるため、雇用拡大においても非常に大きな意味を持つ。「DIALOG IN THE DARK」がいつか常設となり、社会のインフラとして機能し始めたとき、日本も変わり始めるのかもしれない。

今回の長期開催では、春、夏という季節ごとに違う日本ならではの演出を検討しています。そして、今度は“DIALOG IN THE SILENCE”、つまり聴覚を奪うイベントをやってみたいですね。聴覚障害者のアテンドで、見えるけれど何も聞こえない状態に身を置く体験です。

と金井さん。ワクワクする未来図を確かに見据えた目で、静かに語ってくれた。

90分の暗闇体験。体験者の変化が大きなムーブメントとなり、社会の変化につながることを願いたい。

あなたは暗闇で、何が見えるだろうか。
まずは会場に足を運び、このエンターテイメントを存分に体感してみてほしい。

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