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新発想!集団割引でソーラーパネル購入、を可能にした“1BOG”

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo taken by UweBKK

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国の太陽光発電補助金制度も復活したし、独自の助成金制度を設けている自治体も増えてきた。そろそろ我が家にもソーラーパネルを……とは思うものの、なかなかその先に進まない。でも、だからといって、もちろんあなたに地球意識が欠けているとは限らない。

大きな買い物だから、高品質かつ自宅のニーズに合ったシステムを、低価格で購入したい。分からないことが多いから、充実したビフォア&アフターサービスがほしい。助成金制度もきちんと把握したい。そんなふうに考え出すと、何から始めればいいのか分からなくなってしまう。

そんな迷える消費者たちを応援してくれるプロジェクトが、アメリカで次々と展開している。

今回は、ソーラーエネルギー技術の推進にコミットするSolar America Citiesの1都市、サンフランシスコ市で2008年半ばにスタートしてからというもの、アメリカ全土に活動を広げている1BOG(One Block Off the Grid)をチェックしてみよう。

1BOGは、ソーラーパネル設置に興味を持つホームオーナーを組織化し、ソーラーパネル設置業者に対して集団割引を交渉してくれる。結果として、ホームオーナーはより低価格の太陽発電システムを、ソーラーパネル設置業者はより多くの顧客を、得ることができる。

ウェブサイトに記載された情報によると、1BOGは主に以下のステップを踏んでプロジェクトを進行させる。

1. ウェブ上でソーラーパネル設置に興味を持つホームオーナーを集め、地域ごとにコミュニティを立ち上げる。

2. ウェブ上で既存登録者に「クチコミ」ボランティアを呼びかけて登録者をさらに増やす。

3. コミュニティに登録したホームオーナーが100人集まった時点で、プログラム開始。登録者の月々の電気消費量、屋根のサイズ、家の位置などを確認し、ソーラーパネル設置が可能な家を特定する。

4. 地域のソーラーパネル設置業者に対して、ソーラーパネル設置が可能な家のデータを提供し、集団割引を交渉する。

5. 複数業者から入手した見積もりを比較し、最も低価な見積金額を提示した業者を登録者に推薦する。

つまり1BOGは、消費者グループの代理として業者と価格交渉し、業者の代理として消費者に情報提供しているわけだ。

ちなみに、営利を目的とした活動である1BOGの収入源は、契約成立時に、業者から支払われる仲介料だ。

サンフランシスコ市で実施した初回プログラムには、180人のホームオーナーが登録し、うち約4分の1がソーラーパネルを購入した。そのときの集団割引率は、平均約20%オフ。中には、43%オフという破格の割引オファーを得た人も。

greenz/グリーンズ 1bogcommunities
今では18の市で展開する1BOGコミュニティ。プログラム実施中のコミュニティとプログラム開始間近のコミュニティがそれぞれ4つずつある。

というように、成果を出している1BOG。でも、そのウェブサイトを見ていて、いくつかの疑問が生まれた。

まず、業者の選定基準。選定プロセスには登録者は関与しない。となれば、公正で透明性の高いプロセスと選定基準が必要だと思う。見積金額以外にも、維持費や設備の品質、アフターサービス、そして持続可能性を追求するのであれば、企業倫理や社員待遇なども選定の対象にしてほしいところだ。

つぎに、登録者に提供される情報の種類。たとえば、「見積もりを比較した結果、この業者が選ばれました。あなたの家にあった太陽光発電システムのサイズは○○、見積金額は○○ドルです。」という情報が提供されるだけでは、本当に家にあった設備が提案されているのか、その設備の品質は保証されているのか、アフターサービスは充実しているのか、ということが判断できない。

最終的にほとんどの登録者との契約が成立しなかった場合の業者への対応も気になるところだ。たとえば30件の契約成立を想定して集団割引をオファーしたのに1件しか契約が成立しなかったら。せっかく見つけた優良業者の芽を摘んでしまってはもったいない。

そこで、1 BOGに問い合わせメールを送ったところ、Brad Burton氏から返事をいただいた。

その返事によると、

・選定基準は設けてないが、見積金額以外も考慮に入れて業者を選定している。たとえば、設備の品質、業者の規模や評判、1BOG登録者への特典サービス(無料エネルギー消費モニタリングサービスや無料エネルギー監査サービスなど)を選定の対象にしている。今のところ登録者へのサービス充実に焦点を当てているので、業者のCSR経営はあまり重要視していない。

・登録者には、業者を選定した際に考慮した点について情報提供している。登録者に太陽光発電についてより深く理解してもらうためにも、透明性の高い情報の提供を心がけている。

・登録者に提供される見積書には、その登録者の家にあった太陽光発電システムの概要、出力、そして見積金額が記載されている。

・確かに登録者全員が太陽光発電システムを購入するわけではない。でも、業者にとって、1BOGの選定業者に選ばれることは、費用を伴わない有効なPR手段だ。たとえ10件の契約しか成り立たなかったとしても、営業せずに10件の仕事が入ってくるわけだから、メリットはあってもデメリットはないはず。

ということだ。

活動開始からまだ1年に満たない1BOG。その活動が太陽光発電システムの普及や太陽光発電関連ビジネスの拡大にどれだけ貢献するのかはまだ分からない。ただ、「買いたいけど、情報がないし高そうだから購入までたどり着かない」という人たちの背中を押すビジネスであるのは間違いない。いまのところ、登録者の活動は登録者数を増やすためのクチコミ活動が主なようだが、その活動範囲が太陽光発電や地元業者に関する情報提供まで広がれば、地域力や市民の意識レベルの向上にもつながりそうだ。

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