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風力発電に雨水タンク!「駅エコ」実験を開始した東大島駅に行ってきました。

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ここは東京都の東側、江東区と江戸川区の区界にある都営地下鉄新宿線の東大島駅。住宅街の中にあるこの駅で、環境にやさしい駅づくりの実験が始まったという。

さっそく現場へ行ってきました!

東京都交通局は、4月3日より東大島駅で環境にやさしい駅づくり(駅エコ)の実験を開始したと発表した。都営地下鉄といっても、東大島は地上駅。区界の河川橋の上にある珍しい立地の駅で、駅のホームに行政区分標があることで知られている。

駅の階段を上がり、まず目に飛び込んできたのは風力発電の風車。この日は風もあり、フル回転中!

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実はこれ、風力・太陽光のハイブリッド発電。残念ながら太陽光パネルは一般客の目に触れることはないが、発電装置が非常にコンパクトなため、多くのスペースを必要としない。ここで発電された電気はバッテリーに溜められ、風車のすぐ下にある緑化スペースへ供給する雨水の電源として使われる。雨水タンクも設置し、雨と風、太陽という自然の恵みのみで緑が育つ仕組みになっているのだ。

ふと床のタイルを見ると、こんな文字が。

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この駅で行っている環境対策を利用者の目に付きやすい位置に表示してPRするのも、大事な取り組みだろう。

さらに、駅の改札前には駅エコのPRコーナーが設置されている。親しみやすいキャラクターの描かれたスペースには、地下鉄のエコ対策をクイズに挑戦しながら知ることができるほか、利用者にアンケートを実施している。子供も楽しみながらエコに関心を持つきっかけになりそうだ。

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ささやかな規模ではあるが、このような取り組みがあることで、何だか駅が明るくなったような気がした。東京都交通局建設工務部の中戸川さんによると、今回の対策により、駅が憩いの場になりつつあるという。今まではひとつもなかったベンチを緑化スペースの横に設置したところ、休憩場所として利用してもらえるようになったのだとか。これまで通り過ぎるだけだった駅が、人々に癒しを与える空間に変わりつつあるのだろう。確かに、目に緑が飛び込んでくるだけで、なんとなく気持ちが安らぐ。

駅エコは、今後1年間かけてアンケートなどを通して効果検証をし、その後の結果次第ではほかの駅にも応用される予定。中戸川さんは、「まずは駅に来て、声をきかせてほしい」とのメッセージをくださった。

地下鉄の駅は、基本的には風力発電や緑化には向いていない。今回の実験は地上駅からのスタートのため、地下に応用するにはスペースなどハード面のハードルが高いのは否めないが、前向きな取り組みとして非常に興味深いものだ。

地下鉄駅の取り組みといえば、2008年6月に完成した安藤忠雄氏設計の東京メトロ副都心線渋谷駅における、自然換気システムや放射冷房システムが話題となったが、このような駅構造そのものを作ろうと思うと、かなり大規模な工事・改修が必要になる。

そんな状況下で、古くからある駅を少しでも環境に優しく、明るくする駅エコの取り組みは、地下鉄駅にとって大きな第一歩!利用者の心に小さなエコの花を咲かせ、大きな力となってくれることを願いたい。