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持続可能な学校づくりの世界基準「エコ・スクール」ってなあに?

Derbyshire in UK: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Emma Massey

Derbyshire in UK: Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Emma Massey

2009年2月9日、ロンドンから250キロの中堅都市ダービシャー州(Derbyshire)にあるロングイートン中学校(Long Eaton School)に、英国環境大臣・ヒラリーベン(Hilary Benn)がやってきた。学校が一丸となって取り組んだ10年にわたる環境活動を称えるとともに、国際認定プログラム「エコ・スクール」(Eco Schools)の最優秀賞・グリーンフラッグ(Green Flag)の受賞を祝うためだ。

現在、ロングイートン中学校のみならず、世界46カ国、4万校以上の学校が参加する「エコ・スクール」。環境に優しく持続可能な学校づくりを奨励し、その枠組みを示すこの国際的なプログラムについて、詳しくみてみよう。

持続可能な学校づくりを推進する「エコ・スクール」

「エコ・スクール」とは、学校の環境マネジメント・環境認証基準・環境教育に関する総合的な国際認定プログラム。学校は、この基準やプロセスに従って、ゴミの減量、リサイクルから、再生可能エネルギーの活用、生物多様性の実現など、様々な環境活動を行う。

環境活動は、生徒代表と教員・保護者・地域の人々から成る「エコスクール委員会」(Action Team)を中心に、所定の7ステップに従って計画・実行される。まずは、生徒への環境教育からスタート。また、校内の環境調査を実施し、学校が取り組むべき環境課題を抽出。これに基づき、「どの環境課題に、どう取り組むのか」を生徒たち自身が決定し、行動計画(Action Plan)を作成する。行動計画が決まったら、実行へ。進捗状況や校内の環境変化は随時レビュー。活動状況やその成果は、父兄や地域の人々にも定期的に共有。また、実際の環境活動を踏まえ、学校の行動指針となる中長期的なエコ規範(Eco Code)を策定し、さらなる環境教育につなげる。

英・インターネット放送「ケントテレビ」(Kent TV)の以下の動画では、この取り組みについて、詳しく紹介している。

世界に広がる「エコ・スクール」の輪

「エコ・スクール」は、1992年にデンマークで始まった。1993年に環境教育基金(Foundation for Environmental Education)のプロジェクトとして立ち上がり、欧州を中心に徐々に広まる。現在は、モロッコ、ケニアなどのアフリカ諸国、南米のブラジル、チリなど、世界中の学校が参加している。特に、イギリスは、国を挙げて推進。2020年までに全学校が「エコ・スクール」の認定を受けることを目標にしている。2009年2月には、イングランド地域の過半数の学校が認定校になったという。

日本の学校における環境への取り組みは、太陽光パネルなど環境負荷軽減のための設備導入や環境共生型施設の建設など、”ハード面”のものがまだまだ主流。しかし、「エコ・スクール」の考え方に基づき、環境教育に軸を置いた取り組みも行われている。たとえば、滋賀県のNPO「環境レイカーズ」は、独自の「エコ・スクールルール」を策定。「エコ・スクールフラッグ」という表彰制度を設け、滋賀県内の小中学校での環境学習を促進している。

「エコ・スクール」の特筆すべき点は、「環境に優しく、持続可能性ある学校づくりとは何か?」を明確に定義していること。環境マネジメントや環境教育に関する一定の基準を作り、確実に世界中に浸透させてきたことは意義深い。また、主役はあくまでも生徒。彼らの関心・意識を喚起し、主体的な行動へと結びつけていくという環境教育・環境学習は貴重な教育プロセスのひとつであろう。

もちろん、未来を担う世代を育てていくことも大事だが、私たちが今やらなければいけないことは、次世代の彼らに持続可能な未来のバトンを確実に渡すこと。「エコ・スクール」の取り組みは、「持続可能な世界の実現に何が必要か?」を自ら考え、行動し続ける大切さを改めて気づかせてくれる。

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