greenz people限定『生きる、を耕す本』が完成!今入会すると「いかしあうデザインカード」もプレゼント!→

greenz people ロゴ

英国のトップ小売企業2社が繰り広げるグリーン競争。各社の最新の取組みとは?

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Captain Midnight

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Captain Midnight

2009年1月、英国の大手小売企業2社が、2日間続けて環境ニュースに登場した。1社は日本でもお馴染みのテスコ。そしてもう1社は、テスコの参入によって、長年守ってきた産業界ナンバー1の座を追われてしまった老舗Sainsbury’sだ。このライバル企業2社の新たな環境への取り組みとは……?

まず、テスコの取り組みから。同社は1月20日に、省エネ型スーパーの第1号店を開店した。天窓、光センサー付き照明、自然換気システム、HFCの代わりに二酸化炭素を用いる冷蔵装置、水やエネルギー管理システム、コージェネ装置などが導入された建物だ。なんでも、2年前に開店した同規模の店舗と比べて、カーボン・フットプリントが70%も少ないという。
また、建物の施工時には、再生材の利用が優先され、廃棄物削減が心掛けられたそうだ。テスコはこの店舗を“青写真店舗”と位置づけて、今後も同様のグリーン店舗を展開していく予定。

そして、そんなテスコに負けてはいられぬ!とでもいうように、Sainsbury’sが翌日に発表したのは、生ゴミ・ゼロ宣言。最初の一歩として、2月末までに、スコットランドにおける全店舗(計28店舗)で発生する全ての生ゴミが、首都エジンバラから約60キロ離れた町Motherwell付近のバイオマス発電所に運ばれる。その量は、1週間当たり合計約42トン。Sainsbury’sのプレスリリースによると、この生ゴミによる発電で、約500世帯の電気をまかなえる。

Sainsbury’sは、今年夏にはイギリス国内の店舗でも同じ活動を始め、今年末までには全店舗で生ゴミ・ゼロを達成すると約束している。

このニュースを読んでびっくりしたのは、生ゴミ・ゼロ発言の内容よりも、むしろ、これまでの生ゴミの処理のしかた。なんと、Sainsbury’sは今まで、店先で発生する生ゴミはそのまま埋立地に輸送していたのだ。しかも、各店舗から別々のトラックで!

2月末からは、1台のトラックが各店舗に寄って生ゴミを集め、発電所に輸送する。その結果、約336台のトラックが道路から消えるとのこと。

さて、Sainsbury’sのこの取り組み、どのくらい環境に良いのだろう?

もちろん、そのまま埋め立てていた生ゴミを燃料化するのだから、意味のない取り組みではない。でも、他にもっと効率の良い生ゴミの利用方法もあるかもしれない。

なぜそんなひねくれた見方をしてしまうかというと、現段階で公表されている内容からは、生ゴミが電気に変換される過程(エタノールに変換されるのか、それとも焼却されて電気に変換されるのか)も、生ゴミ1トン当たりの発電量も分からないからだ。各店舗から発電所までの距離や、生ゴミ回収の頻度も気になる。

日本には、食品産業における生ゴミの有効利用を促進する「食品リサイクル法」という法律がある。この法律では、生ゴミの廃棄量を減らす手段の優先順位を、そのエネルギー効率をふまえて、以下のように設定している。

1.生ゴミの発生量を減らす(過剰納入・仕入の抑制、
賞味期限間近の商品の値引き販売、
メニューや盛り付けの工夫など)
2.生ゴミを再生利用する(飼料化、たい肥化、
炭化・油化・発酵による燃料化)*1
3.生ゴミが含むエネルギーを熱エネルギーに
変換する(熱利用、発電)*2
4.生ゴミの量を減らして廃棄する
(脱水、乾燥、発酵、炭化)
注1) 生ゴミを再生利用する際は、もっとも効率の良いとされる飼料化を優先することとしている。
注2) 熱利用をする際の条件の1つに、生ゴミ1トン当たり熱量28,000MJ以上または電気量160MJのエネルギー変換効率を挙げている。

greenz/グリーンズ recycling_law
(財)食品産業センター

Sainsbury’sの生ゴミ発電のエネルギー変換効率は、食品リサイクル法が熱利用の際の基準としている生ゴミ1トン当たり熱量28,000MJ以上または電気量160MJに達するのだろうか。気になる。さっそく、担当者にメールで問い合わせてみた。

残念ながら、いまのところSainsbury’sからの返事は来ていない。今後、返事が届いたら、コメント欄にて続報をお届けする。
こうご期待!