\12周年、タグラインをリニューアルします/

7月16日からgreenz.jpのタグラインは「ほしい未来は、つくろう。」から「いかしあうつながり」に変わりました。

詳しくは編集長鈴木菜央のコラムを読んでもらえると嬉しいです。

7月16日、greenz.jpのタグラインは「いかしあうつながり」に変わりました。

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“1%プロジェクト”から学ぶ、デザイナーとNPOの理想の関係!

The 1% | greenz / グリーンズ

The 1% | greenz / グリーンズ


“pro bono”(プロボノ)という言葉を聞いたことがあるだろうか。英語に訳すと”for good”となる。もともとは弁護士が無報酬で行う公共的な仕事のことを指していたが、近頃ではあらゆるプロフェッショナルによるボランティアワークを指すようになってきているようだ。そして最近耳にするのが、デザイナーによる”プロボノ”プロジェクトである。

デザイナーとNPOの協働はすばらしいことだ。ただ、すべてが理想どおりに運ぶとは限らない。NPOの担当者がそれほどデザインのことに明るくないのもあるだろうし、デザイナーもコミュニティの現状を常にウォッチしているわけではないからだ。そう、そこには両者を橋渡す何らかの工夫が必要なのである。

1%でできること

サンフランシスコで”The 1%“というプロボノプログラムが行われている。主人公は空間を作り出す建築家たち。コンセプトはシンプルで、彼らの時間の1%を非営利活動のサポートのために活用しよう!というものだ。

一日8時間として、1%=約5分。たったそれだけの時間が積み重なって、今までに公園やギャラリー、子どもたちの笑顔が集まる図書館から安心して受診できるヘルスセンターまで、コミュニティのためのスペースを続々と実現してきた。現在、全米から239の建築設計事務所やデザインファーム、45のNPO団体が登録し、一年間に70000時間(!)に迫る前向きな時間が生み出されている。

建築家とNPOのギャップを埋めようと”The 1%”が工夫したのが、建築家とNPO、それぞれに向けられた2つの「1% ユーザーマニュアル」である。(ここからPDFをフリーでダウンロードできる)デザインを担当したのはサンフランシスコにあるデザイン会社Mende Design。その代表であるジェレミーは言う。

「非営利のプロジェクトは、人々の暮らしを実際によくするという実効性のあるものだよね。そのとき、ビジュアルコミュニケーションが単なる美しさだけじゃない、意味のあるものになる。僕たちはそんな、ポジティブで実感のある仕事をしたいんだ。」

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プロジェクトを前向きに進めるためのガイドライン

その思いそのままに、マニュアルには協働のためのアドバイス(クレジット表記の話や「Thank youをしっかり言おう」まで)やプロボノワークのメリット、2つの視点から語ったケーススタディなど、プロジェクトを前向きに進めるためのガイドラインが、いきいきと編集されている。

「医者は命を救う。建築家は____することができる。」空白部分が自然と浮かんでくるようなステートメントも、静かながら心を揺さぶるだろう。ただの自己満足では終わらない、プロボノワークを通じたデザインの使命感。このマニュアルは、ビジョンを共有し、メンバーを鼓舞するためのコミュニケーションデザインなのだ。

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例えばマニュアルから、建築家のメリットについて抜き出してみよう。

【1】テーマが挑戦的で、新しい仕事を獲得するためのよい経験となる
【2】スタッフのやる気が生まれ、コミュニケーションも円滑になる
【3】仕事だけでは出会えないようなさまざまな人たちとつながる
【4】コミュニティに貢献する会社というスタンスを明確にできる
【5】そして、なにかを変えたという個人的な満足がある

これらは、お金じゃ買えない価値であり、デザイナーとNPO、両者にとってメリットのある関係を、誇り高く物語るものだ。ジェレミーは続ける。

デザインは責任ある行動を動機付けることもできる

「デザインはそもそも、理想のためではなく商品を売るために成り立っている。デザイナーの社会的責任について難しいのは、デザイナーが”無責任”に消費を煽っているということだ。でも僕が信じているのは、デザインは責任ある行動を動機付けることもできるということ。そろそろ表面的なものづくりという、狭くて快適なところから出る必要がある。そのためにも”1%”という時間は、きっといい機会となるはずさ!」

(初出:WebDesigning 2008年1月号)