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マルチ・ミュラー エコビレッジが変える世界

1万5000のエコビレッジをネットワークするグローバルエコビレッジネットワーク評議委員へのインタビュー!
昨年10月24,5日の両日、東京にて「エコビレッジ国際会議2006TOKYO」が開催された。世界に1万5000か所あるエコビレッジの中でも、世界的に知られている4つのエコビレッジの創設者、リーダーを招いて行われたアジア最大のエコビレッジに関する会議である。来日したゲストより、NPOグローバル・エコビレッジネットワークの事務局長であり、インドのエコビレッジ「オーロビル」に居を構え、作家、写真家として活躍するマルチ・ミュラーさんへのインタビューをお送りする。

――まず、マルチさんが関わっているGENについて教えてください。

 私が議長をつとめるGEN(Global Ecovillage Network)は世界中の1万5千のエコビレッジのネットワークです。GENの役割は、未来の社会でなにが起きるか、よく見て、未来に起きるさまざまな問題に対してエコビレッジがどのように対応できるか、検討することです。大きなところでは、私たちは地球温暖化問題に直面しています。ほかに人口問題、生物多様性の消失、格差社会、犯罪の増加、伝統文化の破壊、消失、子どもの自殺の増加などです。そういった社会問題に対して、答えられるのが、エコビレッジなのではないかと思います。

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――マルチさんはインドのオーロビルというエコビレッジに住んでいますね。ほかにはどんなエコビレッジがあるんですか?

 オーロビルはインド南部に位置する、2000人が住む世界最大のエコビレッジです(場所)。ソーラー発電の仕組みをもち、村全体がエコロジーなつくりになっています。多民族が暮らし、アーティストもたくさん住んでいます。ほかにはイギリス北部スコットランドのフィンドホーン、ブラジルのブラジリアの近くには巨大なエコビレッジの集合体があります。スリランカのサルボダヤでは仏教、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教が共存するエコビレッジがあります。オーストラリアには有名なクリスタルウォーターズ、セネガルにコシフィ、南アフリカのヨハネスブルク近郊にもアーバンエコビレッジがあります。南アメリカには移動式エコビレッジであるLa Caravanaがあります。これらエコビレッジは生きている実例として、持続可能な社会は実現できるのだ、ということを示しています。

――世界のエコビレッジに住むとしたら、どんな感じでしょうか?

 エコビレッジでの仕事は「意味のある仕事」です。ただの労働ではなく、あなたがやりたい仕事。意味を見いだせなくなったら、辞めて違う仕事を探せばいい。もちろんすべての人が電気技師や医者になれるわけではありませんが、医者の多くは庭のボランティアをしています。庭師の多くは医療ボランティアをしています。誰も小分けにされた箱に入っていないのです。また、職住接近も特徴です。お昼ごはんを食べるために家に戻ったり、子どもの面倒を見に戻ったり。夜中まで毎日働かなくてもいいのです。
 オーロビルでは、1日に6時間労働を勧めています。8時からなら、午後1時まで。午後はスポーツ、ボランティア、格闘技など、好きなことをすればいい。ひとつのことだけが上手な人はいないのです。人間はかならず複数のことが得意。これは、とても重要な考え方です。発展した資本主義社会では、私たちはそれぞれが特殊な小さな箱のようなものに押し込められてしまいます。あなたはこれで、ほかの何者でもない、というように。人々がちいさな箱に収まっていることで、社会そのものが、正しく動くようになっているのです。
 そして、エコビレッジでの生活は楽しいのです。近所の人々と仲良くなり、誰の子どもでも、自分の子どものようになります。自分の子どもも、みんなの子どもになります。シングルマザーや子どものいる家族が孤立することはありません。コミュニティ全体で子育てを手伝ってくれるのです。また、自然が豊かなので子どもを自然観察に連れて行くことができます。

――エコビレッジではほかにどんな活動をしていますか?

 ほとんどのエコビレッジは野生生物のサンクチュアリ(保護区)をつくっています。スコットランドのフィンドホーンには、巨大な森を再生させたサンクチュアリがあります。オーロビルでも土地3万エーカーを購入して中央インドにサンクチュアリをつくっています。そこで、種の保存プロジェクトを行っています。種はバングラデシュ、ネパール、パキスタンなどに送っています。野生生物の多様性を守り、その土地に暮らす人々を助け、彼らの文化を守ることになります。
 また、学生を受け入れて、持続可能な社会づくりを学ぶコースを設けています。時にはインドのトップの大学からも学生が来ます。また、エコビレッジのスタッフをコンサルタントとしてさまざまプロジェクトに派遣しています。
 エコビレッジの利点のひとつは、地域で起きる災害や緊急事態に対して、即座に行動できることです。2年前にインドのグジャラートで地震があったときには、我々は24時間後には現地入りして、被災者のためのドームハウスを建て始めました。イタリアのダマヌールには、自前のレスキューチームがあります。ボスニアやコソボで緊急事態が起きたとき、彼らはレスキュー隊を派遣しました。

 これらエコビレッジは、すべてコピー可能です。ほとんどのエコビレッジは学生やボランティアを受け入れて、宿泊施設もあります。来て学び、自分の国に帰ったら、学んだことを実際に実行すればいいのです。エコビレッジで学び、自分のものとしたら、自分のエコビレッジを始めればいいのです。

――マルチさんはどのようなビジョンでこのような活動に関わっているのですか?

 それは、「地球上のすべての人がおなじマントラ(賛歌)を歌う」ということです。平和、自然への愛、人類への尊敬、生きている事の幸せ……私たちの人生は短いですからね。自然の資源を少なく使い、もっと豊かに感じ、持ち物を共有し、地域のことを大事にしながら、グローバルな意識を持ち、伝統を尊敬し、もっとも進化したテクノロジーに対してもオープンであり、子どもが安心して歩ける、誰にとってもやさしい環境をつくり、すべての子どもが学び、才能を発揮できるようにすることです。子どもに自然を愛することを教えれば、その子は自然に、環境保護主義者になります。子どもたちを自然の中に連れ出し、虫やはっぱ、植物などの美しい自然に触れさせるだけでいいのです。

――日本の読者へメッセージはありますか?

 日本の可能性は大変大きなものです。美しい自然をもっているし、みんなでがんばることを知っています。美しさや自然への愛、深い理解をもっています。同時に、非常に伝統的な面とハイテクな面を持ち合わせている。小さな島国ですが、世界への影響力を持っています。
 日本にエコビレッジができたら、ものすごく大きな影響を世界に与えるでしょう。それはとにかく楽しいものになるはずです。今、日本では「コーハウジング」や「コーポラティブハウス」などのたくさんのアーバンエコビレッジが生まれつつあります。日本は土地の価格も家賃も高い。みなが住居を共有すれば、みなで庭をもち、畑をもち、皆で食べ、コミュニティができるのです。なにか社会的な問題に対して、皆でアクションすることができる。家族や近隣コミュニティが崩壊してしまった日本社会にとって、大きな意味があると思います。エコビレッジなら、子どもをコミュニティ全体で育てられます。
 これは日本だけへのメッセー
ジではありませんが、「サスティナビリティ+(ブラス)」という言葉を提案したいと思います。環境は今、大変に劣化しています。サスティナビリティは自然に入れる量を超えて、自然から取り出さない、ということですが、それだけでは足りない。私たちはサスティナビリティだけでなく、サスティナビリティ+、つまり自然から取り出す量よりも多くの量を自然に投入しなければいけないのです。この言葉が世界で普及してほしいな、と思います。

――エコビレッジ、楽しそうですね。

 一人ひとりが世界に違いをもたらすことができると感じないとすれば、人生は真っ暗です。私たちは世界を変えることができるのです。エコビレッジにはコミュニティ、環境、平和、幸せ、子どものことなど、重要な価値観をいくつも持っています。とてもバランスのとれた、重要なライフスタイルです。しかも重要なのは、それがお金のかからないということです。それぞれは手に入れることはできますが、とても高いでしょ?
 人生に真剣になるとき、人生は価値を持ちます。世界を変えていくとき、価値をもつのです。エコビレッジはそのための乗り物です。一人ひとりではなにもできなくとも、一緒になって何かをすれば、かならず変化は起こせるのです。個人個人がつながっていくことで、指数関数的な変化が起こせる。それがエコビレッジなのです。