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幸せになる循環『ハッピー・ゴー・ラウンド・カフェ』

「ひとりでも多くの人がハッピーになるように」が企業ミッション
化粧品メーカーとして世界中に根強いファンを持つザ・ボディショップ。greenzでも「THE BODY SHOPモノ語り」でお伝えしてきましたが、環境キャンペーンを展開したり、生産者に安定した収入を保証するコミュニティートレードなど、社会貢献をテーマにしたビジネスも展開しているんです。「社会と環境の変革を追求し、事業を行う」ことが会社の使命だ、ときっぱり宣言しているところがスゴイですね。このそんなザ・ボディショップの魅力に迫るべく、先日発売された新製品『アロエ・スキンケアシリーズ』のお披露目&お試し会、幸せになる『ハッピー・ゴー・ラウンド・カフェ』に行ってきました。

イベントが開催されたのは「THE BODY SHOPモノ語り」第1回目の記事掲載直後、2006年9月30日。会場となったのは、スタンダードチャータード銀行丸の内支店。この銀行は、世界56カ国で1299の拠点を有するこの銀行、横浜に日本で最初の事務所を開設してから125年。日本での歴史もなかなか長い。以前ザ・ボディショップと一緒にHIV/AIDSキャンペーンを取り組んだことが、今回の会場提供のきっかけとなったそうだ。会場に一歩足を踏み入れると、そこはとても銀行とは思えない空間が広がっていた。清潔感あるオフホワイトの室内にシックな渋茶の家具を配置。ゆったりとした雰囲気のラウンジには、大通りに面した大きな窓から明るい光が差し込んでいた。

参加者は女性ばかり40名程度。本日2回のセッションが設けられたがイベントの告知からわずか2日間で定員に達したらしい。女性達の美への関心の高さはやはりスゴイ。受付をすますと、長身のギャルソンが、新商品アロエにちなんだ特製ウェルカムドリンクで迎えてくれた。こんな行き届いたおもてなしとさりげない演出が、女性達のハートをつかんで離さないのだろう。

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そしてイベント開始。化粧品の新作発表なら、普通その製品の概要や効能について早速説明がありそうなもの。しかしこの日は、化粧品を買うという消費行為が社会貢献につながり、身近にできる国際協力になるという視点から話が始まった。

前半のテーマは、『社会と自分とのウェルビーイング(=心地よさ)』について。

「ザ・ボディショップでは、お客様には楽しく情熱を持って接し、まるで友人に接するかのようにお迎えしようという価値観があります。またこれとは別に、全世界の従業員が共通でもっている企業理念、ミッションとして、社会と環境の変革を追求して事業を行うということがあります。単に利益を追求するビジネスだけじゃなく、また利益が出たからちょっと社会貢献でもしようかということじゃありません。それら2つを車の両輪として捉え、同時に回していきたいと思い、この30年間走ってきました」

ザ・ボディショップはどういったことに変革を求め、どのように社会に貢献していくかは、VALUES(バリューズ)と呼ばれる5つの企業理念に集約されている。その中で、ビジネスと社会の変革を同時にやろうという意識の最も顕著な表れがコミュニティートレードだ。

「グローバリゼーションという名のもとに、世界中で自由な競争が進み、世界中がまるでひとつの巨大な市場のように一体化してきたという現象があります。競争することはわるいことではないですし、その結果、消費者である私たちがよりよい商品をより安く買えることは良いことです。ただ、その競争が行き過ぎてしまった場合、より安い労働力はどこか、より安い原料はどこかを求めるようになります。そうなってくると、弱い立場の方々、例えば先住民やアフリカの女性グループ、小規模農家が経済的に苦しい立場に追い込まれることになります。

ですが、ザ・ボディショップでは、お取引先の従業員の方々が、安全に、安心して働けるよう、ずっと気をつかってきたつもりです。でも、もっといい方法があるんじゃないか、ということで考え出したのが、この『ハッピー・ゴー・ラウンド(=ハッピーなつながり)』と呼んでいるコミュニティトレードの仕組みです」

ザ・ボディショップでは、化粧品をつくるにあたって、たくさんの天然原料を購入する。そこでこの購入力をいかし、ビジネスの中での弱い立場の方々を支援しようということで始まったのがコミュニティトレード。適正な価格で原料を購入し、店頭に並んだ商品を私たちが買うという流れの中に、ハッピーなつながりができ、そのハッピーな輪がどんどん大きくなっていくという構図だ。

社会にとって心地よいことは、自分にとっても心地よいことで、たくさんの人がハッピーになっていくことで、自分もなんだかハッピーになっていく。生産者が丹精こめてつくったものをありがたく消費し、その循環の輪を大切にする。これも自分にもできる社会貢献、国際協力だろう。

イベントの後半は、新製品の概要及び使用方法が紹介された。

前半にコミュニティトレードの話を聞いた後なので、化粧品の原料が農薬や防腐剤を一切使用していない高品質な天然原料であることや、搾取的な労働によって生み出されたものでないこと、どこかの国の弱い立場の誰かを助けていることなど、製品を生み出す過程をわかった上で製品を試すのは、ちょっと違う気持ちになる。このシリーズは今までのザ・ボディショップ商品に特有の香りがまったくないので、とても新鮮な感じがするし、肌にしっとりととけ込むよう。これはスタッフもかなりの自信作だそうだ。

イベントの締めには、アフタヌーンティーとサンドイッチ・スコーンのおもてなし。ちょっとおなかが空いた頃のおいしいサービスに、心も肌もおなかも潤う。「新製品をちょっと試したくて〜」という軽い気持ち以上の収穫、そして優雅なひと時を楽しめた。

ザ・ボディショップのミッション、作る過程で関わっている人々、作られている場所のリアルな情報を知るだけで、ぐっと世界観が広がった。化粧品を買うというだけで、間接的ではあれどこかの国の誰かをちょっとでも自分が助けているんだと思うと、少しほっとする。ちなみにこのイベント、ザ・ボディショップジャパンの16年の歴史の中で、初の試みなのだとか。最後に紹介されたビデオも衝撃的だった。それは、化粧品会社を連想させるような美しさや、清潔感といったイメージ映像ではなく、世界の貧しい国々の映像や、環境問題などが映し出され、どちらかといえば深刻で暗い内容のものだった。ただの化粧品店の新作発表会として終わらせず、真剣に社会問題や環境問題に取り組む、ザ・ボディショップの姿勢が見えたように思う。

社会のために、誰にでもできることがある。社会を変えたいなら、まずは自分の行動を変えてみようよ”Make the Difference Be the Difference”というメッセージでビデオは終わった。 真剣に社会と向き合って、社会変革を追求して事業を行う、というミッションを感じさせる美しい作品だった。

ハッピーなつながりを、五感で感じたステキなひととき。お土産に頂いたアロエシリーズセットもなかなかの使い心地です。店頭でチェックしてみてはいかが!?