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買うだけで世界がハッピーになるモノ語り

あなたにもできる、世界を良くする方法がある。そのための仕組みがザ・ボディショップのコミュニティトレードだ。
連載第1回目では、「ザ・ボディショップ」について、第2回目は一人でも多くの人がハッピーになるビジネスとして、ザ・ボディショップがコミュニティを重要と考えている理由について考えてきた。連載3回目となる今回は、ザ・ボディショップが実際に行っている「コミュニティトレード」についてレポートしよう。

アロエの保湿クリームの裏側にあるストーリー

右の写真はザ・ボディショップから9月8日に発売された新商品「スージング デイクリームAL」。普通に言えば、アロエを使った保湿クリームだ。しかし、この商品の中には、興味深いモノ語りが隠れている。

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スージング デイクリームAL

アロエベラはグアテマラ共和国から

この製品に使われている主な原料であるアロエベラ(アロエベラはアロエの一種)は、中米のグアテマラ共和国のグアスタトーヤ地区で生産されている。グアテマラ共和国は南米と北米をつなぐ細長いひものような部分に位置し、太平洋とカリブ海両方に面した国。主要産業はコーヒーやバナナなどの輸出であり、大変不安定。1960〜1996年には36年にも及ぶ内戦を経験し、貧困や人権問題に悩む国のひとつだ。とくにグアスタトーヤ地区は1980年に起きた大地震以来、復興もままならず、電気などのインフラもないままだという。

ザ・ボディショップはこのグアスタトーヤ地区でつくられている無農薬のアロエベラを年間150トン購入している。アロエベラは25の農家から供給を受けていて、ザ・ボディショップはアロエ農家に対し、公正な価格を支払う「コミュニティトレード」(※詳しくは下記参照)を行っている。彼らの自立を経済的に助けるだけでなく、「社会保障費」を積み立てて、地域開発援助も行っている。地域の約40%の子どもたちが、経済的な事情で卒業する前に小学校に行けなくなってしまうという状況を考え、地元の農家、協会、自治体、教育省などで構成される「フレンズ・オブ・ザ・スクール」は、この保障費を子どもを学校にやれない家族に対する援助、そして学校への教材提供に充てることにした。これにより、最大200校、20,000人の子どもたちに、地図、図表などの教材を提供することができるという。

ルーベン・アントニオ・バルデスさん

子どもたちへの教育はまさに投資のようなもの

左の写真はルーベン・アントニオ・バルデスさん、43歳。ザ・ボディショップにアロエベラを提供しているアロエ農家のひとつだ。「フレンズ・オブ・ザ・スクール」のメンバーでもある。

ルーベンさんは「(ザ・ボディショップとのコミュニティトレードで)もっとも大きな変化は、安定した収入が得られるようになったことと、子どもを学校にやれるようになったこと。子どもたちへの教育はまさに投資のようなもの。この投資から、子どもたちは大きな利益、つまり未来の可能性をもたらすのです」と語る。

このほか、このコミュニティトレードでは、アロエベラを1トン購入するごとに5つの学校での教材提供をサポートしている。教育の機会を拡大するだけでなく、教育の質も向上させようという試みだ。

ザ・ボディショップはこの地域のほか、24の国で31のコミュニティとのコミュニティトレードを行っている、このプログラムにより、合計で15,000名に収入をもたらし、教育や健康、文化などを守り、育てていくことにつながっている。ひとりでも多くの人がハッピーになるためでもあり、長期的には地球の多様性持続可能性への投資となっている。

買うだけでみんながハッピーになる仕組みが、コミュニティトレード!

「コミュニティトレード」は「援助ではなく取引を!」をコンセプトにした、いわゆるフェアトレード(公正な貿易)プログラムだ。「コミュニティトレード」の「コミュニティ」とは、恵まれない先住民や女性グループ、小規模農家など、国際的な企業と取引する機会が少ない小さな組織のこと。そのコミュニティと持続的な関係を築き、良質な原料や製品を公正な価格で取引(トレード)するのがコミュニティトレード。持続的な関係を築くのは、長期的なサポートをするため。そこに住む人々の雇用、医療、教育を充実させ、彼らの持つ文化や伝統を守りながら生活できるようにするためだ。

そうしてコミュニティから調達した原料でつくった製品のひとつがザ・ボディショップの店頭に並んでいるこの「スージング デイクリームAL」というわけ。そのほか、ザ・ボディショップの棚に並んでいる多くの商品には、同じようにコミュニティトレードで調達した原料が配合されている。

あなたも、できることがある

通常、インターネットや新聞などで発展途上国で虐げられている人々の置かれている状況を知り、「なにかしたい!」と思っても、彼らのために現地に行ける人はわずかだし、NGOやNPOに参加して活動をするのもなかなか大変だ。しかし、このコミュニティトレードの仕組みなら、日常的に使っている商品をザ・ボディショップで売られている、コミュニティトレードの商品に切り替えるだけで、世界のさまざまな人々の自立の助けになるのだ。買い物は毎日の投票行動。こんな世界がいい! と思って行動すれば、かならず世界はすこしづつハッピーになっていく。そんなコミュニティトレードって、ステキな仕組みじゃないですか?

次回は、ザ・ボディショップがコミュニティトレードを始めるに至った経緯をレポートする。

ザ・ボディショップ
http://www.the-body-shop.co.jp/top.html
コミュニティトレード
http://www.the-body-shop.co.jp/values/com_trade.html
コミュニティトレード原料アロエベラ
http://www.the-body-shop.co.jp/values/com_trade_material07.html

「THE BODYSHOP モノ語り」これまでの記事はこちら!
第1回 「ザ・ボディショップってナニ?」
第2回 「一人でも多くの人がハッピーになるビジネス」