銀座のお宿でいい家つくろう勉強会

これから家を建てる人も、リフォームする人も、聞けばわかる“いい家”のこと
BeGood cafe主催の「いい家つくろう勉強会」が7月30日(土)にお宿「銀座吉水」で開催された。勉強会は全4回シリーズで、2回目の今回は「自然素材とシックハウス問題」が取り上げられた。講師は当サイトの「ブログネットワーク」でもお馴染みの、銀座吉水の女将、中川誼美さんと一級建築士の山田貴宏さん。

銀座のど真ん中に建つお宿「銀座吉水」。このお宿が「いい家つくろう勉強会」の会場に使われたのにはワケがある。女将の中川さんは、お宿を建てる際、完璧なまでに建材にこだわった。実は、このお宿に使われているのはほとんどが天然素材。無農薬の畳や珪藻土の塗り壁のほか、床や障子の枠は竹でできている。ワックスやペンキは一切使われていない。建設工事中には、屋内での喫煙を禁止し、大工さんたちには必ず外で喫煙してもらったという徹底ぶりだ。

たしかに、このお宿、なんともいえない爽やかな空気が館内中を漂っている。自然の中にでもいるような、深呼吸したくなる気持ちよさ。ここが銀座だということをしばし忘れてしまうほどである。

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参加者の自己紹介で始まった勉強会
中川誼美さん

自分の中に哲学を

「1970年代にアメリカで暮らしていましたが、アメリカのヒッピーたちから“人間らしいオーガニックな暮らし”を教わりました。彼らは意外にも、日本の“梅干”や“玄米”にとても関心をもっていたんです。これは私にとって、日本の良さを見直すいい機会にもなりましたね」

中川さんは、この時の生活が、今でもすべての基礎になっていると言う。

「日本にはいいものがたくさんあったのに、人々はそうでないものばかりを見習うようになってしまいました。たとえば、昔の日本の家は、自然のあるがまま、夏は暑く、冬は寒く、風通しがいいというのが当たり前でした。でも、今は違うでしょう。機密性が高すぎて、夏は涼しくて、冬は暖かい。だから、汗腺がおかしくなって、体温が異常に低い人たちが増えているんです。家を建てるにしても、どういう生き方暮らし方をするか、自分の中に哲学をしっかりもつことが大事だと思います。それがなければ、いい家を手に入れることなんてできません」

中川さんのお話は「家」にとどまらず、ライフスタイルにも及んだ。なんと、中川さんは自然を汚さないために、竹炭と塩で洗濯し、木綿の布だけで体や頭を洗っているそうだ。また、30年以上も、白米ではなく玄米を食べる生活を続けている。お宿でも玄米が出される。

「玄米を食べておいしいと思っても、玄米は体にいいとわかっていても、白米から玄米に変える人はほとんどいらっしゃらない。感心していても、現実には、自分の生活を変えられない人がほとんどなんです。まわりの環境や条件のせいで変えられない、とおっしゃる方もいらっしゃいますが、はっきり申し上げまして、努力が足りていない、ただそれだけです。なんのいいわけもできません」

無農薬・無添加の昼食。お米はもちろん玄米
銀座吉水でのランチタイム

高気密の家とシックハウス

「現代の家は、低コスト、工期の短縮、クレームのないものを目指してきました。大量製品、大量流通が可能な新建材(新しい素材や技術を用いて作り出された建築材料)をどんどん使っていくわけです。そして、安く簡単に作れるものであれば、人体への悪影響は二の次という風潮が広まっていきました。“シックハウス”や“化学物質過敏症”がその例です。みなさんご存知の“アスベスト”も、かつては耐火性と耐久性があり、“夢の素材”といわれ、いろんなところに使われましたが、発ガン性のあることがわかり全面禁止となりました。断熱材のロックウールやグラスウールも発ガン性の疑いはありますが、安いということで、まだまだ使われています」

ひとつひとつの材料が安全基準をクリアしていても、それらが同時に使われた時に生まれる複合的な影響については、いまだ解明されていないそうだ。数十万種類にも達する合成化学物質がもらたす、人体、そして生態系への影響が懸念される。

山田貴宏さん
休憩時間も山田さんを囲んで熱心に質疑応答

今回の勉強会にはシックハウス症候群にかかられている方も参加していた。シックハウス症候群の主な原因は何なのだろう。

「高気密、高断熱の家ができたために、シックハウスになる人が増えました。昭和30年代、40年代に、すでに新建材や化学物質を放出するような材料が使われ始めましたが、当時は、すきまだらけの家が多く、換気がよかったから問題にはならなかった。しかし、現代の家は気密性が高く、換気が悪い。そのために、化学物質が室内に充満し、それが呼吸をするたびに体内に入っていくわけです」

では、自然素材のものだけで家を建てれば安全なのかというと、実は、そうではない。

「いくらオーガニックな家を建てても、“家具”がそうでなければ意味がありません。表面に木目調のプリントが施された家具は、薄いベニヤ板を接着剤ではりつけたものや、表面の塗料に合成化学物質を使われたものです。最近では、建築基準法によって新建材への規制は強くなっていますが、家具については規制はありません。家の中に持ち込むものにも注意することが必要です」

合成化学物質で作られた新建材
木に触れることでその温かい肌触りや匂いを実感する

銀座吉水見学ツアー

講演の合間に、中川さんの案内で銀座吉水の見学ツアーが行われた。まずはお風呂。お宿では水道管に浄水器がつけられているため、お水がおいしいと評判だが、浴槽内にもさらに浄水器が置かれている。お湯の中に手を入れてみると、サラサラとしていてとても軽い。触れただけでも普通のお湯との違いがわかる。

客室はとても簡素な印象を受ける。テレビと冷蔵庫がないのだ。これも、静かで心地よい部屋を提供したいという中川さんのこだわり。天然素材で作られたお部屋には、オーガニックのお布団も用意され、心も体もリラックスできる極上の空間となっている。

浄水器でお風呂のお湯はいつもきれい
ゆったり落ち着いた客室

勉強会にはおよそ40名の参加者が集まった。これから家を建てる人、リフォームする人、シックハウス症候群の人、家への想いはさまざまだ。メモをとりながら、熱心に聞き入る参加者たちの顔が印象的だった。

次回の「いい家つくろう勉強会」は8月26日(土)に開催予定。

いい家つくろう勉強会
http://www.begoodcafe.com/workshop.php