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野生の生き物に囲まれて仕事する面白さとは

野生の生き物に囲まれて仕事する面白さとは

仕事の前に、川へ釣りに行くこともあるという、敏腕+超アウトドア編集者のブログです。

僕の所属するダンス・オン・ザ・グランウンドの事務所は田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分の住宅街にある。40年以上も前に建てられた、古い2階建てのテラスハウスというか長屋を借りている。仕事柄、事務機以外の機材も多く、そのため、収納スペースが多く、また、間取りがすべて江戸間サイズであることから、通常のマンションや貸事務所より面積あたりの家賃も低く抑えられ、その点に関しては満足している。

ただ、その時代の家屋は断熱材が入っていない家が多く、当然わが事務所にも断熱材はない。しかも、真南、真西、真北に窓があり、冬は涼しく、夏は暖かい究極の間取りだ。真冬の1階は外気温より冷え、真夏の2階はいわゆるサウナ状態。当然、エアコンも効かない。ようするに冬はシベリアのように冷え、夏はボルネオのような蒸し暑さとなる。

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この戸袋奥にムクドリ親子が棲んでいる。

さし迫っては梅雨明けの「サウナな夏」が問題。そこで、二間ある2階の西側の窓は5月の連休明け頃から日中は雨戸を閉め断熱している。ところが、雨戸を閉めて取材に3日ばかり出かけている間に、僕のデスクのある部屋の雨戸の戸袋の中にムクドリが巣を作ってしまった。庭に出て、戸袋を見上げていると、ムクドリの夫婦が交互に雨どいの隙間から出入りし、最近はヒナが卵から孵り、親ムクが餌をとってくるたびに「チュルチチチッ、チチチチッ」とさえずっている。

ムクドリは3月下旬から7月に、年1〜2回繁殖する。一夫一妻が多く、一夫二妻も見られる。雌雄で抱卵するが、夜間は雌だけが行い約12日で孵化し、雌雄で育雛し、約23日で巣立つ。巣立ち雛は親鳥と家族群で過ごすという。

口にくわえているのはミミズかイモムシ

最近、街中での冬場の大規模なネグラが問題になっているムクドリだが、付き合ってみるとなかなかかわいいものだ。しかも、早朝から仕事をしていると、戸袋中からゴソゴソと親鳥が起き上がる気配があり、「ムクも朝早くから頑張っているな〜」と、何か共感めいたものを感じて元気が出てくる。そしてムクたちの子育てを壁越しに聞いていると、「生きることはそれ自体が仕事だ」と思ってしまう。

著者プロフィール
遠藤昇(えんどうのぼる) 編集者、有限会社ダンス・オン・ザ・グラウンド代表

1961年横浜生まれ。この10年間でアウトドアイクイップメント編集長(ネコパブリッシング刊)、SOLA編集長(日刊スポーツ出版)、ソトコト副編集長(木楽舎刊)などを歴任し、現在は自然や環境をテーマに奔走する編集者。特にアウトドア・アドベンチャーは最も得意。アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ、北米大陸最高峰のマッキンリー登頂。アラスカ北極圏・コバック川、ノアタック川でのリーバーカヤック。アラスカ沿岸水路でのシーカヤッキング、極東カムチャッカ半島のフライフィッシングなど数多くの遠征を経験している。というわけで人生最大の目標は「月面上での星座観察」。最近は折りたたみ自転車を駆使し、近所の里山に出没。また、ヨーロッパで開発された空気圧エンジンがあるとの噂を聞き目下調査中。知っている方、ぜひご一報を。