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サマー・オブ・ラブ(1)

時代は変わる

ひどく蒸し暑い夏が始まった。思い起こすと今から40年近く前の幾年間、丸ごと真夏の日々のような時代があった。みんな熱に浮かされたようにそれぞれのやり方でほんとのことを探していた。時代と背較べするように変化する音楽に、ときに酔い、ときに影響されながら、人も世界も動いていった。サマー・ オブ・ラブと呼ばれた暑い夏の時代のこと……。

社会や環境の問題をテーマに人々が一堂に会する大イベントというのは今や多く存在する。例えば毎年4月に世界同時に行われるアースデイという催しが最初に始まったのはレイチェル・カーソンが1962年に著書「沈黙の春」で地球環境の危機を訴えてから8年後の1970年まで遡る。(右写真:Earth Day, 1970 ニューヨーク・タイムズより)

Earth Day, 1970

そしてそういう大きなイベントには常に音楽がある。バンドが演奏し、歌う。聴衆はその声に耳を傾け、リズムに身を委ねて踊る。音楽ほどその場にいる異種様々な人間を一体化させるものはない。坊さんや司祭の説教と同じく音楽にはそういう力があることを人はとっくに知っている。

ロックという音楽が成熟し一つの頂点を経験する過程は、アメリカ国内外の社会的軋轢が徐々に緊張を増し、激しさに彩られていく行程とシンクロしていた。政治的緊張に対する反動が音楽表現となって激しく表出した分プロテスト・ソングが多かった時代でもある。

『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』

満たされない家庭環境で育ちリバプールの不良だったジョン・レノンと、ジョン曰く「エルビス・プレスリーに似ていた」そのルックスと音楽的才能を理由にバンドに誘われたポール・マッカートニーを中心に結成されたザ・ビートルズは、キューバ危機が発生しアメリカがベトナム戦争に介入し始めた1962年にイギリスでデビューした。マーチン・ルーサー・キングらが主導する公民権運動が最高潮に達し、ケネディ大統領が暗殺された翌1963年、ローリング・ストーンズがデビューし、ボブ・ディランがフォーク・ロック金字塔となるセカンド・アルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』をリリースする。

Bob Dylan – Lonesome Death of Hattie Carroll
※)「ハッティ・キャロルの寂しい死」ボブ・ディラン1964年スティーブ・アレン・ショーでのライブより。

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ボブ・ディラン / フリーホイーリン・ボブ・ディラン