多様な人材が各地域で活躍することで新しい社会のOSをつくる。「Next Commons Lab」が求めるコーディネーター像とは。#求人あり

ポスト資本主義社会を具現化する」と掲げ、岩手県遠野市から地域における起業家支援を始めた「Next Commons Lab」。今年はさらに活動地域を広げ、起業家とともにその土地に新たな社会システムをつくっていくコーディネーターを募集しています。

地域でなにか新しいことをしたい。
今の社会システムに限界を感じている。
そのような思いを持つ人にとっては、仕事としてそれに打ち込めるチャレンジの機会として素晴らしいものだと思います。

ただ「ポスト資本主義」ってなんだ? や、コーディネーターって一体何をするんだ? など、わかりにくい部分もあるので、「Next Commons Lab」代表の林篤志さんと、一足先に遠野でコーディネーターとして活躍している室井舞花さん田村淳一さんに、どんな仕事でどんな人と一緒にやっていきたいと思っているのか聞いてみました。

林篤志(はやし・あつし)

林篤志(はやし・あつし)

「Next Commons Lab」ファウンダー。2009年、「自由大学」の立ち上げに参画。2011年、高知県土佐山にて「土佐山アカデミー」を共同創業。2016年、自治体・民間企業・起業家など多様なステークホルダーを巻き込みながら、ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」プロジェクトを開始。日本財団・特別ソーシャルイノベーターに選出(2016年)。Forbes Japanローカル・イノベーター・アワード(2017年)日本の地方を変えるキーマン55人に選出。


室井舞花(むろい・まいか)

室井舞花(むろい・まいか)

2006年より国際NGOピースボートの職員として国際交流・平和教育を目的とする「地球一周の船旅」運営スタッフとして船内プログラムの企画・ディレクションを担当。これまでに世界を6周、約50か国を訪れる。また、2016年4月にはLGBT当事者として『恋の相手は女の子』(岩波ジュニア新書)を出版。2016年、株式会社NextCommonsの創業メンバーとして遠野に移住。


田村淳一(たむら・じゅんいち)

田村淳一(たむら・じゅんいち)

和歌山県出身。2009年、新卒で株式会社リクルートに入社(後に分社化に伴い株式会社リクルート住まいカンパニーへ)。新規事業の収益化と拡大、地場大手不動産仲介会社へ広告を軸とした経営コンサルティングを担当。2016年、株式会社NextCommons(岩手県・遠野市)の創業メンバーとして参画。また、一般社団法人「Next Commons Lab」で他地域での立ち上げ支援も行っている。

コーディネーターという仕事

「Next Commons Lab」は昨年4月に遠野でスタートし、10のプロジェクトを展開しています。さらに今年は宮城県・南三陸町、石川県加賀市、奈良県・奥大和エリアの3ヶ所でもプロジェクトをスタート。

プロジェクトは基本的に、起業家が新規事業を立ち上げ、地元や外部の個人・企業がパートナーとなって共同創業したりプロジェクトのメンターとしてサポートしていくというもの。たとえば、遠野で始まっている「発酵プロジェクト」では、遠野出身の醸造家/料理人のもとで経験を積みながらどぶろくをつくり、自立を目指しています。遠野では他に「低コスト住宅プロジェクト」、「ビールプロジェクト」なども実施。

遠野のプロジェクトメンバー

今後はそれを各地に広げていく計画で、2020年には100ヶ所の拠点をつくることを目標にしているそうです。

今回はそのステップとして、青森県弘前市、福島県南相馬市、滋賀県湖南市、愛媛県西条市の4ヶ所で新たに拠点を立ち上げるのに際し、拠点の運営と起業家のサポートを行うコーディネーター各3人と、遠野の活動に加わってくれる1人を3年間の任期付きで募集しています。

3人のコーディネーターのうち、1人はチーフコーディネーター、2人はアソシエイトコーディネーターからなります。

チーフコーディネーターは「ビジョナリー/経営」を担う存在としてビジョンをリードして経営を行う役割、アソシエイトコーディネーターはコミュニティの土台を支える「事務局長」と、人と人とをつなぐ「コネクター」の2つの役職をそれぞれが担うということになっていますが、具体的にどういうものなのかイメージしにくいので、遠野で今、どのような役割分担で行われているのか聞いてみました。

遠野ではプロジェクトメンバーが地元の高校生に授業を行う取り組みも。

室井さん 林は代表として色々なところで立ち上げをしつつ遠野で今後のビジョンを示す役目を負っています。田村は事業を推進していく役割で、事業計画や出資融資に深く関わってます。

私はラボメンバー(起業家)と一緒に考えを整理したり、他のプロジェクトとの付き合い方や生活面も含めてどういう状況にあるのかを把握しながらサポートしていく役目です。

林さん 遠野では、室井が事務局長的な役割とコネクター的な役割、田村がビジョナリーを担ってもらいながら事務局長的な役割もはたすというかたちになっています。役割をきっちり分けるというよりは、こういう3タイプの人がいて、お互いの領域をまたぎながらカバーしあっていければいいのだと思います。

誰がなにをどの役目を負うのかはきっちりと決まっているわけではなく、チームでやる中で役割分担が自然と決まっていくということのようです。

コーディネーターの実際の仕事は、自治体や地元の人たち、協力してくれる企業など多様なステークホルダーがいる中で、必要な事務処理を行ったりコミュニケーションをとるなど、自分で手足を動かす仕事が多い一方で、それをやるためには全体を俯瞰する目も必要だといいます。

NCL遠野の拠点がある商店街で、町の一員として夏祭りの準備や運営を手伝うことも。

田村さん コーディネーターの仕事は起業家をサポートしたりプラットフォームをつくること。裏方ではあるんですが全体のデザインもしているので、広い視野を持つ必要があります。

林さん 現場で起きていることは地元の商店街との付き合いみたいな泥臭いことなんですけど、一貫した視野を持ち続けないと「Next Commons Lab」の活動としてやっていくことはできないと思うんです。

一つの地域の活性化をやっているだけであれば泥臭くやるだけでもいいと思うんですが、日本あるいは世界で新しい社会のレイヤーをつくることを目指しているので、その目標に今やっていることがつながっていくのかどうかは考えていないといけない。その客観的な視野と現場の泥臭いところを行ったり来たりできることが必要なんだと思います。

コーディネーターが実際の仕事をしていく上で必要な「Next Commons Lab」のビジョンとはどのようなものなのでしょうか。

地域の資源を活かして新たなコミュニティをつくっていく

「Next Commons Lab」が大きく掲げる理念は「ポスト資本主義社会を具現化する」こと。それは、あまりにスケールが大きすぎると感じる方もいるかもしれません。そこで、それを地域に落とすと具体的にどのような社会をつくることが目標になるのか聞いてみました。

毎月行われるオープンラボ。コーディネーター、プロジェクトメンバーで対話や議論を重ねる

林さん 色々な地域を見てきて思うのは、過疎地にある地縁と血縁で成り立ってきたコミュニティは衰退傾向にあるということです。それは時代の変化に伴うもので仕方がないことです。他方で、大都市でも会社というコミュニティも未来を保証してくれないし、コミュニティの最小単位の家族もお互いを支えきれなくなってきています。

それは、問題をすべてお金で解決するという資本主義社会の限界でもあり、そんな中で僕たちが生き延びていく術は、共通の価値観であったり共通のビジョンを持つ人が集まって新しいコミュニティを形成していくことだと思うんです。

その時に、縮小傾向にある既存のコミュニティやそのコミュニティが持つ資源は活かしていきたい。だから、新しい方向性を持つ外からやってきたコミュニティと既存のコミュニティとを摩擦させることで、その資源を活かしつつ共存できる形をつくっていきたい、というのが僕たちの考えなんです。

このこと自体はどこでもできますが、東京には余剰スペースがないので、脱東京という意味で地域で展開していく。その時に、地方創生という結果も求めれば、二兎を追って二兎を得ることができるんじゃないかと思うんです。

コミュニティも含めた地方にある資源をうまく利活用して、都市では実現できない新しい形のコミュニティをつくっていこうというのが、「Next Commons Lab」の基本的な考え方のようです。

地元との方の協力を得ながら実験的な催しも企画する。このときは祭りに合わせ餅振る舞いを行った。

そして、そのコミュニティの構築のために必要なのが起業家とコーディネーターであるというわけですが、それはなぜで、うまくいった先にはどのような社会がそこに生まれるのでしょうか。

林さん ゴールとして考えているのは、誰もが生きていくために必要なコミュニティと経済圏をほんとうの意味で自由に選べることです。

今はグローバル経済という経済圏の中で稼がないと生きていけませんが、地域やコミュニティに経済圏ができれば、その中で役割を果たすことで飯を食っていけるようになります。そういう経済圏やコミュニティができていけば、どこで生きていくのがいいのか自分で選べるようになる。もちろん資本主義経済を選んでもいいし、複数のコミュニティや経済圏に属することもできます。

イメージとしては、地方の資源を活かして起業することで、その中で経済がまわるようにして経済圏をつくる。その中には既存のコミュニティもあれば、外からやってきたコミュニティもあって、それが地域社会を構成する。人はその中の複数のコミュニティに所属してもいいし、その外のコミュニティや経済圏に同時に所属してもいい。そうやって自由に自分の生き方を選べる「社会」をつくっていく。そういうことなのではないでしょうか。

「Next Commons Lab」ではそれを社会構造そのものをつくり変えるという意味で「新しい社会のオペレーティング・システム(OS)をつくる」と表現しているのだと思います。

コーディネーターは多様であるべきだし、キャリアの通過点でいい

「Next Commons Lab」がそのような大きな目標を掲げている以上、コーディネーターも一致団結してその目標に向かっていかなければいけないように思ってしまいますが、一人ひとりがやることは「それぞれの興味のポイントにおいてつくっていけばいい」と田村さんは言います。実際、室井さんと田村さんも、興味のポイントもつくっていきたいものもまったく違うのです。

室井さん 私はもともとピースボートで働いていたんですが、世界をまわる中で小さな地域や少数民族の方々が生活するコミュニティを訪問しながら、独自の文化や価値観、受け継がれている暮らしがあって、それが無数にあることが世界が面白い理由だと思ったんです。

それが、たとえば資本主義経済や政治などの巨大な力やシステムによって失われてしまうことなく、残っていけないというのをどうにかしたいと考えていました。

その時に「Next Commons Lab」に出会って、風通しのよさが生まれることで固有性を保つこともできるし、みんながそれに同化するというのではなく、様々な人たちに開かれたドアがあるという状態もつくれると思ったんです。

風の人、土の人っていう言い方がありますけど、その両方の人たちがそれぞれの役割を果たしながら残したいものを残し、一方で変化を恐れず新しさも生み出せるような場づくりができたらいいと思っています。

田村さん 僕は、人が自由に動いて活躍の場所を見つけたりつながっていくというところに興味を持っています。

僕はもともと東京でサラリーマンをしてたんですが、今こうやって色々な地域で活動していることがすごく自由に感じて面白くて、しかも地域に何かしらのインパクトを与えることができ始めていると思っていて。それが広がってもっと多くの人たちが移動し始めたら、あちらこちらで面白いことが生まれてくるんじゃないかと考えているんです。

今でも各地域で面白い活動や想いを持ったプレイヤーはいると思うんですが、事業としてうまくできなかったり、仲間がいなかったり、やりたいことがあってもなかなかできないという人も多い。でも、そこに多様な人が移動しながら交わったり、根付いたりすることで、それが実現することが増えていくんじゃないか。そう思ってます。

対照的とも思える2人の「やりたいこと」ですが、「新しい社会のOSをつくる」という目標と照らしてみると、どちらもその目標に近づくためのパズルのピースにもなっているように思えます。

その大きな目標を達成するために何かをやるのではなく、自分のやりたいことをやったその先に大きなゴールがある、その姿勢が共通しているように思います。

そして、実はその姿勢こそが、「Next Commons Lab」が大きな目標を達成するために重要なのです。大きな目標を掲げられると、大変なことをやり遂げないといけないという気になってしまいますが、一人ひとりがやることはあくまでも自分がやりたいこと、自分ができることであり、そういう人が集まることで全体として目標に一歩一歩近づいていけばいい。それが「Next Commons Lab」のコミュニティとしての歩み方なのだと感じました。

室井さん 幅の広さがコミュニティの居心地のよさにつながっている気がします。大きな目標があった時に、考え方も統一して上り方も一緒にしていこうというのが企業だとすると、上り方は個々で考えてくださいと言うのが、自由でありながら何かを共有もできる対等なコミュニティなのかなとは思います。

つまり、コーディネーターは独立した個人として自分本位で「Next Commons Lab」に関わっていいわけで、数年間は一つの場所でその土地に貢献する必要があるけれど、その先は、そこに残ることも含め自分がやりたいことを探して、次のチャレンジに進んでいいと言います。

林さん 少なくとも3年は地域の現場に新しい社会をつくることにチャレンジしてもらいたいですが、キャリアとしては通過点だと思ってほしい。その後は、定着してプレイヤーとしてビジネスをしてもいいし、他の場所に行って同じことをしてもいいし、「Next Commons Lab」全体をデザインしてもいい。

もちろん、都市に戻ってそれを活かして何かやってもいい。都市から地方に行くときって片道切符しかないと思われるし、移住するときは永住する覚悟ないと行けないと思っている人が意外と多いですけど、引越しして転職するのと何も変わらないんです。

田村さん この環境で3年を過ごせば、鍛えられるし、貴重な人材になれると思います。一生それをやれと言っているわけではないので、通過点の経験としては非常にいいものになるはずだと僕は思います。

林さん この不安定な社会情勢の中で、地域という現場のカオスの中でいろんなことに打たれながらも新しいものをつくるというのは、経験として貴重なものになると思います。

室井さん 「なんとかなるさ」って来てもらえばいいと思います。とりあえず生きてるんで。

コーディネーターの仕事とはつまり、地域の人たちと泥臭い仕事をしながら、その地域に新しいコミュニティや経済圏をつくるというゴールに向かって一緒に進んでいくということ。そしてそのゴールにたどり着かなくとも、着実に進んでいけば3年間で自分も地域も成長することができるのです。

とにかく新しい社会の仕組みや、人と人とのつながりをつくることが面白そうだと感じたら、「えいやっ」と飛び込んでみてはいかがでしょう? とりあえず生きてはいけるみたいですし、3年やってみたらなにか新しい可能性がひらけそうな気もしませんか?

興味はあるけど、3年はちょっと…と、思い切れない人も、林さんたちの熱に直接触れれば飛び込んでみようと思えるかもしれませんので、説明会に足を運んでみてください。

遠野の活動拠点「コモンズカフェ」

– INFORMATION –

「Next Commons Lab」のコーディネーターにチャレンジしませんか?

「Next Commons Lab」では、全国から集まる起業家たちをサポートし、地元プレーヤーや行政を巻き込み、オープンで創造性に溢れたコミュニティを形成する「コーディネーター」を募集しています。募集対象、募集人員、勤務条件などの詳細は下記のページをご覧下さい。

http://nextcommonslab.jp/recruit/

また、以下の日程でコーディネーター募集の説明会が開催されます。関心がある方はぜひご参加ください。

「Next Commons Lab」 コーディネーター募集!東京説明会
日程: 2017年10月21日(土) 14:30〜17:00
会場: 合同会社パラミタ 東京都渋谷区南平台町12-13 秀和第二南平台レジデンス1104号室
説明会詳細: https://www.facebook.com/events/285857395231750
[sponsored by Next Commons Lab]