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誰もが自分と誰かの可能性を信じていけるように。中高生の「やってみたい!」をメディアづくりで応援する「青春基地」ディレクター・千葉雄登さんが描く未来

突然ですが、みなさんはどのような中学・高校生活を過ごしていましたか?
私は…というと、友だちや部活を通じて楽しい日常を過ごしながらも、心の中は不安や期待、疑問でいっぱいの学生でした。

「私って何者なんだろう」
「これから先、どうなっていくんだろうか」
「あの人はどうやって大人になったのかな」

自分に対してはもちろん、外の世界に対しての漠然とした悩みも問いもたくさん。けれども、当時の私はそれらを自分で深めてみたり、学校の外に飛び出して行動してみたりするほどアクティブな学生ではありませんでした。学校と家の往復を繰り返し、様々な思いに悶々としながら過ごす日々…。そんな気持ちで中学・高校生活を送っていた方は、きっと私だけではないでしょう。

夢や希望、悩みと疑問の渦中にいる中学生、高校生。そんな彼らと一緒にウェブメディアをつくり、情報発信をしている方がいます。“想定外の未来をつくる!”を合言葉に、中高生が中心となって手がけるウェブマガジン「青春基地」でディレクターを務める千葉雄登さんです。

大学に通う傍ら、「青春基地」で精力的に活動する千葉さんに、青春基地の現在地とこれまで歩み、そしてこれからの活動について、お話を伺いました。

千葉雄登(ちば・ゆうと)
1995年埼玉県生まれ。慶応義塾大学2年。大学を1年間休学し、NPO法人カタリバが展開する文京区青少年プラザ「b-lab(ビーラボ)」にてインターンを経験。2015年、WEBメディア「青春基地」の立ち上げに携わる。現在は理事およびディレクターとしてNPO法人青春基地の運営に従事。中高生の「やりたい!」という思いを形にすべく日々奔走中。

中高生の「知りたい」「やりたい」が原動力!
10代がつくり上げる等身大のウェブマガジン「青春基地」

「青春基地」トップ画面 http://seishun.style

まずは、「青春基地」のウェブサイトを覗いてみましょう。

淡いブルーと白を基調とする爽やかなトップページには、「会いたかったあの人」「青春!」「シゴトとシンロ」「@school」「10代の主張」という5つのカテゴリーに分けられた様々な記事が、次々に目に飛び込んできます。

コンテンツは、

などエッセイテイストの記事から、

といった芸能人や憧れの仕事に関わる大人の方々を対象とした本格的なインタビュー記事までバラエティに富んでいます。20代の私が読んでも共感できたり、「なるほど…!」と学びがあったりする記事がたくさん。

これらほとんどの記事が中高生メンバーによる企画、取材、執筆によって成り立っているというから驚きです。週1回編集会議を開き、今気になることや疑問に思うことを話し合いながら、記事の企画や取材方針を決めているとのこと。

しかし、記事公開までのプロセスには中高生だけでは上手くいかないことも。
そんな時に彼らに手を差し伸べるのが千葉さんをはじめとする事務局スタッフです。

あくまで中高生メンバーのやりたいこと、疑問に思うことを最大限に尊重しつつ、行き詰まった時にはしっかりと道しるべをつくってあげる彼ら。縁の下の力持ちでありながら、青春基地にとってなくてはならない存在です。

青春基地の事務局スタッフ

メディアづくりを通して、中高生たちに“きっかけ”を

「青春基地」を運営するのは、NPO法人青春基地です。2015年にスタッフ4名で団体を設立し、同年11月にウェブメディア「青春基地」をローンチ。2016年に法人格を取得しました。

代表を務める石黒和己さんと千葉さんは、キャリア学習プログラムを中心とした様々な事業を手がけるNPO法人カタリバの元インターン生。

カタリバが運営する中高生プラザ「b-lab(ビーラボ)」に関わり、千葉さんはブログやTwitterなどウェブでの情報発信を中高生と一緒に手がけていたことが「青春基地」誕生のきっかけになりました。

千葉さんが関わっていたビーラボの「ビーラボブログ

千葉さんは当時、ウェブでの情報発信を通して、こんなことを感じたといいます。

言われるがまま始めたんですが、何かを発信する楽しさに気づきました。手軽に自分の言いたいことを伝えられるし、「自分は何を伝えたいんだろう?」とか「どうしてこう思うんだっけ?」って考えていると、外向けの発信なのに自分の内面が深められていく機会がすごく多くて。

インターン活動を通じて、メディアで情報発信することの面白さや奥深さに気づいた千葉さん。そこから「青春基地」を立ち上げようと、千葉さんたちを動かしたのはどんな思いだったのでしょうか。

高校生の時に学外でプロジェクト型の活動をやっていたんですけど、それらは自分から選び取りにいったというより、ほとんど偶然に近いきっかけで始まっていました。でもその活動によって、同じ高校に通っていた友だちとどんどん話が合わなくなっていって、すごくモヤモヤしたんです。

中学・高校時代に何かの機会に偶然恵まれて、それが僕らのように大学以降にも影響していく人もいれば、そうでない人もいて、その差はきっとこれからもどんどん大きくなっていく。だから中学・高校時代の経験ってすごく重要で、少しでもその差を埋めていく機会を増やすことに関わりたいと思ったんです。

中学・高校時代といえば良くも悪くも「学校」という狭い空間と、そこでの人間関係だけが世界のすべてのようになりがちです。それが原因で悩んだり、知らず知らずのうちに考え方が偏ってしまったり……。そんな時に、学校の外にある価値観や人に触れる“手段”を知っていることは、中高生にとって心強い味方になるはず。

「青春基地」の活動には、そうした“手段”を知るきっかけと、実際に人と出会う経験をより多くの中高生たちに届けていきたいという千葉さんたちの思いがあります。実際に、そんなきっかけや経験に触れた中高生たちにはどのような変化があったのでしょうか。

女子校に通っている理系志望の子がいるんですが、ある日「宇宙に興味があります!この会社に行きたいです!」って”流星を流すシステムをつくる会社“に取材したいと言ってきて(笑)

そんな会社を知っているっていうその子のアンテナがいいなと思って、僕も取材に同行しました。

当日、彼女は目を輝かせながら取材をしていたそう。でも終わったあとに発したのは、意外なひとことだったといいます。

「私の進路としては違うと思った」って言ったんです。「楽しいし、素敵なビジョンだし、いろんな人を喜ばせる仕事だけれども、私はもうちょっと研究がしたいから」って。その反応がすごく面白いなと思いました。

普段出会えない人に出会って、その人の貴重な時間をいただきながら話をした上で、最後に「じゃあ自分はどうしたいんだっけ?」と自分の価値観に立ち戻る。取材って、そういう自分の価値観を深掘りする体験を届けられるんだと実感したんです。

千葉さんは、かつて自分が体験した「外向けの発信をしながら、自分の内面を深めていく」きっかけを、今度は中高生たちに届けています。

より多くの10代に挑戦する楽しさを届けたい!
学校の中でもメディアづくりを始めました!

学校の授業でのワンシーン

これまで東京を拠点として情報発信を続けてきたNPO法人青春基地ですが、今年2017年から、全国の学校を舞台に「授業」としてメディアづくりを行う取り組みをスタートさせました。

クラウドファンディングにもチャレンジ。目標金額を大きく上回る応援が集まり、プロジェクト成立となりました!

現在は実験的に2つの高校でプロジェクトが進行中。富士北稜高校という山梨県の公立高校と福島県の公立高校に千葉さんや石黒さんたちが通い、高校生たちと一緒にフリーペーパーをはじめとするメディアづくりに挑戦しています。そもそも、どんなきっかけでこの取り組みが生まれたのでしょうか。

青春基地を始めて半年くらい経った時、今届けられているのは、良くも悪くも東京の情報感度の高い子たちばかりだなと気付きました。

東京は色々な機会に恵まれていますが、僕たちが本当にアプローチしていきたいのってそこにたどり着いていない中高生たちなんです。

自分たちが目指すものと、実際にやってきたことの間にギャップを感じた千葉さん。より多くの学生たちにアプローチする方法を模索した結果、「学校」の中で授業を届けるという答えにたどり着いたといいます。

中高生たちがほとんどの時間を過ごす「学校」にしっかりと情報や機会を届けていかないと結局僕らがやりたいことってできないよね、と。

それなら学校の中でもメディアづくりをやってみよう、と動き始めたんです。

さまざまな人の協力を得ながら実施校を探したところ、協力してくれる2校と出会いました。

青春基地メンバーと、山梨県立富士北稜高校の先生方

福島と山梨、どちらの地域にも、僕たちがやりたいことと同じようなことに取り組んでみたいっていう先生や地域の方がいるという「土壌」がありました。ここでなら、僕らも本腰を入れてできるかもしれないって思ったんです。

2017年1月から具体的な話を進め、4月には実際に授業という形でプロジェクト型学習を開始しました。福島の高校をひとりで担当する千葉さんは、現在、学校の先生3人と一緒に4人体制で毎週2時間の授業の中身をつくり込んでいます。

千葉さんの後ろには、年間の予定がぎっしりと書かれた張り紙が

僕たちと違って、先生たちは生徒たちが授業を通して最低限何を学び取るかっていう目標設定にこだわっています。

難しいところですが、その背景には先生たちの哲学があって面白いし、そのおかげで活動にも広がりが生まれます。

先生との価値観の違いに日々向き合う千葉さん。やりたかった活動とはいえ、初めての試み、かつ自分一人で学校というフィールドに足を踏み入れることに対して、不安はなかったのでしょうか。

最初はどこか場違いな感じもして、恐る恐る案を出していましたね。

でも、先生から「まずは好きなようにやってみなよ!」と言ってもらえて。自分の好きなように授業をやってみて、初めて生徒たちに僕の大切にしていることが伝わったなという感覚を得られたし、授業へのフィードバックから先生たちの価値観や哲学も見えてきました。

先生や学生との関わり方はまだ模索している段階だそうですが、少しずつペースを掴み始めたという千葉さん。クラウドファンディングで得たプロジェクト資金を基に、試行錯誤しながら、今後さらに授業の内容を充実させていきたいといいます。

「負」の中で立ち止まりたくなかったからこそ、今がある。

ここまでのお話を聞いて、私は一つ疑問を抱きました。それは「何が千葉さんをここまで本気にさせるのだろう」ということ。この疑問を千葉さんにぶつけてみると、意外な答えが返ってきました。

正直な話、青春基地に対しては“巻き込まれ事故”だと思っています(笑)

気づいたらゆるく巻き込まれていたので、最初は明確な目的を持っていなくて、「なんか楽しいし、意義は感じるし、いいんじゃない?」くらいに思っていたんです。

千葉さんの気持ちがガラリと変わったのは2016年の初め。ある記事がきっかけで、青春基地は数ヶ月間サイトを休止せざるを得ない状況になりました。当時ネット上で様々な批判を受けながら、千葉さんが考えていたのは「ここで立ち止まりたくない」ということだったと言います。

間違いなく僕らに非がありました。でも、僕たちは青春基地を通して少しずつ変わっていった高校生たちの姿を見てきていた。

だから、ここで立ち止まるのではなく、今回の反省をしっかりと踏まえてもう一度仕切り直して、応援者を増やしながら自分たちの活動を価値あるものにしていくことが、自分のやるべきことだと思ったんです。

気持ちを改め、活動に伴うリスクや対応を専門家の方に相談しながら、再スタートを切ることにした青春基地。できない理由を探すのではなく、自分や誰かの「やってみたい」というポジティブな気持ちを大切にする空気を、自分たちから改めてつくっていこうと決意したと言います。

そして、実はそんな思考転換の過程に、グリーンズの影響があったのだとか!

青春基地のオフィスの本棚には、グリーンズのブックレーベルPeople’s Booksの本が並んでいました。会員になったのは、「グリーンズ面白いし、本もほしかったから」だそう

高校生たちの情報発信って「会いたいから会いに行く」とか「会って素敵な人だったから発信してみる」っていう純粋な気持ちがベースになっているんですけど、グリーンズもそうだなと思って。

だからグリーンズのことはすごく好きなんです。発信しているメッセージがポジティブだし、「ほしい未来は、つくろう」っていう言葉が好き。「つくろう」、「つくれる」って思えることがすごく大事で、僕らの活動も結局はそうやって自分で自分のほしい未来をつくれる人を増やしていく試みなんだと思っています。

カタリバで出会った人がたまたまgreenz.jpのファンだったことがきっかけで、グリーンズの存在を知った千葉さん。greenz.jpを初めて見た時、「これだ!!」と感じたそう。その後個人の多様なアクションや思いを大切にするグリーンズの考え方に惹かれ、greenz peopleに仲間入りし、一時期はインターンとしてピープル事業部に関わってくれていたこともありました。

グリーンズの根底にある思いと、千葉さんの「自分でもやってみよう」と思う人をひとりでも多く増やしていきたいという思い。その二つは確かに重なり合うところがあります。

千葉さんの狼煙…
学校での授業づくりを応援してくれる人、大募集!

「やってみたい」という素直な気持ちに従って行動する人を増やしたいという千葉さんですが、同時に彼らの挑戦を応援する人々の重要性も感じています。

自分の可能性を信じて、やりたいことに挑戦できる人を増やすと同時に、それを応援できる社会をつくっていきたいです。やっぱり、やりたいことをやっても応援してくれる人が誰もいなかったら、どこかでくじけてしまうので。

それに誰だって、挑戦する存在でありながら、誰かの挑戦を応援し続ける存在でもあると思うんですよ。僕もやりたいことに挑戦させてもらいながら、誰かを応援できる自分でありたいです。

自分だけ、ではなく誰かの挑戦にもあたたかなエールを送る。

言葉にするのは簡単ですが、これを常に実践するのは意外と大変。だからこそ、千葉さんは学校の中からの情報発信と、より多くの学校との関わりづくりを通して、そのムードを生み出していきたいと言います。

そのためには、様々な形で協力してくれる人が必要です。

授業を一緒につくってくださる先生や学校を大大大募集中です。僕らは色々な高校でやってみたいと思っているので、そのためにまず接点をつくりたいなと思っています。

また、活動を僕らと一緒に中高生を応援してくれる人も大歓迎です。
「一緒に授業を届けていきたい」という大学生や、「こんな授業を子どもに届けたい」っていう保護者の方。もちろん、「青春基地」に関わりたいという中高生もいつも募集してます。

誰しもが、様々な思いを抱えながら過ごす中学・高校生活。楽しい時もあれば、悩み悶々とする時もあります。

そんな時に、千葉さんたちのような人や青春基地のようなコミュニティが自分のそばにいて、そっと手を差し伸べてくれる。それって、とても心強いことだと私は思います。

千葉さんの思いや活動に少しでも共感した方。
新しい教育のあり方に興味のある方。
学生時代を振り返って、自分の身近なところにこんな活動があったらな…と思った方。

青春基地の挑戦を応援してみませんか?

【千葉雄登さんの連絡先】
Facebook: https://www.facebook.com/Yuto1126

あなたもgreenz people コミュニティに参加しませんか?

そんな千葉さんも参加している、ほしい未来のつくり手が集まるグリーンズのコミュニティ「greenz people」。月々1,000円のご寄付で参加でき、あなたのほしい未来をつくる活動をグリーンズがサポートします。今ならPeople’s Books最新作『NPO greenz Annual Report 2017』を、すぐにお手元にお届け。ご参加お待ちしています!

詳細はこちら > https://people.greenz.jp/

[via https://readyfor.jp/projects/seishun-kichi,b-lab]