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具合が悪いときに診察を受けられる「当たり前」をすべての人へ。デザインのチカラで生まれた、変幻自在の誰もが訪れやすい病院「Meridian Center for Health」

喉の痛みを感じたとき。
熱が出てしまったとき。
日本ではすぐに近所の医者へ行くことができ、国民保険制度により、軽い病気ならば安価で治療を受けることができますよね。

でも、それはどこの国でも「当たり前」のことではないようです。

海の向こうアメリカでは、保険に入ることさえも大きな経済的負担になる人が大多数。その医療費の高さは、かつて自己破産の原因の6割となっていたほど…。(出典元

そこで誰でも速やかに、費用を抑えて診断できる予防医療への大転換が動き出していますが、医療現場となる病院では対応に四苦八苦している様子。

というのは、一般市民の病院に対する敷居の高いイメージを変えなきゃいけないこと。
そして病院のつくりを、緊急医療や手術中心のものから、予防医療のつくりに大きく変えなければいけないこと。

全米各地の病院が苦労している中、ノースシアトルに誕生した病院「Meridian Center for Health」がこれらの問題をいち早く解決し、話題を呼んでいます!

病院「Meridian Center for Health」

昨年ノースシアトルに完成した「Meridian Center for Health」は、今まで医療サービスが受けられなかった低所得の人でも、予防医療が受けられる病院。

一般的などこか形式的で冷たく、お金のないホームレスや低所得者が立ち入りづらい負のイメージを払拭した場にデザインされているんです。

病院の周りには美しい池や植物が植えられ、まるで自然の中にあるよう。

吹き抜けが印象的な受付は、太陽光をいっぱい取り込み、明るく開放感がありますね。

夕方、自由に使うことができるコミュニティスペースでは、職業訓練や履歴書の書き方が学べたり、料理教室や薬物依存から更生するための集会も行われています。コミュニティデザイン、そして治療を終えたあとの社会復帰を支援することも、気軽に足を運べる病院になるために大切なことですね。

さらに、100年続く病院を目指し、病院内を自由につくり変えられるような設計にしているのも大きな特徴。予防医療が機能しはじめる10年後までは、従来の緊急医療や手術室がまだまだ必要です。しかし、10年後にはそれらの大半が必要ではなくなります。

そのため「Meridian Center for Health」では、電線や配管を建物の外側に配置することで、内壁を壊したり新しく取り付けたり、部屋の構造をその時のニーズに合わせて変化させることができるそう。

配管などが見当たらない、シンプルなつくりの診察室

「Meridian Center for Health」の建設を担当した、国際的な医療建築会社「NBBJ」の業務執行社員のRichard Dallam(以下、リチャードさん)は、「Meridian Center for Health」が提供する診療についてこう話します。

もし16歳の肥満状態の少年が病院を訪れたとして、現行の医療制度では彼はその場で一旦診療を受けても、自宅に帰ったらまた同じ食べ過ぎを繰り返してしまい、根本的な解決にならないんですよね。「Meridian Center for Health」は、ひとりの医師だけでなくケアチームで向き合う診療をすることで、人びとの健康を根本的に解決できるようデザインしています。

リチャードさん

私たちの日々の暮らしで「当たり前」に受け取っているサービスを、すべての人へ提供するべく活動する「Meridian Center for Health」。

彼らはデザインの力をつかって、誰にも開放されていて居心地がよい病院をつくりあげました。私たちが「当たり前」に感じていることは、果たしてみんなにとっても同じなのか。そして、それらを解決するためのアイデアはないか。そう考えてみるだけでも、誰もが生きやすい社会の実現に近づけるはずです。

[via CO.DESIGN, Wikipedia, Nbbj, OBAMACARE FACTS, OECD, HUFFPOST, Vox]

(Text: 棚元ひな子)