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味噌カツとひつまぶしだけじゃない。「大ナゴヤ大学」加藤幹泰さんに聞く、実は知られてないまちづくり先進都市・名古屋の姿

アイデアとアイデアをつなげる飲み会「green drinks」が名古屋で初開催! その始まりをどうしても体感したく、ボランティアスタッフとして「green drinks Nagoya(以下、gdN)」に参加してきました!

記念すべき初回のテーマは「これが名古屋のソーシャルデザインだがや!!」。この時が来るのを待ち望んでたかのように、開始前から定員ギリギリの大盛況です!

ゲストは「大ナゴヤ大学」学長の加藤幹泰さんと、グリーンズの植原正太郎さん。また、主催はgreenz.jp編集アシスタントのpolloさんです。

左から、加藤さん、polloさん、正太郎さん

そもそもグリーンズって? 大ナゴヤ大学って?

トークセッションのはじまりは、グリーンズの説明からスタート。参加者の皆さんは「直感的に、面白そうだったから!」や「何か新しいことを始めたいから!」というグリーンズ初心者の方が半数以上。ちょっとアウェーな雰囲気かと思いきや…。

正太郎さん 初めての方々に説明できる!! そんな機会があるのは本当に嬉しいです!!

知らない人が多いほど説明したくなる。そんなとっても明るい正太郎さんのプレゼンテーションを聞いて、参加者のみなさんは、終始夢中の様子。

アンケートを取ることで、会場を盛り上げていきます!

参加者の中にはメモを取っている方までいました。

グリーンズの話が一区切りしたところで、「みんなが生徒、みんなが先生」を合言葉に次に活動している大ナゴヤ大学の紹介です!

名古屋の街全体をひとつのキャンパスとして捉え授業を行い、名古屋を面白がる人を増やすことをゴールにしている大ナゴヤ大学。活動のきっかけから、そこに込める想いを加藤さんに話してもらいました。

加藤さんは2代目の学長。そんな加藤さんが大ナゴヤ大学に関わるきっかけとなったのは、「名古屋で、主体的に楽しく学びを得られるイベントはないの?」という、加藤さん自身のふとした疑問。

加藤さん 面白い場所がなくて諦めるのではなく「なければつくっちゃえばいいじゃん!」と感じて、実際に名古屋をキャンパスにしちゃったのが僕ら、大ナゴヤ大学なんです。

楽しまないと、もったいないですよね!

大ナゴヤ大学の紹介をしていただいた中で特に、僕が特に印象的だった加藤さんの話があります。

加藤さん 「イスラム教」と聞いて、どんなイメージですか?

おそらく「ちょっとこわいな」と思う人も多いはずです。僕らも、ISIS(イスラム国)のニュースに触れた時にそう思っていました。

そんな時期に、ある大ナゴヤ大学の生徒さんが「何に“こわい”と思っているかわからない」という疑問からイスラム教徒の方を先生に迎え、授業を行ったんです。

大ナゴヤ大学が授業で訪れたムスク ©大ナゴヤ大学 

このようにホンモノに触れてみることを大切にしている大ナゴヤ大学。他にも、和菓子職人、アイリッシュパブの店長、養鶏所の運営者まで様々な方を先生として授業をしているのだとか!

名古屋市内の和菓子屋さんの授業では、亭主の方と直接話すことで生まれた発見もあったのだとか! ©大ナゴヤ大学

Polloさんと正太郎さんも驚愕した、名古屋のポテンシャル

ゲストお2人の活動の話の後は、いよいよ名古屋に潜む「ソーシャルデザイン」を肴にトークセッション!

加藤さんから紹介してもらう事例に対して、「へー!」「なるほどー!」「そうだったんですね!」の連続。日々グリーンズの記事をつくっている、Polloさんと正太郎さんでさえ知らないことばかりで、名古屋のポテンシャルに驚愕している様子でした。

例えば、自転車屋「Circles」の姉妹店「CULTURE CLUB」。ここでは、店員さんの手で修理をするのではなく、「参加者自身の手で直してみよう」をコンセプトにしているのだそうです。

また、毎月第4金曜日に開かれている「なやばし夜イチ」など「すごい!」と、思わず僕も言葉をもらしてしまうようなものばかり。

「CULTURE CLUB」の店内の様子。参加者が修理に使う工具がずらりと並べられています。some rights reserved by Circles Japan

「なやばし夜イチ」は写真中央の納屋橋の両側で屋台が出店され、毎月のお祭りとなっています! some rights reserved by sho0414

 
そして、ここからは当日の話で僕が特に面白いと思った、「円頓寺商店街」と「ソーシャルタワーマーケット」についてピックアップしてみました!

普段は人気の少ない商店街のようですが、ここが噂の円頓寺商店街です 。some rights reserved by Yusaku Mizuno

最近話題のインバウンドですが、名古屋がインバウンドの「宝の山」と言われています。そして、「宝の山」名古屋の中でも、円頓寺商店街にはこれからの観光を考えるにあたって大事なヒントがあるのだとか。

加藤さん 「コミュニケーション」が起こることで、まちの景色が変わり、おもしろい瞬間が生まれてきているのが円頓寺ですね。

この商店街にあるゲストハウスに宿泊した外国人が、商店街のおじいちゃんおばあちゃんに混じってラジオ体操をしているんですよ!

ゲストハウスに泊まっていた日本人との交流の中でラジオ体操を知り、参加するようになる。そして、地域の方との交流をすることで生まれる「コミュニケーション」。

greenz.jpの記事には類を見ない、名古屋ならではの事例に正太郎さんもビックリ!

正太郎さん 商店街のおじいちゃんとおばあちゃんが、ラジオ体操を通して外国人と交流をする。少なくとも僕の知る限り、そんな事例はgreenz.jpにないですよ!

なんで、greenz.jpの記事になっていないでしょうかね?

こちらは、円頓寺商店街の「七夕祭り」の様子。近い将来、このお祭りにも外国人の姿が多くなるかもしれませんね! some rights reserved by Kazushige Tanase

さて、次にレポートするのは、名古屋のテレビ塔を中心に開かれているフリーマーケット「ソーシャルタワーマーケット」です。

名古屋のテレビ塔は、地デジ放送への転換とともに、その機能を失ってしまいました。

そんなテレビ塔をもっと、まちの人にとって身近に感じてもらうため、そしてまちの人に楽しんでもらうために「ソーシャルタワーマーケット」は開催されており、今年で5回目となるイベントです。

真ん中にそびえ立つテレビ塔を中心に、名古屋を発信していくというメッセージが込められたポスターは2014年のもの。 ©ソーシャルタワーマーケット

そんな「ソーシャルタワーマーケット」の特徴はなんといっても、人の温かさを感じられること。加藤さんから、素敵なエピソードを2つも聞くことができました。

1つ目はこんなお話。

加藤さん 資金が尽てしまったのに、ステージの装飾ができない。そんなときに「私たちにできることってこういうことじゃないの?」と装飾を手伝ってくれた花屋さんがいたんです。

そして、他の出店者から協力をしていただき、イベント当日にはとっても素敵なステージが完成しました。

ステージの周りには出店者さんからいただいた緑であふれています。©ソーシャルタワーマーケット

2つ目は、こんなお話。

加藤さん 人のあたたかさを感じられる瞬間は他にもあります。

イベント会場で行われている写真ブースでは、4年間毎年通っている参加者がいるので、「お子さん、大きくなりましたねー!」という会話から始まることもあるんです!

4年間毎年撮影に来る家族もいるという写真ブース。©ソーシャルタワーマーケット

公園を楽しい場所にしたいという気持ちで起きているムーブメントに正太郎さんも驚きっぱなしです。

正太郎さん さっきも言ったのですが、なんでgreenz.jpの記事になっていないんでしょうか…?

助成金をもらってない、さらにそれを5年も続けているのははすごい!

おばあちゃんの手料理も!? 交流会で感じた名古屋の新しい風

トークセッション後はゲストを交えての交流会。当日に初めて出会った人ばかりなのですが、すごい活気でした。

正太郎さん 正直、東京のgreen drinksよりも会場全体が盛り上がってた!

身振り手振りで一生懸命に話す姿や、ニコニコと笑う表情などがたくさん見られた交流会となりました。

会話の内容も「名古屋でこんなにおもしろい事例があるなら、僕たちもなにかできるかも。」「ちょうど先月から、新しいプロジェクトを始めたんです。」と積極的なことばかり!

また、今回のご飯は、polloさんのおじいちゃんとおばあちゃんの手づくりです! アツアツの肉じゃがに、アボカドサラダ、お手製うめぼしの入ったおむすびの、体も心が温まるプレート。

手づくりご飯プレート。

左からpolloさんのおじいちゃん、おばあちゃん、ゲストの加藤さん。

実のところ、今回のイベントに参加するまで名古屋という土地について全く知らないでいたのですが、大ナゴヤ大学をはじめ様々な団体やプロジェクトの現場へ行ってみたくなるほど、興味津々になりました。

他の都市とはいい意味で、一味も二味も違う雰囲気の名古屋で、これから新しく巻き起こる事例には、目が離せませんね!

(Text: 森園凌成)
(Photo: Mitsuru Kubota)

[via 東洋経済オンライン. ソーシャルタワーマーケット]

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