地球を救う旅に出かけよう! 映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』で見えてくる、今、地球が抱える問題。

突然ですがみなさん、地球を救いたいですよね?

「何を大げさな」と思うかもしれませんが、今回紹介するドキュメンタリー映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』は、地球が危機にあることを知った若者たちが地球を救うための旅に出る「ロードムービー」です。

2012年、私たちがこのままのライフスタイルを続けたら人類は滅亡してしまうという論文を読んだ女優メラニー・ロランは、世界を救う方法を探すために友人のシリル・ディオンと世界を回る旅に出ます。そして3年をかけてヨーロッパやアメリカ、インドを旅し、食べ物、エネルギー、経済、民主主義、教育というテーマについて問題を解決する方法を探しまわり、その過程をまとめたのがこの作品です。

地球を救う方法を探す「旅」

「問題を解決する」などと書くとなんだか説教臭くて難しい映画のように感じてしまうと思いますが、この映画はそれを「旅」という物語に乗せることで、全体が一つの「学び」になるように構成されています。

それこそが、この映画の最大の魅力。全体を一つの学びとすることで、いま地球が抱える問題の全体像が見えてくるのです。

「食」「エネルギー」「経済」という1つ1つのトピックについては、それぞれに優れたドキュメンタリー映画があるものの、それぞれの問題がどのようにつながっているのかを直感的に捉えることができる映画というのはなかなかありませんでした。

この映画はそれをやっているので、観ているほうも自然に全体に目が向き、その中で自分がやっていることがどういう意味を持つのか、あるいは自分はどういうことをすればいいのかが見えてくるのです。

映画は、まず最も身近な「食」の問題から始まります。ここでは都市農園をとっかかりにして、実際にデトロイトで農園を管理する人たちやアグロエコロジーを提唱する専門家などにインタビューをし、農業の未来が小規模農業にあるという提唱をします。

© MOVEMOVIE – FRANCE 2 CINÉMA – MELY PRODUCTIONS

そして、工業化された農業からの転換が進まない原因を現在のシステムから利益を得る石油会社に求め、次の「エネルギー」へと話を進めます。そしてそこではデンマークのバイオマス向上やフランスのレユニオン島などに出かけます。

映画はこのようにいろいろな場所を「旅」しながら、一つのテーマについて実現可能な方法を探り、それを妨げる原因を上げて、それを次のテーマとして取り上げるという展開で次々に進んでいきます。

つまり、この映画は物理的な「旅」であると同時に、地球を救う方法を探す思想的な「旅」でもあるのです。

観た人の旅の出発点

食べ物、エネルギー、経済、民主主義、教育という5つのテーマのどれが一番引っかかるかは観ている人によって違ってくると思いますが、私が引っかかったのは経済と民主主義でした。

経済では、「お金」の問題について、お金はどうやって作られるのかということや、地域通貨が地域経済にもたらす意味の大きさなど行き過ぎたグローバル経済から抜け出すための鍵になりそうなテーマが出てきました。

地域通貨がどういうものなのか、これまでよくわかっていなかった。地域通貨というのは地域で使えるお金というだけでなく、地域内の経済を活発にし、外部(最終的にはグローバル経済)から独立した経済圏を作る手段として友好なものだということに気付かされたのです。

© MOVEMOVIE – FRANCE 2 CINÉMA – MELY PRODUCTIONS

民主主義についてはアイスランドで2010年に起きた政変で市民による憲法が提案されたことなど、ほとんど知らなかったけれど興味深いトピックが登場しました。

アイスランドについては、最近見た別の映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』でも、女性の社会進出という面から取り上げられていて、どちらの作品でも破綻した銀行を救わないというやり方に興味がわきました。

もう少しこの『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』の話をすると、この映画も『TOMORROW』同様に、さまざまな社会問題を解決する方法を求めて世界を旅する話です。マイケル・ムーアがこれまで取り組んできたアメリカ社会のそれぞれの問題についてヨーロッパにその答えを求めるという集大成的な内容でもあります。

ただマイケル・ムーアは、複数の問題を関連付けるわけではなく、その意味で『TOMORROW』のほうが問題を自分に引き寄せて考えることができると感じました。

そして、自分に引き寄せた上でまず思うのは、引っかかってきた問題について掘り下げて考えてみようということです。

『鍋とフライパン革命』

一番気になったアイスランドの市民革命について調べてみるとこの革命は「鍋とフライパン革命」という名で呼ばれ、ポルトガルのドキュメンタリー作家ミゲル・マルケスさんが制作した映像作品『鍋とフライパン革命』もYouTubeで発見しました。

それについてはブログに書いていますので、興味がある方は読んでいただければ嬉しいですが、ここで言いたいのは、この映画が見た人にとっても「旅」の出発点になるということです。

すでに行動している人はともかく、多くに人は漠然と「なんとかしなきゃ」と思っていても、具体的に何が問題で何をすればいいのかよくわからない、一体何から手を付けていいのかわからないというのが正直なところだと思います。

私もそうです。
この映画を作ったメラニー・ロランもそんな1人だったわけです。
その彼女の旅を観ることで、自分にとっての出発点がどこにあるのかを考えることが出来るのです。

一人ひとりができることなんて限られていますが、誰しも自分ができることをするしかないわけです。この映画は「自分にもできること」は何かを考えさせてくれて、それこそ「明日」からできることが自分でもあると感じることができるのです。

さあ地球を救う旅に出ましょう!

– INFORMATION –

 
『TOMORROW パーマネントライフを探して』
2015年/フランス/120分
監督:シリル・ディオン、メラニー・ロラン
シナリオ:シリル・ディオン
12月23日(金・祝)渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
http://www.cetera.co.jp/tomorrow/