衰退した工業地帯に誕生する、自然あふれる住宅街。その実現の鍵を握るのは、“持続可能な”プレハブ建築!

みなさんは、「プレハブ建築」と聞いてどんな建物をイメージしますか?

工事現場での仮設事務所や震災地などでの仮設住宅のイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。最近では、恒久的なオフィスや店舗、アパートから大型の商業施設まで、かなりの割合でプレハブ建築が採用されているそうです。

規格化された部材を工場で生産して建築現場で組み立てることで、現場作業を減らし「短工期」「高品質」「コスト削減」を実現。解体を見越して施工するので、部材の再利用やほかの場所への移設も簡単にでき、地球環境に配慮した建設方法といえます。

今回は、2020年の東京五輪に向けた虎ノ門地区の超高層タワー建設計画にも参画している世界的な建築家、Christopher Ingenhoven(以下、クリストフさん)が手がけるサステナブルなドイツでのプレハブ建築による地域開発プロジェクトについてご紹介します。

プレハブ建築で建てられた住居で地域を再生するプロジェクトが進行しているのは、ドイツのベルリンにある新しい居住地区WerkBundStadt。広さが29,000平方メートルほどあり、もとは石油タンクの集積所だった場所です。
 
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近くに川が流れ、丸い石油タンクがたくさんある場所がWerkBundStadt

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WerkBundStadtの現在の様子

石油タンクが使われなくなり、古びて活気が失われたWerkBundStadt。この地区を、住宅地や混合ビルを建設することで活性化し、たくさんの人びとが住み、ビジネスで活気づいた場所に生まれ変えようというのが、クリストフさんのプロジェクトです。

建物のレンガづくりの部分の間には、テラスやバルコニーなどにたくさんの草木が生い茂っています。これは、安心できる外部空間をつくることで、住む場所と都市空間の間に対話やコミュニケーションを生み出すために考えられたもの。

傾斜したデザインにすることで、緑がたくさんあるテラスをより多く設置し、屋上にもたくさんの草木が植えられています。エネルギー効率への貢献と同時に、住む人々の快適さも考慮した設計に。

さらに、リサイクル可能なプレハブ建築のため、家族が増えるなど住む人びとの環境の変化に対応して建物の構造を変えることもできるのだとか!
 
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完成イメージ図

サステナビリティをコンセプトにした大規模な地域開発プロジェクトが始動

この地域開発プロジェクトの中心となっているのは、クリストフさんが創業し、ドイツ最大手の建築事務所の一つとなっているインゲンホーフェン建築事務所。数々の賞を受賞し、“エコロジー”や“サステナビリティ”をコンセプトにした設計で国際的にも表彰されている建築事務所です。

今回のプロジェクトは、2015年よりインゲンホーフェン建築事務所を含めた建設事務所合計33社が協働し、この地域のコミュニティ、地区職員、上院議員、地主などとも協力しながら開始されました。全社の建築物を合わせて1,100室ができる予定です。
 
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建設家たちによるプロジェクトについての話し合いは既に8回以上行われている

今回のデザインを設計した建築家のクリストフさんは、WerkBundStadtでのプロジェクトについて、こう話します。

建築デザインを考える基盤として、環境・経済・地域社会に配慮した全く新しい居住地区の開発を実証するサステナブルな建物を設計したいという想いがありました。様々な点で自然との調和を考慮し、サステナブルで且つ未来志向に、人びとの様々なライフスタイルに合うようにそれぞれ異なる居住環境をデザインしました。

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クリストフさんは、サステナブルな建築デザインを行う世界有数の建築家の一人

状況に合わせて建物自体を変えていけるという、その場所に住み続ける人々の将来や地球環境まで考えた未来志向の建築。WerkBundStadtのような居住地区が今後増えてくるかもしれません。

日本でも、建築物分野で消費されるエネルギーは国内全体の1/3を占め省エネ化が課題で、新築時などに省エネ基準への適合を義務づける「建築物省エネ法」が昨年施工されました。これからはどの家を選ぶかで地球環境に貢献できる時代になってくるのではないでしょうか。

みなさんも、住む場所を選ぶ際に省エネやサステナビリティの観点を取り入れてみませんか?

[via inhabitat, Plugin, HomeCrux, ingenhoven, Space Modulator, Instagram, BauNetz]
(Text: 菅磨里奈)