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ヒップホップは、社会貢献と相性がいい。ヒップホップの精神で、ソーシャルデザインに取り組む人びとに注目してみよう!

HEY! greenz.jp読者のみんな、WHAT’s UP!?

突然、すごくファンキーな挨拶ですみません(笑)
副編集長のスズキコウタです。

なぜこんなファンキーな挨拶で始まる謎の記事を発信しているかというと、今日はヒップホップについてみなさんと考えたいからです。

最近、僕が感じているのが、ソーシャルデザインやアクティビズムにおける、ヒップホップの有効性です。

2016年は、伝説のヒップホップグループ「A TRIBE CALLED QUEST」が18年ぶりの新作を発表したり、日本のストリートカルチャーのパイオニアである藤原ヒロシさんが「THE PARK-ING GINZA」という店舗をオープンさせ、多くの人びとが長蛇の列をつくったり(実は、僕もその一人・・・)。

一段と、ヒップホップやストリートカルチャーが盛り上がっていることに、胸を躍らせていました。

そして2015年秋、原宿にgreenz.jp編集部のオフィスができたことをきっかけに、「ヒップホップ&ストリートカルチャーの精神をグリーンズに持ち込む」と小さな実験を繰り返しているのですが、学びを深めていけばいくほど、

やはり、ヒップホップとソーシャルデザインは相性バツグンだ!

と感じています。

今日は、この「相性バツグンじゃないか!」という感覚をみなさんと共有したい! そう思って、こんなぶっ飛んだ(?)記事を一本、身勝手ながら発信させていただきます。

クリスマスをクラブで楽しんだ方も、きっと多いことでしょう。そしてそのクラブでは、ヒップホップが流れていたという場所も多いことでしょう。そんな方に、「ヒップホップって、ファンキーだけじゃないんだぜ!」ということを知ってもらうべく、過去にgreenz.jpで取り上げてきた「ヒップホップ x ソーシャルデザイン」な事例をまとめて紹介します!
 
何十年も解決しなかった環境問題を解決した、一曲の音楽。インドの女性ラッパーが歌う、土壌汚染に苦しむ人々へ捧げる曲『Kodaikanal Won’t』を聞いてみよう! by 神本萌さん
 
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インドのコダイカナルという小さな町には、かつて、大手家庭用品メーカーであるユニリーバの温度計を組み立てる工場がありました。温度計を生産する過程で、地下には身体に有害な水銀が廃棄され、労働者たち、そしてそこに暮らす人たちの身体にも悪影響を与えていたのです。この水銀による土壌汚染によって、45人の労働者と12人の子どもたちが命を落としたと言われています。(出典元

環境活動家たちの働きかけもあり、2001年にユニリーバは、この工場を閉鎖。しかしながら、汚染された土地、そして被害を受けた労働者と住民たちには何の手当ても行われなかったのです。

それから10年以上ものあいだ、住民たちはユニリーバに対し、直接的に抗議をしてきたそうですが、解決に向けた動きは進まぬまま。そこでインドの市民活動を支援するNGOである「Jhatkaa」が、ユニリーバにこの問題に対する解決策を求めるキャンペーンをはじめました。

これに参加したのが、女性ラッパーのSofia Ashraf(以下、ソフィアさん)。このキャンペーンで彼女は、アメリカのラッパーNicki Minajの有名な曲『Anaconda』をリメイクし、『Kodaikanal Won’t』という曲を制作。自分で一から曲をつくるのではなく、もともと有名な曲をリメイクすることで、より多くの人たちに聞いてもらえるものを目指したのです。(⇒続きは、こちら

 
人々の健康を考えない奴は、クールじゃない! 貧困状態の子どもや若者にベジタリアンフードを届ける、最高にヒップな奴ら「Hip-Hop is Green」 by 米津琢磨さん
 
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みなさん、ヒップホップと言うと何が思い浮かぶでしょうか? 「よく聞く音楽のジャンルだね」とか、「ラップやダンスのことでしょ?」という意見がきっとほとんどなのではと思います。

しかし、実は奥深いヒップホップの世界。ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティの4大要素を軸に、知識、ビートボックス、言語、服装、起業精神まで、実に9つの要素で構成される思考体系なのだとか。

そんななかアメリカ西海岸では、この9大要素の次に「Health and Wellness(健康と福祉)を新たに組み込もう」という目標を持って活動に取り組む、最高にクールな奴らがいます。

今回ご紹介するのは、「Hip-Hop is Green」という2009年に立ち上がったチーム。彼らは、自身のヒップホップの考え方を通して、子どもや若者たちに、栄養バランスのとれたベジタリアンフードを無料で振る舞う「Hip Hop Green Dinner」という食事会を行っています。

これまでにアメリカ西海岸に住む、約4000人もの貧しい若者や子どもたちに食事を提供。現在では10以上の都市で食事会を開催する「10th Elements Tour」というツアーを行い、健康な食事はもちろん、多くのアーティストたちによるヒップなパフォーマンスを提供してきました。(⇒続きは、こちら

 
本当にこのままでいいの? 気候変動問題をストリートアートで表現し続ける 「NeverCrew」 by MizunoAtsumiさん
 
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突然ですが、みなさんは、“ストリートアート”や、“グラフィティ”と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

少し治安の悪い繁華街の路地裏や古いビルの壁、人気のない商店街のシャッターに、スプレーで描かれた落書き…あまりポジティブなイメージを思い浮かべる方は少ないかもしれません。

ヒップホップの構成要素の一つとされるグラフィティは、街中をキャンバスとして捉え表現するもの。その発祥は、諸説ありますが、もともとは平和的・非暴力的な手段で仲間内にメッセージを発信するコミュニケーションの一種として存在していました。

今回ご紹介する「NeverCrew」は、現代社会が抱える気候変動・環境問題に対してメッセージを発信するストリートアーティスト。まずは、彼らの作品をいくつか見てみましょう。(⇒続きは、こちら

 
みんなの垣根を“理屈抜きの楽しさ”で越える!ダンスで福祉をデザインする集団「SOCIAL WORKEEERZ」 by 仙波千恵子さん
 
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ノリのいい音楽。見応えのあるストリートダンス。ダンサーに導かれて踊る本能的とも言える“楽しさ”。この“理屈抜きの楽しさ”の力に注目して、福祉の世界に新しい風を吹き込もうとしている集団がいます。

その名も「SOCIAL WORKEEERZ(ソーシャル・ワーカーズ)」。障がいがあるとかないとか、年齢や性別が違うとかという垣根を越えた、“心のバリアフリー”の場を提供するパフォーマンスチームです。

活動では、障がいの有無を越えて楽しめる「DANCE PARTY(ダンス・パーティー )チョイワルナイト -DANCEと福祉をつなぐ-」を毎年主催。全国70件ほどの福祉施設の訪問や福祉関連イベントの出演、インクルージョン社会の実現をテーマにした講演も行っています。(⇒続きは、こちら

 
SlowCoffee 小澤陽祐さんに聞いた「フェアトレード珈琲屋がラップをはじめた理由」とは? (前編) by YOSHさん
 
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クリエイティブな自治区”を目指す松戸のまちづくり「MAD City」。そこには、どんなクリエイティブな生きざまがあるのか。その秘密を探るべく、まちづクリエイティブの寺井さん、そして寺井さんから推薦していただいた松戸でフェアトレードの珈琲屋を営む小澤さんに話を伺いました。

「言ってしまえば僕にとって、フェアトレードってバリバリHIPHOPなんですよ」と話す、小澤さん。その考えに至った思いや体験が語られています。(⇒続きは、こちら

 
いかがでしたか? ヒップホップそのものをプロジェクトに用いている方もいれば、「フェアトレードってバリバリHIPHOPなんですよ」と話す小澤さんまで。改めてヒップホップには、人のポテンシャルを拡張することと、人びとをつなぐことにおいて、すごく大きな可能性があるなと感じましたね。

2016年10月、カリフォルニアに2週間ほど滞在していたのですが、「Bioneers」というカンファレンスで「Hip-Hop for Change」というグループと出会いました。彼らは「Hip-Hop is Green」と同様にヒップホップを哲学として捉え、「アメリカ黒人の非行や孤立、そして暴力から救う可能性を秘めているんだ!」と。いやあ、アツかった!

ドナルド・トランプ政権が誕生する見通しであることにより、アメリカ合衆国の環境問題対策や人びとの多様性に対する寛容さの後退が心配される昨今。僕はヒップホップの祖国であるアメリカ、そして世界中で今こそ、その面白さ・奥深さに気づき、アクティビズムに役立てていくべきじゃないかと真剣に考えています。

年末年始、少し時間に余裕があるという方は、いつもと違う向き合い方でヒップホップの名盤に耳を傾けてほしい! そんな暴走気味の編集デスク、コウタでした。最後まで読んでいただきありがとうございました!