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いつもの地下鉄に見慣れないものが出現! サンフランシスコ発、退屈な毎日を楽しくする”邪魔な”プロジェクト「Subway Swing」

2016年11月4日に公開した記事を再編集してお届けします!

毎日歩く大通り。
毎日乗る電車やバス。

仕事場や学校へ向かう道中に目にするのは、毎日同じ風景で、長く通うほどに新鮮さは失われてしまいますよね。「今朝、通勤中に何を見ましたか?」と聞かれても、身近な場所であるほど、思い出すのが難しいかもしれません。

そんな”いつもの”景色に突然、見慣れないものが現れたとしたら、あなたはどうしますか?

今回は、サンフランシスコで一人のアーティストが起こした、「モノクロで退屈な毎日を、ちょっと”邪魔”して楽しくしちゃう」プロジェクト「Subway Swing」をご紹介します!
 

女の子が乗っているのは、ごく普通のブランコ。でもここはなんと…サンフランシスコの地下鉄、BART(Bay Area Rapid Transit)の中なんです!

仕掛け人は、サンフランシスコ在住のアーティスト、Hunter Franks(以下、ハンターさん)。greenz.jpで以前にご紹介した「The Neighborhood Postcard Project」の仕掛け人でもあります。

実はハンターさん、BARTのスタッフと公式に「乗客に、”乗っている間の楽しい体験”を提供する、アーティストとしての仕事」について話しあってきたのだそう。ところが話し合いは長引くばかりで、なかなか進まなかったといいます。

スピーディーに行動したかった彼は、ひとりで「BART公式アーティスト」を名乗ることを決意。ついに2016年8月、自らの役目を果たすために立ち上がりました。黄色いセーフティベストを着て!

本物の職員のような姿で、車内へ潜入!

ハンターさんは堂々とBARTに乗りこみ、ちゃっかり自作の木製ブランコをとりつけ、「仕事」を完了。さらに乗客の反応をリサーチするべく、カメラ、スタート!
 

初めは、誰もが遠巻きに見るだけで、ためらう様子だったのだそう。でも、最初の一人が乗ってしまうと、それからは大人気。あっという間に順番待ちの列が!
 

この日、ブランコ付き車両に乗った人みんながうれしそうな、幸せそうな様子だったそう。なかには、「このおかげで、今日が最高の一日になったよ!」とか、「これからは座席を全部ブランコにすべきだね!」とまで言う人もいて、「Subway Swing」は大成功に終わりました!

ブランコは数時間後に取り外されましたが、ホームにはこんなナイスなおみやげが! 日本でもおなじみの、清算機の前。足元をよーく見てみると……「けん・けん・ぱ!」

ハンターさんは他にも、オハイオ州で様々なコミュニティから500人を招待、「みんなで一つの長~~~いテーブルについて、美味しく食べて楽しくおしゃべり!」プロジェクトも成功させています

クリエイティブに邪魔をする

仕掛け人のハンターさんは、自身のアートを”Creative intervention(クリエイティブに邪魔すること)”と呼んでいます。それは、当たり前すぎて”モノクロ”に見えてしまうような景色に、カラフルな色をつけて、人と人、人と街の関係をもう一度つなぎかえる、「小さな仕掛け」をつくること。

ハンターさんは、見慣れてしまって退屈な景色にこそ、小さな喜びや新しい楽しさ、気持ちの余裕をはさみこむ“邪魔する”スペースがあると考えているそう。今回の「Subway Swing」について、ハンターさんは次のように語ります。

同じ電車に乗ってたみんなが、このポジティブな体験について、本当にうれしそうにおしゃべりしていたよ。

ブランコに乗るか乗らないか、本当はそんなの関係ないのさ。ただその場所でその瞬間をシェアするだけで、お互いに目を合わせることも、話すことも、聞くこともできてしまうんだよ。

僕は、ポジティブな体験をシェアすることが、みんなのいろんな可能性の扉を開ける鍵になると信じているんだ!

ハンターさんは数々の芸術賞を獲得し、ガーディアン紙など大手メディアにも取り上げられているアーティストです。

新しく目に見えるモノをつくり出すのではなく、「ずっとそこにあった日常」の見方を変えるチャンスをつくることが、ハンターさんの「アート」。

みなさんも、偶然、楽しい瞬間に居合わせた時、たまたま近くにいた人と、小さく笑顔を交わしたようなポジティブな経験が、きっとあるのではないでしょうか。今度はそんな瞬間のシェアを、ちょっとしたおしゃべりにつなげてみませんか。小さな「楽しい!」のシェアを貯金することが、実はあなたらしいコミュニティづくりの近道なのかもしれません。

次、電車に乗ったときは、ケータイを取り出すかわりに、まずは流れる景色を観察してみませんか。見慣れたモノクロの世界が一気にカラフルになる、そんな隠れたあなただけのアートが見つかるかもしれませんよ!

[Via Hunter Franks, Upworthy retrived November 2016]

(Text: 吉原海)