ISSUE ソーシャルグッド

1 month ago - 2016.10.26

SHARES  

女性の乳がん発見のために、男性のおっぱいが大活躍!? SNSの検閲を逆手に取った、アルゼンチンの乳がん対策キャンペーン「#ManBoobs4Boobs」

top

世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions 2016」では2016年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、アルゼンチンからの事例です。

日本の女性がかかるがんのうち、最も多くの割合を占める乳がん。アルゼンチンでも年間約18,000人もの女性が乳がんにかかっており、成人女性の死因の1位となる大きな問題となっていました。

乳がんの予防のためになにより効果的なのが、早期の発見。乳がんで苦しんだ経験のある女性たちによるNGO「MACMA」が乳がん予防のプロモーションで注目したのがSNSです。女性はスマホを使ってSNSで頻繁にコミュニケーションを取るので、そこに乳がんのセルフチェックの方法を視覚的に伝えることができれば、と考えたのです。

しかし、そこには大きな壁がありました。FacebookやInstagramなどのSNSでは、女性のおっぱい、とくに乳首が検閲にひっかかってしまいます。また、仮に検閲がないSNSでも、女性のおっぱいを触るビジュアルは性的に受け止められて思わぬ意図で拡散される恐れもあります。

胸にまつわるそんな難題をクリアする鍵となったのは、なんと「ぽっちゃり男性のおっぱい」でした。

ふくよかであっても、男性のおっぱいであれば検閲にひっかかりません。動画でもって具体的にセルフチェックの方法をレクチャーすることもできます。二人羽織のように、女性が後ろから男性のおっぱいを触りながらレクチャー、さらにマンモグラフィーによる検査をオススメするというムービーをSNSで発信。
 
hello
私たちは検閲に引っかからない胸を発見しました。ヘンリーの胸です。ハロー!

instruction

instruction2

マンモグラフィーを受けましょう。あなたもよ、ヘンリー。男性も乳がんのリスクを減らすことができるわよ。

SNSの検閲をかいくぐるマジメでユーモラスな動画はまたたくまに広まり、たった1週間で4,800万ビューを達成。アルゼンチンのみならず国境を越え、世界中でシェアされることで、1億9,300万にも及ぶインプレッションを獲得することに。

単にSNSで話題になる以上の成果も、もたらしました。新たな患者さんや、腫瘍学者、心理学者、ボランティア、企業などがMACMAのサポーターに。さらにアルゼンチンの地方行政がMACMAをパートナーに乳がん対策の施策を行うようにもなりました。
 

 
社会にメッセージを発信するとき、どうしても制限がつきまといます。でも、その制限を逆手にとることで、これまでにない表現を開発することができるのですね。また、深刻な問題も、ユーモアを駆使することで多くの人が話題にしやすくなります。

社会課題に取組んでいるうちに壁にぶちあたったら、ちょっと腕組みをやめて、「逆に」なにができるかを楽しく考えてみるといいかも知れませんね。

(翻訳アシスタント: 村上萌)

writer ライターリスト

丸原 孝紀

丸原 孝紀

greenz シニアライター 1976年京都生まれ。コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。社会課題を解決するアイデアを提案するプランング・ユニット「POZI」のプランナーとしても活動中。

partner パートナーリスト

greenz people

「greenz people」はNPO法人グリーンズが運営する非営利メディア「greenz.jp」の運営や記事配信を支えてくださる個人の寄付会員のことです。 「greenz people」がパートナーになっている記事は、会員のみなさまからいただいた会費を、ライターさんの原稿料、取材経費などに活用し、お届けしています。 グリーンズはこれからも、日本にソーシャルデザインをもっと根付かせていくための、驚きと学びのある新企画を、どんどん仕掛けてゆきたいと考えています。 greenz peopleになって、グリーンズの活動をサポートをしてくださる方は、以下のページをご覧ください。 ⇒ greenz people(グリーンズ会員)の詳細

AD

infoグリーンズからのお知らせ