女性の乳がん発見のために、男性のおっぱいが大活躍!? SNSの検閲を逆手に取った、アルゼンチンの乳がん対策キャンペーン「#ManBoobs4Boobs」

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世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions 2016」では2016年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、アルゼンチンからの事例です。

日本の女性がかかるがんのうち、最も多くの割合を占める乳がん。アルゼンチンでも年間約18,000人もの女性が乳がんにかかっており、成人女性の死因の1位となる大きな問題となっていました。

乳がんの予防のためになにより効果的なのが、早期の発見。乳がんで苦しんだ経験のある女性たちによるNGO「MACMA」が乳がん予防のプロモーションで注目したのがSNSです。女性はスマホを使ってSNSで頻繁にコミュニケーションを取るので、そこに乳がんのセルフチェックの方法を視覚的に伝えることができれば、と考えたのです。

しかし、そこには大きな壁がありました。FacebookやInstagramなどのSNSでは、女性のおっぱい、とくに乳首が検閲にひっかかってしまいます。また、仮に検閲がないSNSでも、女性のおっぱいを触るビジュアルは性的に受け止められて思わぬ意図で拡散される恐れもあります。

胸にまつわるそんな難題をクリアする鍵となったのは、なんと「ぽっちゃり男性のおっぱい」でした。

ふくよかであっても、男性のおっぱいであれば検閲にひっかかりません。動画でもって具体的にセルフチェックの方法をレクチャーすることもできます。二人羽織のように、女性が後ろから男性のおっぱいを触りながらレクチャー、さらにマンモグラフィーによる検査をオススメするというムービーをSNSで発信。
 
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私たちは検閲に引っかからない胸を発見しました。ヘンリーの胸です。ハロー!

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マンモグラフィーを受けましょう。あなたもよ、ヘンリー。男性も乳がんのリスクを減らすことができるわよ。

SNSの検閲をかいくぐるマジメでユーモラスな動画はまたたくまに広まり、たった1週間で4,800万ビューを達成。アルゼンチンのみならず国境を越え、世界中でシェアされることで、1億9,300万にも及ぶインプレッションを獲得することに。

単にSNSで話題になる以上の成果も、もたらしました。新たな患者さんや、腫瘍学者、心理学者、ボランティア、企業などがMACMAのサポーターに。さらにアルゼンチンの地方行政がMACMAをパートナーに乳がん対策の施策を行うようにもなりました。
 

 
社会にメッセージを発信するとき、どうしても制限がつきまといます。でも、その制限を逆手にとることで、これまでにない表現を開発することができるのですね。また、深刻な問題も、ユーモアを駆使することで多くの人が話題にしやすくなります。

社会課題に取組んでいるうちに壁にぶちあたったら、ちょっと腕組みをやめて、「逆に」なにができるかを楽しく考えてみるといいかも知れませんね。

(翻訳アシスタント: 村上萌)