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「自分が本当に大事にしたいことは?」という問いを追いかける。「クルミドコーヒー」影山さんと「ブックスキューブリック」大井さんに聞く、自分の道のつくり方

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こちらの記事は、greenz peopleのみなさんからいただいた寄付を原資に作成しました。

みなさんが、本当に大事にしていることってなんですか?

東京・西国分寺にあるカフェ「クルミドコーヒー」の店主で、ミュージックセキュリティーズ株式会社の取締役の影山知明さんは、「目の前の人を大事にする」ことを大事にしています。

そしてその先にある道として、“ビジネスとスローの間をいく第3の道”を著書『ゆっくり、いそげ』で示しました。それは時間と手間のかかった丁寧な仕事をしながらも、同時に競争の中で売上や利益も追求するというもの。この「“理想と現実”を両立させる仕事論」では、まず人に“贈る”ことが大事なのだそうです。
 
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カフェで提供しているクルミの産地を訪問する影山さん。自分たちで「ちゃんとルーツから語れる」丁寧なお店づくりを目指している。

そんな影山さんは、カフェの次に今度は本屋をつくろうと考えています。そしてちょうど福岡でブック&カフェのお店を開いている「ブックスキューブリック」大井さんのトークイベントに呼ばれて対談をすることに。
 
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対談会場の「ブックスキューブリック」箱崎店。1階が本屋、2階がカフェ・ギャラリー・ベーカリーになっている。対談は2階で開催。

「ブックスキューブリック」店主の大井実さんは本で人と街をつなぐことで「人々の文化の窓口」になることを目指しています。そのための活動の1つが作家を招くトークイベント。「本へのアツい想い」を編集者などの人のつながりで受け取ると、その本を書いた人を街の人に紹介したくなるのだといいます。
 
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丁寧な選書で、本との出会いをつくりだしている「ブックスキューブリック」。2001年開業時に配布していたパンフレットでも「新たな発見や発想の広がりをかきたてる場づくり」を掲げた。

トークイベントを始めたきっかけは、旅が大好きな大井さんが店にいながらワクワクと世界を広げるために「出かけられないなら呼んでしまおう」と考えたからだとか。大井さん自身も著者と会うことを楽しみにしているのです。

本屋・カフェ・ベーカリーと、自分が好きなことをやってきた大井さんが新しいことを始めるときに大事にしているのは、「情熱と論理性のバランス」。「“理想と現実”を両立させる仕事論」を書いた影山さんとなんだか似ていますね。『ゆっくり、いそげ』をテーマにした対談からは、好きなことを大事にする2人の生き方が伝わってきました。
 
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影山さんと大井さん。大井さんはトークイベント後の懇親会で人のつながりがうまれることも楽しみにしています。

“呼ばれたもの”に向かって世界を広げて、金融と出会った

旅好きな大井さんは、自身のインタビュー方法についても「旅みたいなもの」だといいます。事前に調べすぎずに、ざっくり調べたらあとは即興で流れを楽しむのだそう。トークは影山さんの前史から始まりました。

大井さん このトークイベントね、「徹子の部屋」を想定してやってるんです。徹子気分で根掘り葉掘り聞いていきますね。さっき少しお話を聞いたら、学生時代って嫌な奴だったとか。

影山さん その話からなんですね(笑)

大井さん ええ、しましょう(笑)

影山さん 中学でも高校でも勉強で競っていました。大学も文系最難関っていうので東大法学部を選んだんです。「常にナンバーワンでありたい」という自分がほかの自分よりとても強く出ていた時期だったんですね。

だから大学でお付き合いする女性に対しても、向上心がなかったり本を読んでいなかったりすると「信じられない!」みたいな態度で。でも学業面では「ここでナンバーワンは無理だな」って思っていて。ほんと嫌な奴ですよね(笑)

大井さん ナンバーワン志向に転機が訪れたのはいつですか?

影山さん 就職先や将来の仕事を考えていた時です。仕事もナンバーワンを突き詰めて選んでいくのかな、ナンバーワンなら国連の事務総長かな、という時に『陽のあたる教室』という映画に出会ったんです。

ナンバーワンを目指すのか、身近な人たちと本当に貴重な時間を過ごしながら生きて行くのか、この映画を見て「どっちなんだろう?」って思ったんですね。そして後者の生き方に振れていったんです。

大井さん 就職先は日銀かマッキンゼーかで迷われたんですよね。

影山さん 当時はコンサルティング会社とかマッキンゼーとか知られていなかったので、身内は「そりゃ日銀だろ」と。日銀で働くのは、メインストリームでトップを目指して大きな仕事ができるベクトルですね。

でも結局自分はそうじゃないベクトルを選んだんです。規模は小さいかもしれないけど個性的な生き方をして、個性的な人たちとの出会いを楽しみたいと思ったんです。

大井さん 仕事の仕方とかはすごく鍛えられますよね。

影山さん 最初は社内外からすごく評価してもらいました。でも途中からは落ちこぼれとして過ごして、最後は逃げるように辞めたんです。

大井さん 評価が上がらなかった理由って、何だったんですかね。

影山さん そこも掘るの? さすが徹子…!(笑)

大井さん さらりと嫌なことを聞いていきます(笑)
 
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影山さん 特に指摘されたのは「目線が低い」ということでした。現場で課長さんとかから聞く「現場で働きやすい環境づくりのためにこうしたらいい」とかの声が僕は大事だなと思うんです。

でも当時、会社は株主のものだというのが特に強い時代だったので「もっと経営者目線にならないと。なんならその課長を切るべし」というのがコンサルの仕事だと言われて。僕は結構感情移入しちゃうところがあるので、頭ではわかるんだけど感情がついていかなかったんです。

大井さん なるほど。そこで疑問を抱いたんですね。

影山さん 会社の利潤を大きくするために人を手段化する状況を、システムがつくっていると感じたんです。ほとんどの会社が三人称的に経営されていて、事業とかビジネスの中身に対して、思い入れを持って自分ごととしてやっている人が経営者を含めてどこにもいないと感じました。それで「このシステムに肩入れしている自分って何なんだろう?」って思っちゃったんですね。

大井さん 本の中ではコカコーラとシステムのお話をされていましたね。

影山さん はい。システム自体が意思を持って、みんながオペレーターになっていると。だからコカコーラの人に「本当に世界中の人がコカコーラを飲むようになった方がいいか」と個人的に聞いていくと、「個人的には、必ずしもそうとは思わない」っていう人もきっといる。でも仕組みがそうせざるをえない方向で引っ張っているんだろうと。

大井さん そうした疑問があって、次にどうしたんですか?

影山さん メンター役だった南場智子さんに「プロジェクトをどう選んでいったらいいか」みたいな相談をしたんです。そうすると「仕事を選ぶな」って言われて。

自分に見えている世界の中だけで興味のあることだけやっていると世界が広がらないよと。だけど“呼ばれたもの”に向かっていけば世界も広がっていくし、自分の興味に気がつくことだってあるから、選ぶなというんですね。

このやりとりはすごく覚えていて、今でもすごく自分の中にあるんです。結果的に呼ばれたプロジェクトはほとんど金融機関で、その後金融に目覚めていきました。

大井さん 20代の頃って確かに仕事を選ばない方がいいですね。

影山さん 大井さんもかなり、選ばずに来て世界を広げてますよね。ここのパン屋も、ベーグル屋さんだった厨房が空いて「じゃあパン好きだから」って始めたとか。
 
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本屋併設のパン屋「BKベーカリー

大井さん とりあえず食いついて試してみますね。どうしても食あたりしそうだったら吐けばいいと思って。だから小さな怪我もいっぱいしました(笑)金融に食いついてみた影山さんのその後はどうなったんですか?

影山さん ベンチャーキャピタルを共同創業して、30億円使って40社くらいに投資をしました。投資する前にはその50倍くらいの数の会社の事業計画を見て、経営者さんにも散々面談するんです。

それで「これはいけるだろう」って見込んだ会社に投資をするんですけど、それでも2割は法的整理などの状況になってしまう。結果、この2つ目の仕事でも成果を出せたとはとても言えない状況でした。

でも振り返ると、続いている会社には「自分ごとでどうしてもやりたい」と強い思いを持った経営者さんがいる、という共通点を実感で学ぶことができました。

大井さん で、いよいよクルミドコーヒーが始まるんですね。

みんなが誰かのことを想って仕事する“いい街”をつくっていく

影山さんは西国分寺の実家が空き家になったことをきっかけに、建て替えで「マージュ西国分寺」という多世代型シェアハウスをつくりました。

その1階に「地域とうまく風を通せる場所をつくりたい!」と、自分でカフェを開くことに。そんな影山さんのお店や街への想いについて、大井さんが聞いていきます。
 
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かつての“縁側”のように地域の人が集まる「クルミドコーヒー」

大井さん イタリアに住んでいたことがあるんですけど、マンションに共用の中庭があったりして、ソサイエティというかコミュニティがあるんですよ。

影山さん 日本だと世間はあるけど社会はない気がしています。あるとしても仲間内の世間で閉じられていて、社会に開かれていない感じがして。自分にとって切り離された他人の世界と「関わること自体が嫌」なんですよね。僕はそれが嫌だなと思っているんです。

もちろん関わることの大変さもあるけど、うまく関わることでお互いの可能性が開かれていくことだってあるのになって。そういう問題意識から、シェアハウスも、カフェも、本屋も、コミュニティとソサイエティの間の受け皿にしていきたいんです。

大井さん 人が介在した価値の伝え方っていうことも書かれていますよね。

影山さん はい。僕ら自身が、ちゃんとルーツから語れることが大事だと思ったんです。それで、ないツテをたどってクルミ産地に収穫に行ったりして。

もともと、次の世代の子どもたちに愛してもらえるお店をつくりたいという思いを井川さんに話していたんですけど、そのきっかけはお店を開く1年前に娘が生まれたことでした。それで「どうしたら子どもたちに喜んでもらえるか?」って考えたんです。

それから、子どもたちだからこそ本物に触れてほしいって思うようになって。だから順番としては「こうしたら売れるだろう」じゃなくて「どうしたら喜んでもらえるか」が最初なんです。

大井さん 本に出てきた、ギブする“受贈者的人格”ですね。一方で、テイクする“消費者的人格”もあると。この2つのキーワードについて違いを説明してもらえますか?
 
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影山さん 僕がお店を始めたのは「喜んでもらいたい」というギブの動機でした。一方でお金を取ることが目的となり、そのためにお客さんを利用する構図となってしまうと、それはテイクの動機ということになる。クルミドコーヒーが他のチェーン店と何が違うかといったら、この点なんじゃないかと思うんです。実際やってみて気づいたんですけど、こちらの接し方でお客さんの反応も変わるんですね。

例えば僕も、テイクのお店に行くとテイクな気持ちになることがあります。同じ額を払うならできるだけ多くを取りたい、同じものを手に入れるなら、できるだけ安く手に入れたいって。これは“消費者的人格”って呼ぶのかなと思います。

だけどまず僕らがギブで接して、お客さんも「なんかすごくいい贈り物を受け取っちゃった」となると、「むしろ千円じゃ足りない気がする」って思ってくださることがきっとある。これは別種の人格だから名前をつけようと思って、“受贈者的人格”と呼ぶようにしたんです。

大井さん “健全な負債感”というキーワードも出てきますよね。

影山さん 感謝の気持ちとともに自然に芽生える前向きな返礼の感情をそう呼んでいるんです。いいお店に行った時に、「受け取ったものの方が多いな」「返さなきゃな」っていう気持ちになることってないですか?

いい気持ちになった分、恩返ししようとか、誰かにやさしくなれたりとか。人には、そうやって恩返しや恩送りが循環していく部分ってあると思うんです。“コール&レスポンス”のキャッチボールなんですね。

これをわかりやすい形で試してみようと思ったのが、本の中でも紹介している「ぶんじ」という地域通貨です。使う時には一つだけルールがあって、相手へのメッセージを裏面に書いてから渡してもらっています。
 
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国分寺界隈で流通している地域通貨「ぶんじ」

大井さん コミュニケーションツールとしてやっているんですね。

影山さん そうですね。いい仕事を受け取った時に「今、自分は何を受け取ったんだろう?」って自問自答して書くと、それが自分の中で言葉になって定着していくと思うんです。そのレスポンスを僕らが読むと「またがんばろう」って嬉しくなる。このキャッチボールをちゃんとやっていきたいなと。

するとお客さんにとってもそのお店が他人事ではなくて自分の一部みたいなお店へと育っていく。そんな循環が起きているな、とこの数年感じています。

ぶんじに参加してくださっている他のお店の人たちにもいい変化が起こることがあります。

例えば心意気で始めたはずのお店も、ずっとやっているとお金が目的になって、お客さんを利用するという罠にはまっていくことがありますよね。でも「ぶんじ」に参加すると「じゃあどうやったら、ありがとうという気持ちにお客さんがなってくれるだろう?」って考え始めるんです。もともとお店を始めた時の、本当の気持ちに戻って。
 
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影山さん それって、お店の人たちそれぞれの、仕事の動機が変わったっていうことですよね。街の景色は変わっていないですけど、“いい街”を考えた時にこの変化ほど意味がある変化ってないんじゃないですかね。もしこの世の中にみんなが誰かのことを想って仕事をしている街があったらこんないい街はない、と思っているんですけど、それがだんだん波及していると感じます。

大井さん 本のタイトルについても聞かせてもらえますか?

影山さん 『ゆっくり、いそげ』というのは表紙の絵で、道が3つに分かれているように、ビジーでもスローでもない、両方のいいところをあわせ持った第3の道です。僕の中ではこの真ん中の道が王道だと思っているんですね。中心の道として、特殊な事例として終わらないように世の中に波及していくことも目指していきたいと思っています。
 
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「丁寧さと、成長を求めて人間の可能性を引き出す部分の両方をもった道を考えられないか。経済的な対価を受け取っていく緊張感とか、ある意味成長を目指していく指向性自体は否定されるべきものじゃないと思う」と語る影山さん

大井さん 次の本屋は、テーマをちょっと絞るんですか?

影山さん ひとことでいうと、第二次産業みたいな本屋をやりたいんです。本をつくるということをちゃんと正面からやる、本づくり工房の機能を持った本屋。本を直すこととかもいろいろ考えています。人がちゃんと手間と時間をかけてつくった仕事が持つ熱量を伝えたいんです。

大井さん そういう出版をもともとやりたかったんですか?

影山さん それは全然なかったんですよ。お客さんの中に、文章を書き溜めている人と印刷をやっている人がいて。世の中に出したいけど、ふつうに出版すると「キャッチーにせざるをえない」って悩んでいらしたんです。その時に「この一点だけは貫き通す」っていう強い芯を感じて、応援したくなったんですね。それで、じゃあうちから出しますかって言っちゃったのが始まりなんです。
 
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クルミド出版」の本たち

大井さん 「じゃあうちから出しますか」って、その一言がでるところがすごいですね。

影山さん その辺のおっちょこちょいぶりは、大井さんも相当ですよね。1店舗やり、2店舗やり、気づいたらカフェやって。ふつう、本屋が自分でパン焼かないですからね(笑)

大井さん 即興的に、ライブで盛り上がったからそっちやる、みたいなね。

影山さん そう。だって、そこに文章書いている人がいて、印刷できそうな人がいて、お店やっているから置ける棚もある。「これ、出版業できるんじゃない?」って思っちゃったんです。それでやってみたらとんでもなく大変だったから、事前にその大変さを知っていたらやれなかったかもしれないですけど。

大井さん それは本当にそう。本屋も素人で始めて、カフェも素人、パン屋も素人だったから、もう怖いもの無いんですよね。

影山さん なんとかなる。

大井さん だからみんな、好きに生きたらいいと思うんですよ。

“何を大事にしたいか”を振り返れる問いをたてよう

ここで二人のトークは終了。懇親会に参加できない人のために質問の時間が用意されました。その中で、一人の高校生と影山さんのやりとりをご紹介します。
 
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高校生 質問が3つあります。1つは映画で価値観が変わったのは、自分の中で何があったんでしょうか? 私だったら映画を見ても20年続く価値観を変えられないと思うんです。

2つ目は、利用しあう関係から支援しあう関係へ、どうしたら勇気を持って一歩踏み出して自分を持っていけるんですか? 本の中の「人脈という言葉が世界で一番嫌い」という言葉に、自分も手段にしてしまっていると衝撃を受けました。

最後は、純粋な善意のつもりの行動を振り返って「結局利益のためだったのかな」と罪悪感を感じる事があって悩んでいます。影山さんもそういうことはありますか?

影山さん すごく大事な質問をいただきました。こういう風に本当に読んでくださっている方が来てくださって、ほんとうにうれしいです。
 
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影山さん まず映画については、当時の自分の中にはナンバーワンを目指す自分と、オンリーワンであろうとする自分が同居してせめぎあっているんです。そんな時に映画みたいな誰かの言葉に出会って、「そういうことか」と合点がいく。そして徐々に変わっていくという感じです。

2つ目については、大事なのは意志の源で、“何が好きとかに基づいてちゃんと行動を選択する”ということが全ての原則だと思うんですね。“自分なりの問いをたてることの習慣化”が大事だと思うんです。そしてシステムとか仕組みが与えてくる問いではなくて、自分が大事にしたいことを振り返れるような問いを、繰り返し自問自答していくんです。

僕にとってその問いになったのが、この本の帯に書いてある「目の前の人を大事にする」という言葉なんです。ある時に僕がなにげなく使った言葉を、聞いた人がひろってくれた言葉なんですけどね。

それから「僕にとって目の前の人を大事にするって、どういうことなのか?」って、もう20年くらい考えているんですよ。この問いに出会えたことが、自分と人との関わり方の姿勢を大きく変えることにつながったんですね。
 
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『WE love WORKing』という本の取材で影山さんから出てきた「目の前にいる人を大事にする」という言葉

影山さん 3つ目については、自分の利益と相手の利益も同じだと思うんです。「自分の都合でまわりの人を利用しちゃったな」と思う局面は僕にも無くはないんですよ。でもそういう自分に気がつくことができれば、もう一回誰かのために誠心誠意尽くしていくっていうふうに、自分を振り向けることがきっとできます。

「どっちなんですか?」って問うとすごく苦しいから「きっと両方なんだ」って。その両方を、高いレベルで実現していければいいんだと思います。

大井さん 「求めよさらば与えられん」ってありますけど、商売だと「与えよさらば与えられん」という言葉が正しいんじゃないかな。どちらが先にイニシアティブをとるかっていうと。

影山さん お店をやっていると、ちゃんと返してもらえるって思えるようになるんですよね。
 
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トーク終了後はそのままカフェスペースで懇親会へ

(対談ここまで)

 
いかがでしたか?

“何が好きか”を大事にしている影山さんと大井さん。軸を持ちながら、旅のように偶然や出会いを楽しんでいる姿が印象的でした。まずはやってみるというオープンな姿勢で世界を広げていくことと、「本当に大事なことは?」という自問自答を同時に進めることが大事なのですね。

みなさんはどんな問いを立てていますか。そして本当に大事にしているものは何でしょう。もしもまだ見つからないという人は、まわりを応援することから始めてみるのはどうでしょうか?

『ゆっくり、いそげ』の中で影山さんは次のように記しています。

「まわりをいかす」→「まわりにいかしてもらう」→「自分をいかす」。これでいいのだ。自分が何をやりたいのか、自分の何に向いているのか、迷って動けなくなるくらいなら、まわりの頑張っている人を応援することから始めればよい。