greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

空き瓶で奏でる音楽を通じて、東北支援の輪を広げる「ビン笛つながりプロジェクト」に聞く「つながり」の持つ力

topimg
ビン笛つながりプロジェクトのメンバーたち

この記事はグリーンズで発信したい思いがある方々からのご寄稿を、そのままの内容で掲載しています。寄稿にご興味のある方は、こちらをご覧ください。

こんにちは。再生エネルギーに関する取材活動をしている新藤秀樹と申します。

東日本大震災から5年後の2016年4月、熊本地震が九州を襲いました。
日本に住んでいる限り地震とは無縁でいられません。

そうは言っても、現地に住んでいる友人や親戚でもいない限り、遠く離れた場所の地震を自分ごととして捉えるのは難しいですよね。


大地震を「どこか遠くで起きた自分とは関係のないこと」と切り捨ててしまわないために、私たちに何かできることはあるのでしょうか?

私は、「つながりをつくる」という方法が最も効果的な方策ではないかと感じています。

この記事では、東北現地と「つながり続けること」を目的として活動している市民有志団体「ビン笛つながりプロジェクト」についてご紹介します。

ビン笛つながりプロジェクトの主な活動

「ビン笛つながりプロジェクト」は、東北応援コンサートや保養キャンプを主催している団体です。コンサートの売上金は支援団体を通じて現地へ届けられています。

2011年から2015年までの合計支援金は165万円にのぼります。
2015年9月には宮城県の「手のひらに太陽の家」を貸し切り、保養合宿「手のひらキャンプ」を主催。福島県在住の親子19名を招待しました。

現地と「つながり続けること」に関して、「ビン笛つながりプロジェクト」の発起人である「ビン笛合奏団 La(ラ)マーズ」(以下「Laマーズ」)の3人にお話を伺いました。
 
three
「ビン笛合奏団 Laマーズ」。左からサチさん、ナメコさん、リカさん。

「ビン笛つながりプロジェクト」の始まり

新藤 「ビン笛つながりプロジェクト」が始まった経緯を教えていただけますか?

ナメコさん 「ビン笛つながりプロジェクト」という正式名称になったのは2015年1月です。

東日本大震災以前は私たち3人で「ビン笛合奏団Laマーズ」として活動していましたが、震災をきっかけとして「現地のために自分たちに何ができるだろう?」という話し合いの場を持つようになりました。
2011年の6月から、コンサートで支援金を集めるという東北支援の活動を始めました。
 
nameco
ナメコさん

サチさん 話し合いの場には私たち3人だけではなく、私たちのコンサートに来てくれた方や知人など十数人が集まってくれて、みんなで一緒に「今できること」を考えました。
 
sachi
サチさん

ナメコさん 現地に音楽を届けたいという気持ちもありましたが、音楽が必要とされる時機まで待つことにしました。それまでは私たちの賛同する支援団体に、支援金として直接届けることにしたんです。

サチさん 大きな団体に寄付してもすぐには被災者に分配されません。自分たちで信頼できる団体を探して直接寄付していました。

ナメコさん 実は、以前は「ボランティア」というものに対して一種「うさんくささ」を感じていました。

サチさん 私も「ボランティア」に対しては、あまりいい印象がありませんでした。でも言葉の意味を良く調べてみたら、「ボランティアとは自主的な活動」だということが分かりました。

リカさん 自分たちで「やる、やらない」を決めるのが「ボランティア」だと分かって、3人とも腑に落ちたんです。
 
rika
リカさん

震災後の被災地を見て

earthquake
被災地の様子。出展:photo AC

ナメコさん 震災から一か月後、会社の同僚と一緒にボランティアに行きました。
「こんな場所まで被害があるのか!」という印象でした。

海なんて全く見えないような山の中を走っているのに、川を逆流して来た水の被害で更地になっている場所ばかりで。「本当なんだ」っていうショックがありました。

リカさん 私は2011年6月に気仙沼を少し歩きました。とにかくビックリしました。建物がみんな流されていたり、小学校の校門が津波の力で曲がっていたり。

校門の写真をとろうとしたら、支援団体の方から「ここはプライベートだから、写真はやめて。」と言われたんです。校庭の中に仮設住宅があったんです。「校庭の中にプライベートがあるんだ!」って驚きました。言葉にならないものがありましたね。



サチさん 私も震災の年の12月に南三陸町を通って、ビックリしました。「何もない…」って。土台がかろうじて残っているけど、上にあるはずの家がなくて。

音楽を被災地に届ける

concert
コンサート風景。出展:ビン笛合奏団Laマーズ公式ページ

ナメコさん 2012年11月に南三陸町で最初のコンサートを開きました。

リカさん 家から出られないお年寄りもいて。「音楽なら家から出られなくても聞こえるだろう」という気持ちで演奏しました。コンサート前に住宅の周りを「音楽をやりますよ!」って練り歩きながら告知して回ったんです。それは「すごく良かった」って言われました。

「手のひらキャンプ」を開催した経緯

palm-house
「手のひらに太陽の家」。出展:手のひらキャンプ

ナメコさん 別団体の保養合宿に協力して、私たちは音楽、お化け屋敷、お風呂、キャンプファイヤーなどを担当したんです。帰り道で、「自分たちだけでやってみない?」という話が誰ともなく出ました。企画から何から大変でしたけど、予約を受け付け始めたら最初の日から申込が殺到して。


リカさん お断りすることの方が多くて申し訳なかったですね。

プロジェクトの目標

新藤 「ビン笛つながりプロジェクト」には何か目標はありますか?

リカさん 「東北応援の輪をひろげていく」というのが今の目標です。それと「続ける」ということです。
私たちには、


1)南三陸町での交流コンサート

2)福島に住む子どもたちを迎えての保養合宿

3)東京での東北応援コンサート


という活動の三本柱があります。

若い人たちへのメッセージ

新藤 若い人たちやボランティアに抵抗のある人たちに向けてメッセージをもらえますか?

リカさん 小学校から高校くらいの子たちを相手に活動で感じたことを話すと、すごく伝わっている感じがします。東京周辺の子どもたちには、福島に住んでいる子どもたちと対等に交流して欲しいですね。

とにかく大人と関わったり、直接いろんなものを見たり、感じたり。そういうことを増やしてほしい。私たちのコンサートに来てもらってもいいと思います。聴いて、自分で感じて欲しいです。
 
rika-L
リカさん

ナメコさん 若い人たちも、自分の選択で生きていくわけですよね。誰かに指図される必要もありませんし。そういう意味では、自分の目で見て、自分で情報収集して、選択してほしいです。

例えば「電気の自由化」が今進んでいます。一つの選択基準として、「電気料金が安くなるから」というものがあります。他にも、「再生可能エネルギーを選択したいから」というものもあります。選択に対して、自分がどんな立ち位置から選ぶのかということを、ちゃんと考えながら選んでもらいたいです。
 
nameco-L
ナメコさん

サチさん 例えば南三陸町に何度も行くと、そこに親戚ができたかのような気持ちになるんです。


つながりがあると、その人のことを思い出しながら日々過ごすじゃないですか?

現地に知り合いがいると、震災をなかったことにはできません。現地に誰も知り合いがいなかったら、知り合いを作る。「つながっていく」ことが大事だと思いました。若い人たちには、そういう「つながり」をいっぱい作ってほしいです。
 
sachi-L
サチさん

(インタビューここまで)

リーダーがいなくても自然とひろがり、物事が決まっていく不思議なプロジェクト

「ビン笛つながりプロジェクト」では、誰かが方針を決定するわけでもなく、活動内容をみんなで話し合いながら物事が決まっていきます。

私も話し合いに何度か参加していますが、不思議な推進力のようなものを毎回感じています。

「ビン笛つながりプロジェクト」では、プロジェクトを手伝ってくれるメンバーを常時募集しています。

・月一回の打ち合わせ(東京都板橋区周辺)に参加してみたい。
・南三陸町での活動を手伝いたい。
・東京でのコンサートを手伝いたい。
・その他、何か力を貸したい。

もしこのような気持ちがありましたら、以下のメールアドレスから「ビン笛つながりプロジェクト」に関わってみてはいかがでしょうか?

「ビン笛つながりプロジェクト」

http://binbuetsunagari.strikingly.com
mail: team★la-mars.com
※メールを送信する際は、上記の「★」を「@」に置き換えてください。

(Text: 新藤秀樹)
(写真: 横田聡)
 
shindo

新藤秀樹
会社員としてWebエンジニアの仕事をしながら、副業として不動産投資を開始。現在は退職し、不動産大家、電子書籍の執筆、再生エネルギーに関する記事の執筆などを中心に活動中。著書に『暮らしと心が楽になる「中古戸建投資」: 借金ゼロ・経験ゼロ・人脈ゼロでもできる不動産投資の始めかた』(Amazon KDP)がある。2016年現在、神戸市在住。

不動産投資で「シンプルワーク」
http://simple.publicgoods.biz/

– INFORMATION –

 
より詳しいインタビューはこちらからご覧いただけます。
http://eco.publicgoods.biz/lamars/