ISSUE ☆日本と世界のソーシャルデザイン

5 months ago - 2016.07.01

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知識と本でつながるコミュニティはいかが? 昼は本好きが集い、夜はランタンのようにきらめく、まるでアート作品のような市民図書館「The Story Pod」

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突然ですが、みなさんは最近、誰かと本の貸し借りをしましたか?

これまでもgreenz.jpは、アーティストがつくった本棚を街なかに設置し、地域みんなで本を楽しむ「The Public Collection」や、“街のリビング”をテーマに、市と住民が一緒につくりあげた「Halifax Central Library」など、本を通じたコミュニケーションや新しい図書館について色々とお伝えしてきました。

今回ご紹介する「The Story Pod」は、カナダ・トロント近郊の川沿いにある小さな木の建物。近くに住む人々が本を通して交流するためにつくられ、昼間は図書館として、そして暗くなるとランタンのように灯りを放ち、地域のランドマークとしても住民に愛されているといいます。いったいどんな場所なのでしょうか?
 
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図書館があるのは、川沿いの緑豊かなエリア

「The Story Pod」は、2.4メートル四方の個性的な箱状の建物。手がけたのは、これまでに数多くのオリジナリティあふれるデザインを生みだしてきた、「Atelier Kastelic Buffrey」です。

黒い細長い板を縦に並べた外観がスタイリッシュな印象を与えていますが、廃材を最小限におさえるため内部にはベニヤ板なども多く使われています。
 
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板のすきまを通る光や景色のおかげで、座っていても開放感があるつくり

建物の扉が開くと見える本棚には、背表紙がずらり! これは読書好きたちを引き寄せるディスプレイの役割も果たしているのだとか。

ちょっとした座るスペースなどもあり、訪れた人は思い思いに読書を楽しむことができます。
 
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絵本から最新の人気小説まで種類は豊富!次は何を読もうかな?

そして夜になり扉が閉じられると、図書館は光り輝くオブジェに変身!

内部のLEDライトは屋根のソーラーパネルによって発電されており、近くの大通りや川沿いの散歩道を歩く人たちの目印になっています。
 
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板の隙間の幅が異なるデザインには、内側からの光をより印象的に見せる目的もあるそう

こんなユニークなスペースに置かれているのは、誰が選んだどんな本なのだろうと気になる方もきっと多いはず。実は、ここにある本は全て地元の方々が持ち寄ったもの。

「The Story Pod」が開いているときは、利用者は自主管理のもとで、自由に本を取り、贈り、交換することができます。本棚は住民たちからの常に新しい寄付によって「循環」しているので、オープン当初にあった本はすでに1冊も残っていないそう。そんないわば、住民たちの「真心」によって成り立っている図書館なのです。

知識の共有でコミュニティをつくる「Little Free Library」

このスタイルのモデルとなっているのは、2009年に北米で始まった「小さな図書館(Little Free Library)」という活動。個人や企業が、玄関などに郵便ボックスのような小さな本棚を置き、持っている本をご近所さん同士でシェア。このコミュニケーションが活発化することで、本の貸し借りや知識の共有を通してのコミュニティ形成を目指しています。

この活動に参加する人々は、それぞれが好きなデザインの本棚を自分でつくりますが、公式Webサイトに設置の手順や運営のコツが詳しく紹介されているため誰でも気軽に始めることができ、現在、サイトの地図上に登録されている「小さな図書館」は全世界で25,000ヶ所以上! 今では専用の本棚づくりのためのDIYキットまで、発売しているそうです。
 
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住民の憩いの場としてすっかり定着している「The Story Pod」。それぞれがリラックスして本を楽しんでいる様子が伺えます

地域の人が自分たちの教養を高めあい、お互いのコミュニケーションを活性化させるためにつくった「The Story Pod」。光や風を感じながら自然の中で読書を楽しみ、本を通じて住民同士が仲良くなれる、こんな場所が近くにあったら、私はつい通ってしまいそうです。

みなさんも、まずは自分のお気に入りの本をシェアして、誰かと読書の喜びを分かちあってみませんか?

[via inhabitat, dezeen, Atelier Kastelic Buffrey]

(Text: 佐々木はる菜)

日本にもあります!大阪発、「小さな図書館」をつくる活動。あなたの家の近くにもあるかも?
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