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コミュニティの力を引き出し、ほしい未来を実現しよう! グリーンズが開講する学校プログラム「コミュニティ・オーガナイジング・クラス」って?

改善したい地域の困りごと。
そして、待ったなしの社会課題。

たくさんの問題が存在する世の中を変え、ほしい未来をつくりたいと活動されている方はきっと、少なくないはずです。でも、具体的にはどこから始めたらいいのかわからないと立ち止まってしまった方も多いのではないでしょうか。

グリーンズが運営している「グリーンズの学校」では、そんな方にきっと役立つ、「コミュニティ・オーガナイジング」のクラスを開講することになりました。

とはいえ、「コミュニティ・オーガナイジングって何?」と、聞き慣れない言葉に戸惑っていらっしゃる方も多いかもしれません。そこでまず、このクラスを受講することに決めたgreenz.jpシニアライターの私が「コミュニティ・オーガナイジング」についてご紹介したいと思います。

そもそもコミュニティ・オーガナイジングって?

今回開講する「コミュニティ・オーガナイジング・クラス」では、自分が解決したいと思っている課題に対する想いを口にして人に伝え、共に行動する仲間を集め、コミュニティをつくっていく手法を学びます。

その手法は具体的に、

1.ストーリーテリング(パブリック・ナラティブ)
2.関係構築
3.チーム構築
4.戦略立案
5.アクション

という5つのリーダーシップの要素から構成されています。

これだけではイメージしづらいかもしれませんが、例えば1では、自分がリーダーシップをとる理由を他の人に理解してもらう「ストーリー・オブ・セルフ」、共に行動したい人々と共有する価値観に基づく「ストーリー・オブ・アス」、そして今行動しなければという瞬間を語る「ストーリー・オブ・ナウ」という3つのストーリーを明確に言葉で表現する方法を学びます。ストーリーを語ることは、コミュニティ・オーガナイジングにとってとても大切なプロセスです。
 
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1.ストーリーテリング(パブリック・ナラティブ)

さらに2では、同じ目的を共有する意図的な関係を構築する方法を、3ではリーダーシップ・チームを構築する方法を、4では、文字通り目標を達成するための戦略を練る方法を、そして、最後に戦略を効果的な行動へと転換する方法を学んでいきます。
 
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4.戦略立案

このようにコミュニティ・オーガナイジングは、非常に体系化されたメソッドなのです。情熱や熱い想いでもって課題に対して取り組んできた方にとって、とても力強い味方になることでしょう。

そんなコミュニティ・オーガナイジングの発祥は、1900年頃のアメリカ。アメリカと言えば、民主主義の最たる国である一方、実際に政治の世界で活躍しているのは白人男性ばかり。特に当時は、有色人種や女性、労働者の声が政治に届かない状態でした。

この状況をなんとかしたいという思いで一般市民が立ち上がり、社会の仕組みを変えていく方法として、コミュニティ・オーガナイジングが考え出されたのだそうです。その後、さまざまなオーガナイザーや学者によってメソッド化されていきました。

今の日本も、民主主義を中心に社会が回りつつも、女性や障がい者など、マイノリティの言葉はなかなか響きません。そんな日本に、コミュニティ・オーガナイジングを取り入れようとしているのが、今回のプログラム開講にあたって、「グリーンズの学校」とコラボレーションをする「NPO法人 コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン」です。鎌田華乃子代表理事笠井成樹フェローにお話を訊きました。
 
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コミュニティ・オーガナイジングを日本で広めるべく奮闘中の鎌田華乃子代表理事と笠井成樹フェロー。グリーンズの学校ではおふたりから直接学ぶことができます。

鎌田華乃子さんがコミュニティ・オーガナイジングと出会うまで

もともと鎌田さんは、日本で環境コンサルタントとして企業に勤めていましたが、企業で社会課題を解決することの限界に直面。そして会社をやめて公共政策について学ぶために渡米し、市民運動について学ぶ中で、マーシャル・ガンツ氏に出会いました。

市民運動の研究を続け、コミュニティ・オーガナイジングを体系化し、オバマ大統領の選挙戦でもその手法を用いて活躍したガンツ氏の授業を受けた鎌田さんは、日本にコミュニティ・オーガナイジングを紹介することで切り開ける可能性があると感じたといいます。

鎌田さん 欧米に比べると、日本のNPOは存在感がないですよね。でも、コミュニティ・オーガナイジングを使うことで、市民とNPOの距離を近づけられると思ったんです。

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コミュニティ・オーガナイジングの可能性について熱く語る鎌田さん。アメリカで学び、身をもってその力を知っています。

市民運動を応援する文化も社会の雰囲気もない日本でも、コミュニティ・オーガナイジングを広めることで、行動を起こし、仲間を集める人を増やし、社会をよくしていける。そう感じた鎌田さんは、帰国後、2013年にNPOを立ち上げました。

とはいえ、鎌田さん自身、市民一人ひとりが社会のために行動を起こす習慣のない日本では、コミュニティ・オーガナイジングが有効なのか、懐疑的な面もあったそう。

鎌田さん でも、コミュニティ・オーガナイジングは、権利を獲得するだけのものではなく、地域の問題を自分たちで解決することにも役立つんですね。

たとえば、保育所がない地域で、お母さんたちがコミュニティ・オーガナイジングを使って共同託児所をつくるといったことにも使えるメソッドなんです。

そこでコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンでは、コミュニティ・オーガナイジングを多くの人に知ってもらうために、ワークショップを開催しています。そこへたまたま参加した笠井さんは、そのメソッドの独自性に感銘を受け、NPOを手伝うことを決めたのだとか。

笠井さん ストーリーテリングといって、それぞれの意見や想いを話すんですけど、そうやって個々のストーリーを共有し、自分たちの問題として捉えてもらうのが新しいと思いました。自ら発信することの大切さを真っ向から口にしているところに、勇気をもらったんですよね。

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コミュニティ・オーガナイジングの魅力に惹かれてやまない笠井さん。「よくできているんです」と、そのメソッドを語る口調にも力が入ります。

コミュニティ・オーガナイジングは、心理学や社会学、哲学などをもとに、メソッド化されているので、ワークショップでもテキストを使って学んでいきます。「グリーンズの学校」で開催されるクラスももちろん、コミュニティ・オーガナイジングを知り、知識を深める貴重なきっかけになるに違いありません。

笠井さん ただし、HOW TOではないので、実際にどんどん実行して、磨いていくものですね。実践が必要なんです。

鎌田さん ワークショップ自体も、安心して失敗できる場にしたいんです。なぜ失敗したのか、一緒に振り返る手伝いをするコーチがいて、失敗を失敗のまま終わらせないことで、学ぶ気持ちがあればいくらでも成長できると思います。

ワークショップを通して基礎力をつければ、何となくやりたいと思っていることの一歩を踏み出す、そんな勇気がわいてきそうです。

既にワークショップの成果が!

「NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン」が開催するワークショップに参加する人は、職業や年齢、性別など、本当にさまざまな人なのだそうです。

ビジョンとミッションを共有しつながっていくために活用したいというNPO職員のニーズが多いそうですが、実は社内の働く環境を変えるために活用したいという会社員の方々も少なくないのだとか。

笠井さん 日常で使えるものもたくさんあるんです。人との関係をどう構築するかといったようなことは、日常生活ですぐ活用できますよね。

さらに、ワークショップを始めて2年目となった昨年は、ワークショップだけでなく、“実践伴走”と呼ぶコーチングを組み合わせることで、参加者の中からさまざまな成果を挙げる人も出てきました。

たとえば、既存のジェンダー規範や、それに対する違和感に問題意識を抱いていた参加者は、ワークショップの中でLGBTの当事者と出会って意気投合すると、ジェンダーの問題で苦しんでいる人たちのために何かしようと行動をスタートさせます。

LGBTの当事者の方は埼玉出身でした。東京に出てきてLGBTコミュニティに参加するものの、埼玉の家に帰ると本当の自分を隠さずにはいられない、そんな生活を送っていたのだといいます。そこでふたりが考えたのは、埼玉県で「LGBT成人式」をおこなうことでした。

「LGBT成人式」は全国各地でおこなわれている、年齢や性別、ジェンダーに関わらず、自分が自分らしくあることを祝福するセレモニーで、以前にgreenz.jpでも紹介したのでご存知の方も多いかもしれません。

活動当初はふたりきりだったのが、新たに1人加わって3人がコアのチームとなって実行委員会に拡大、最終的には36人のボランティアを抱えるチームになったそうです。このようなチーム構築も、コミュニティ・オーガナイジングで学べる大きな柱です。

鎌田さん 開催されたLGBT成人式には136人もの方が参加されました。何もなかったところから、半年でそこまでやりとげることができたんですね。何の実績もなかった人たちなので懐疑的な意見もありましたが、それを乗り越え、最後にはテレビの取材を受けたりもしました。

ほかにも、ワークショップに参加した人々の中には、岩手の助産師さんが、産後のお母さん同士が助け合えるコミュニティをつくり、さらに今はケア施設を付くることをめざしていたり、千葉の団地で孤独死などを防ぎ、支え合うコミュニティをつくろうとしている人もいるそうです。

社会はちゃんと変わる

まだまだ日本では、認知度が高いとは言えないコミュニティ・オーガナイジング。広まっていけば、どんな変化が期待できるでしょうか。

笠井さん 一番最初の変化は、それぞれの人が自分の想いを伝えるようになることだと思います。日本はそれがしにくいし、そういう経験もなかなかありませんよね。でも、自分のおかれている環境や直面してる問題を誰かに伝えて共有することで、そこから何かが始まっていくと思うんです。そういう変化をまず望みたいですね。

鎌田さん コミュニティ・オーガナイジングという方法論をもとに行動を起こせば、ちゃんと変わるんです。変わるんだっていう気持ちを多くの日本人が持てるように貢献していきたいですね。

鎌田さんが口にする「ちゃんと変わるんです」という言葉が、力強く、明るい希望とともに響きました。
 
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コミュニティ・オーガナイジングの可能性が実感できるインタビューとなったこの日。「グリーンズの学校」で学べる機会をお見逃しなく!

ほしい未来は、つくろう。そう望んでいる方にぴったりな、コミュニティ・オーガナイジング。日本で学べる機会は、まだそう多くはありません。

6月28日から始まる「グリーンズの学校」での「コミュニティ・オーガナイジング・クラス」は全6回の連続講座です。通常、集中的に開催されているワークショップとは違い、より時間をかけてじっくり学ぶことができます。

鎌田さん 時間をかける分、自分が本当にしたいことを修正しながら学べると思います。人って意外と自分のことがわかっていないので、自分自身を理解する必要があると思うんですね。何かを変えたいという熱い想いを持っている人でも、本当にエネルギーや時間をかけて自分がやりたいことなのか考えることは必要だし、それができるといいですね。

つまり、今の段階ではそこまでやりたいことが明確でなくても、漠然としていても、何かが見えてくるきっかけになるかもしれないということです。自分で話をしたり、周りの参加者が質問してくれたりする中で、新たな気づきに出会う大切なきっかけになりそうですね。

何かがしたいけれど、今は立ち止まったまま。
せっかく動き始めたけれどなぜだか上手くいっていない。
そんな方はぜひこの機会に、コミュニティ・オーガナイジングという新しい智恵を求めて一歩を踏み出してみませんか?

– INFORMATION –

【グリーンズの学校】コミュニティの力を引き出し、ほしい未来をつくるムーブメントをつくろう!COJ笠井成樹さんと学ぶ「コミュニティ・オーガナイジング クラス」

最後までお読み頂きありがとうございます!コミュニティ・オーガナイジングクラスは現在参加者募集中です。
なにかアクションしてみたいことや、自分のプロジェクトには、仲間の力が必要だ…(でもどうやって仲間集めたらいいんだろ、そもそもプロジェクトの言語化って難しいetc)そんなモヤモヤ感じている方にぴったりのクラスです。
あなたのやりたいことを言語化したり、仲間を見つけるノウハウを学べます。

【講師】

笠井成樹(かさい・しげき)さん

【講座日程】

第1回 5/9(水) 19:30 〜 22:00
第2回 5/16(水) 19:30 〜 22:00
第3回 5/23(水) 19:30 〜 22:00
第4回 5/30(水) 19:30 〜 22:00
第5回 6/13(水) 19:30 〜 22:00
第6回 6/19(火) 19:30 〜 22:00

【会場】

グリーンズオフィス
東京都渋谷区神宮前2-9-15アズマビル1階
東京メトロ 千代田線 「明治神宮前」駅、銀座線「外苑前」駅、副都心線「北参道」駅、JR「原宿」駅からそれぞれ徒歩10分

【参加費】

一般 ¥42,000
ピープル割 ¥37,800
学生割 ¥22,000
遠方割 ¥36,000
再受講 ¥21,000

【定員】

12名
※申し込みは先着順です。定員に達し次第申し込みを締め切らせていただきます。
※最低開講人数は6名です。開講の決定は初回授業の1週間前までご連絡いたします。

【申し込み先】

お申し込みはこちらから

締切:5月1日(火)22:00
※定員に達し次第、受付を停止します。お早めにお申込み下さい。