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誰もがどこでも映画館が開けるオープンプラットフォーム「popcorn」を立ち上げた、ナカムラケンタさんと大高健志さんに聞く、映画とコミュニティの未来

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どうも、「green cinema Harajuku」館長の石村です。

ご存じない方も多いかと思いますが、私は、まだグリーンズの事務所がリトルトーキョーにあった時代から、2ヶ月に1回、映画上映会を開いています。

「知らなかった」という人にはぜひ来てほしいところですが、今回はその話ではなく、グリーンズでもお馴染み、「日本仕事百貨」のナカムラケンタさんと、「MotionGallery」の大高健志さんが、映画の自主上映の新しいプラットフォーム「popcorn」を立ち上げるとのことで、一体どのようなもので、どんな未来を実現しようとしているのか、お話を聞きつつ、いち上映者としても色々疑問をぶつけてきました。
 
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ナカムラ ケンタ
1979年東京生まれ。明治大学大学院建築学専攻卒業後、株式会社ザイマックスを経て、生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」を企画運営。シブヤ大学しごと課ディレクター、シゴトヒト文庫ディレクター、グッドデザイン賞審査員・フォーカス・イシュー・ディレクター、リノベーションスクールユニットマスターなどを務め、東京の真ん中に小さなまちをつくるプロジェクト「リトルトーキョー」や「しごとバー」の企画・デザインを監修。著書「シゴトとヒトの間を考える(シゴトヒト文庫)」。

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大高健志(おおたか・たけし)
米系コンサルティングファームに入社し、主に通信・メディア業界において、事業戦略立案、新規事業立ち上げ支援、マーケティング改善等のプロジェクトに携わる。その後、東京藝術大学大学院に進学し映画製作を学ぶ中で、クリエィティブと資金とのより良い関係性の構築の必要性を感じ、2011年にMotionGalleryを立ち上げた。以来1200件を超えるプロジェクトの資金調達~実現をサポート。1983年生まれ。

まったく新しい映画体験を

石村 まず、「popcorn」とは、どのようなサービスなんでしょうか。

ケンタさん 「popcorn」は、誰もが気軽に映画を上映する場所を始められる、そんな仕組みです。

そもそものきっかけになったのは、日本仕事百貨のスタッフ募集の応募者でした。面接ではよく「今回の募集はとりあえず置いといて、そもそもどんな仕事をしたいですか?」という聞き方をするんです。

そしたら1人の方が「映画の勉強をしてきたしすごい好きだけど、映画は趣味でいい」という話をされて。個人的にもったいないと思ったので、映画の仕事をつくることができないか一緒に考えてみることにしました。

さらに話を聞くと、「映画を制作するよりも、広めたり紹介したい」ということだったので「小さな映画館を始めるのはどうですか」という話をしたんですが、調べてみると映画館って始めるためのハードルがとても高いんです。

それに今までのやり方と同じように映画を上映するだけの場所としてやるのは限界があるとも感じて。だったらたまに映画も流せるような飲食店とか、全体として自分のやりたいことをやりつつ映画も流す場所はつくれないかという話になりました。

でも、よく調べてみると、映画館でないところで映画を流すのもまたハードルが高いんですね。映画を流すには上映権が必要で、普通の映画館の場合は売上げに応じてお金を支払うんですが、映画館以外の場合は一定の金額を払って上映します。

例えば1回10万円だと、1800円換算で56人来ないと費用がペイできないわけです。毎回60人集めないといけないとなると、始める人はなかなかいませんよね。そこに機会損失が生じていると思いました。

じゃあどうすれば始めやすくなるか。10万円という金額は、コンテンツの価値や上映用のDVDをやり取りする手間やそもそもの価値を考えると決して高い金額ではないけれど、その手間の部分をなくしてネット経由で上映できる仕組みにすれば、映画館と同じように入場者数に応じて課金するようにできるんじゃないかと思ったんです。

初期費用がかかならいし、入場者数が少なくても入場料収入が発生する。始める敷居は低くなるから、爆発的に自分の映画館を始める人が増えていくと思います。

そして、それによって新しい上映場所ができれば、配給会社としてもこれまでにない市場を創出することができるかもしれないし、見る側もまったく新しい映画体験になる可能性があると思いました。

石村 それをやるのも、ストリーミングのシステムとかいろいろハードルがありそうですが、実際に可能なんでしょうか?

ケンタさん 僕は映画のことはよくわからないので、大高くんに翌日電話して相談してみたら、「とっても難しいけど、面白いからやってみよう」と言ってもらえたので、じゃあ一緒にやろうよってことで始まった感じですね。

僕は、その難しさというのも全然わからないんですけど、どんなことも「まずはやってみよう」という感覚でいつも始めるんです。やってみないとわからないじゃないですか。
 
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つまり、「popcorn」はラインナップされた映画の中から好きな作品をストリームで上映することができるシステムで、カフェやイベントスペースなど様々なところで映画の上映が可能になるというわけです。

しかし、それだけでは今の自主上映のシステムを便利にしただけのように見えます。「popcorn」が提供する新しい映画体験とはどのようなものなのでしょうか。

映画に多様性を生むシステム

石村 具体的に”新しい映画体験”というのは、何を意味してるんですか?

ケンタさん 映画を見る機会はインターネットを通して増えているのに、ミニシアターや地方の映画館がどんどん無くなることで、映画の多様性が失われているような気がしているんです。

僕は仕事柄、いろんな人の目線で考えることをしているんですけど、多くの人からはシネコンしか存在していないようになっていると思うんです。

石村 実感としては、シネコンでやっている作品はどこも同じというのはありますけど、シネコンも今までミニシアターがやっていたような作品を上映することもあるし、自主上映という形も広がりつつあるので、見られる映画の多様性が失われているとはあまり思いませんね。いわゆるマイナーな映画に出会う機会は減っているのかもしれないですけど。

大高さん たしかに、シネコンでも若手監督の作品や、アートフィルムをかけることはあります。でも、特集上映だったり深夜に1週間だけとかしかやっていなくて、基本的には画一的な上映プログラムになってしまっているのではと思います。

シネコンの場合、公開して最初の土日の動員数でその後の上映スケジュールを決めたりするので、配給会社は公開1週間前くらいから大きく宣伝してそこに人を集めようとするわけです。それは、かなり以前から変わらない興業スタイルです。

この場合、宣伝にお金をかけられる映画のほうが有利なわけで、いわゆるマイナー作品はすぐ終わってしまうことになります。でも今は、昔ほどみんなの中での映画に対する優先順位が高くないので、最初の土日に絶対見に行くっていう人なんてほとんどいない。ここに興業のスタイルと観客の行動形態のミスマッチが起きているんです。

石村 たしかに。公開したらすぐ見に行くというより、SNSなどで情報がじわじわ広がってから見に行くという人が多いような気がしますね。

大高さん そう、一般の人は、周りが見に行ってじわじわ広がってから見に行くとか、行きたいんだけど時間がないからそのうち行こうと思ってずるずるしている内に、上映が終わってしまったというのが本音だと思うんです。

「popcorn」がいいなと思っているのは、現状では見る側も機会が減ってしまっていて、制作側も映画館の短い上映期間の中でリクープしなきゃいけないような状況の中で、時間や場所、そして“作品の鮮度”に縛られないシアターが全国各地にできれば、今まで見られる機会がなくなってしまっていた作品の寿命をのばすことになるということです。

そうすると、制作者の回収の機会を増やすことにもなるし、見逃してしまったという人にも見る機会を与えることになると思います。しかも、上映が「この日」って決まっていることで、ゲストトークがある回に見に行こうと考えるにように、腰を上げるきっかけにもなるんじゃないでしょうか。
 
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ライブとしての「映画」を求めて

石村 マイナーな作品を見る機会が増えることで制作者も観客もハッピーになるということですよね。

私も実際にグリーンズで上映会をやってみて、「見たかったけど見逃した」とか「どこで見られるかわからなかった」という理由で来る人が結構多いことに驚きました。そういう意味で見る機会が増えれば見る人も増えるとは思います。

ケンタさん そうですよね。あと考えているのは、鑑賞体験にもいろいろな多様性をつくることができると思うんです。

映画館で見るというのも素晴らしい体験なのですが、全然知らない人たちと肩を並べて見たのに、見終わった後の熱気を自分の中に押し込めて、何も語らず、会話もせず、同じエレベーターに乗り帰っていくっていうのは、リアルな場所を使う映画館としてはもったいないとも思うんです。

その点、まだまだ全国には少ないですが、自主上映は多様性に富んでいます。だから「popcorn」では、それぞれにマイクロシアターをつくってもらって、そのリアルな場を生かす方法を自由に発明してもらおうとも思っているんです。

今、考えているのは銭湯やプールサイドで映画を見るとか、映画にでてきた食事を食べながら映画の話をするとか、ロケ地で映画を見るとか。

大高さん 僕はそこに意味を感じていて、「popcorn」って本質的には何のイノベーションでもないし、何も新しくないかもしれないけど、むしろ原点回帰だと思うんです。

今、音楽がどんどんデジタル化するなかで、売上げを上げる場がライブになっていますよね。映画も同じようにデジタル化する中で、売上げを上げる場となるライブが必要になる。そのときに、ロケ地で見るとかそういう発想って、映画としてのライブのひとつの解答じゃないかと思うのです。

上映するものは同じでも、環境が変わることでライブ感が生まれる。銭湯でもカフェでも、従来の映画館とは違う場所で上映するというやり方が、映画にとってのライブとは何かという疑問への一つの答えにはなるかなと思うんです。

実際に、MotionGalleryでクラウドファンディングを行ったドライブインシアターや、「ねぶくろシネマ」(5月19日までクラウドファンディング中)は、ものすごく話題にもなっていますし、現地でも沢山の人が集まっていました。この様な世界観が、通常の映画館のオルタナティブとして今求められていると感じています。
 
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ねぶくろシネマ

映画が人を動かす

石村 そういう意味では、上映される映画で選ぶというのではなく、その場所とか、映画を選ぶ人を理由に見に行くということもありえますよね。

インターネットでは「この人が勧めるから見に行く」というのは結構あると思うんです。そういう人がマイクロシアターをやったら、その人のフォロワー的な人が見に行くんじゃないかと思うんですが。

ケンタさん たしかに、この人が始めたマイクロシアターだから行きたいというのはあるでしょうね。人がきっかけとなって、いいハプニングが生まれることで、そのままでは縁のなかった映画と出会うことも起こりうるんじゃないかと思ってます。

日本仕事百貨という求人サイトを運営していると、日々実感するのですが、モノよりもコトよりも、人に興味があるようになっていると思うんです。「この人がつくるモノだから手にとってみよう」とか「この人と一緒なら行ってみよう」とか、人に共感して選んでいる。

映画でも「この人がおすすめする映画はどんなものだろう」って興味がわくだろうし。たとえば、元恵文社一乗寺店の店長だった誠光社の堀部さんにお話したら興味をもっていただいて。でもぼくも堀部さんが選ぶ映画はとても興味があるんですよね。

映画業界以外の人が映画を選んだり、映画の話をするというのも興味深いです。映画の批評って普通の人から見るとわかりにくいこともあったりして、それだったら普通の人が平易な言葉で話してくれるとしたら聞いてみたいと思いますね。

大高さん 批評というところで言うと、まず、映画もアートも建築も、批評性はすごく重要だとは思うんです。

ただ、その批評性を身につけるのに、今までは入口になる平易な言葉で語る人がいて、そこから深掘りしていく道があった。しかし、今は、超シネフィル(映画に非常に詳しい人、映画通、映画狂)と、そもそもあまり映画を普段見に行かない人、のどちらかに二極化し、その間が薄くなってしまっているという現象です。

実際、映画館の方が言っていた話で、今の観客は、映画の面(作品と作品の繋がりや、監督の歴史等)の部分に興味を持つ人は少なく、点(今見ている作品に閉じた評価)の部分にしか興味を持たない人が増えていると、とても興味深いお話を聞いた事があります。

いろいろな人が映画を紹介する機会が生まれることで、そこをつなぎ直すことができるのではないかという期待はあります。

石村 僕も、映画をわかりたくてみている人って今はほとんどいないような気がしていて、映画を見て面白ければいいというか、自分が面白いと思える映画がどれなのか分かればいいという理由で、批評とか情報を読んでいる気がしています。ホラー映画が好きなら、面白いホラー映画を教えてくれる人のものさえ読めばいいみたいに。

ケンタさん つまり、見る人が興味・関心を広げていくより、自分の立ち位置から動かずにいるっていうのが今の状況ということですか?

大高さん たしかに、立ち位置から動かない人が多いと思いますが、映画やアートの本当の意味というのは、そこから動かすことで、「popcorn」にはその可能性があると思います。

映画を選んだ人がなぜ選んだのか、どう見ているのかを知ることで、映画そのものに興味をもって新しい分野に一歩踏み出す、そういう機会になるのではないかと期待しています。

ケンタさん インターネットって自分の趣味・関心について深掘りするには便利なので、立ち位置から動かずにいられると思うんですが、「popcorn」はリアルな場所で、よく行く馴染みの飲み屋みたいな場所になると思うんですよ。

そういうリアルな場所って、共感はできるんだけれども、インターネット的な意味では全然価値観が違う人たちが集まってくることがよくあるんです。

たとえば、自分がよくいくバーで話す人たちって、会話しているとすごい楽しんだけれど、家と職場の往復をしている限りは絶対に出会わない人たちでもあって。そんなふうにして新しい価値観に出会い、全く興味がなかった映画に興味が出ることもあると思います。

大高さん 僕はそれがすごい重要だと思いますね。
 
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映画館からコミュニティへ

石村 既存の映画館がリアルな場を活かしきれていないという話がありましたが、マイクロシアターをやる人たちに、場を活かしてどのようなことを実現してほしいと思いますか。

大高さん コミュニケーションというところで言うと、配給会社の方ともよく話しているのが、映画館には会話するスペースがないので、すごい感動したとしても、日常に戻る心のリハビリをする余白もなく、新宿のど真ん中の雑踏に出なきゃいけないというのは、もったいない体験だと思います。

無理矢理でもコミュニケーションが成り立つような場になれば、そもそも映画を見るってことが何なのかという部分で、ネットで見たりするのとは全く違う鑑賞体験ができるんじゃないかと思うんです。

ケンタさん 荻窪に「6次元」という本屋さんがあって、そこは村上春樹さんがノーベル賞を受賞するかどうかというときに海外メディアが集まったりする場所なんですが、村上春樹さんに何の縁もゆかりもないんです。

なのにどうしてそうなったか店主の中村邦夫さんに聞いたら、イベントが終わった後に1時間くらいそのままいていいという時間をつくったんですって。そうしたらその時間にお客さんたちのコミュニケーションが勝手に起きて、そこにコミュニティができ上がっていったと。

関わる人同士のネットワークがつながればつながるほど、コミュニティというものは強くなります。結果として村上春樹さんが好きな人たちも集まったと思うんです。

映画館というのは観客同士の横のつながりというのが生まれにくい。でも、見終わった後に1時間いていいよっていうのをつくるだけでもコミュニティが生まれるんだから、「popcorn」でもそれをやるだけでも毎週来てくれるようなファンとか、その人たちがさらに人を連れてくるというようなことが十分起こりうると思うんです。

大高さん そこにコミュニティができるというのと、知られていない映画が見られるということは実はつながっていて、それはInstagramにアップするために美味しいものを食べに行くみたいな主従逆転した関係と同じで、コミュニティがあれば映画を見終わった後におしゃべりができるから行くというようなことが成立すると思うんです。

面白いかどうかわからない映画に1800円払って見に行くのは不安ですけど、見終わった後に「超つまんねー」だけでも話ができるなら安心感があるんじゃないかと。

逆に言うと、上映者が見せたい映画をいくら上映しても、それだけでは来ない人はいるわけで、そこにコミュニティがあればディスカッションができたり気づきがあるという安心感があることで、新しい作品を見せられる土壌になるはずなんです。
 
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リトルトーキョー・シアターでのダイアローグの様子

ここまでの話をまとめると、映画を見る人たちと、映画を「やる」人たちの間にあるギャップを埋めるものがコミュニティであり、それをつくるためのプラットフォームが「popcorn」だということのようです。

たしかに、自分が見て面白かった映画を人に紹介したいし、あるいはその映画をほかの人が見て何を感じたのか聞いてみたいと私もいつも思います。そこにコミュニティがあれば、それが可能になるだろうと言うわけです。

しかし、実際のところ、そのようなコミュニティを築くことが本当に可能なのでしょうか? それが容易にできれば本当に映画業界も変わっていくのかもしれませんが、そのあたりの難しさについても聞いてみました。

いかにコミュニティを築くのか

石村 そうすると、「popcorn」でマイクロシアターを成功させるためにはコミュニティを築くことが重要になってくると思うんですが、それって時間がかかるじゃないですか。どうやったらそこをうまくやっていけるのか、具体的にアイデアはありますか?

ケンタさん 僕も、虎ノ門のリトルトーキョーでやっていた「しごとバー」を清澄白河でも始めたんですが、そのコミュニティに参加するのって、結局は「この人に会いたい」というのが大きなきっかけになると思うんです。
 
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NPO法人グリーンズのコアメンバーと正会員で「しごとバー」のバーテンダーをつとめたとき

ケンタさん そこをファシリテーションするような人がどれだけ魅力的なのかが最初のきっかけで、それがうまく行けばその後は人が集まっているから、また人が集まるという状況になる。だから、最初の一歩目は上映者がどれだけ魅力的かっていうのが大切になってくると思います。

石村 僕は上映会をやる動機って、参加者の感想を聞きたいというのが一番なんですけど、どのようなモチベーションでやると、うまくいきやすいと思いますか?

ケンタさん モチベーションとしては、DJに近いように思います。かけた音楽でフロアが盛り上がったときの快感っていうのはあると思うんです。それって完全に自己満足なんですけど、それでみんなが楽しんでいるならそれはうれしいですよね。

ただ、これ以上の話っていうのは結果を見るしかないと思うんです。だから、まずはいろんな人が気軽に上映を始めてもらえるような仕組みにしたいです。インターネット環境にあって、パソコンと音響とプロジェクターがあれば始められる。

そうすることで、「自分はこんな上映をやってみよう」というようにいろんな形が生まれていくと思うんです。それって、楽しいですよね。まるでインターネットの黎明期のように、目の前に広大な地平線が広がっているような感じで、それぞれが好きなように新しい土地を発見してもらえるような機会をつくれたらうれしいです。

石村 集合知じゃないですが、最初に方法論があるわけではなくて、やってみて良さそうなことをみんなでやっていくうちに方法論が徐々にできていくというイメージなわけですね。それでも、上映する場所がない人とか、やりたくてもコスト的にできないという人も出てくるんじゃないですか?

ケンタさん 僕がイメージしてるのは、すでに場所を持ってる人がみんなにそこに来てもらう方法の1つとして映画を上映するか、地域にスペースはあるけどコンテンツ不足だという場合に、映画を上映したい人がそこに行ってやるというような例ですね。あとはパブリックなスペースもある。

石村 その上映場所と上映したい人のマッチングっていうのはできるんですか?

ケンタさん サービス的にはできると思います。イベントスペースとゲストみたいな関係で、ゲストが映画を持ち込んで場をつくっていくというのはマッチングされてないだけで需要があると思うし、ポップコーンでそこを担える可能性はあると思います。

あとは「住み開き」という考え方も一般的になりましたよね。みんな、なにかしら上映できる場所をひとつやふたつ、考えてみると身近に思い浮かぶかもしれません。

大高さん いろいろなコミュニケーションの可能性があれば、ハプニングが起きるだろうし、そこから気づきが生まれることこそが映画やアートの存在意義だと思うので、それをつくらなければいけない。

映画を見ている人に映画を届けるサービスではなく、ソーシャルの文脈にいる人に刺さるようなものにするためには、コミュニケーションが重要な要素になってくると思います。
 
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「popcorn」リリースパーティーの様子

(対談ここまで)

 
おふたりの話を聞いて、ケンタさんは映画を通してコミュニティを形成する場づくり、大高さんはコミュニティで映画を見るという新しい映画体験という部分に「popcorn」の可能性を見出していると感じました。

そして、映画というコンテンツの大きな価値とそれを活かしきれていない現状から、それを活かすことでより良い未来を実現できるのではないかと考えているところは、共通しているようにも思いました。

映画というのは、本当に内容が豊かなコンテンツで、見る人によって見え方が大きく異なるので、コミュニケーションツールとして非常に優秀なものだと私も感じます。

本当にやってみないとわからないのですが、「popcorn」はうまく使えば、映画のその可能性を大きく開くものになるのではないかと思います。みなさんも、映画館を始めてみませんか?

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