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デザインの力で救える人々がいる。生理中に学校へ行けないアフリカの女の子に生理用品を配給する「Be Girl」

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Be Girlのサニタリーパッドとショーツを手に笑顔の女の子たち

みなさんは、生活必需品というと何を思い浮かべますか? 食べ物や衣類? それとも携帯電話などの通信機器?
それぞれ思い浮かべるものは違うかもしれません。

ところ変わってアフリカの女の子たちは、ある生活必需品の不足により学校に通うことが困難になっています。それはズバリ、「生理用のナプキン」。

アフリカでは、今もなお貧困によりナプキンやタンポンといった生理用品が手に入らず、地域によっては生理中の女性を差別する地域もあるほど。生理という、女性が誰しも受け入れなければならない身体現象が、生活に大きな制約をもたらしてしまうのです。

一方で、そうした現状を打破するプロダクトが少しずつ産声をあげています。そのひとつが、今回ご紹介する東部アフリカのウガンダで生まれた画期的な生理用品「Be Girl」のサニタリーパッドとショーツです。

「Be Girl」のサニタリーパッドの最大の特徴は、パッドの部分に布やコットン、トイレットペーパーなど、吸収力のある素材であればなんでも詰め替えて使用ができるという点。これなら、現実的に現地の女の子たちが再利用をできます。
 
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新しいサニタリーパッドに興味津々!女の子たちの生活がこのプロダクトで変わります。

加えてショーツは、身体にしっかりとフィットするデザイン。

このデザインの背景には、「Be Girl」を手掛けるプロダクトデザイナーのDiana Sierra(以下、ダイアナさん)が3,000人を超える人々への試着によるリサーチがありました。その結果、生理中であることを気づかれないよう、自然に動けるものにしようと、このデザインに行き着いたのだとか。

また、どちらも洗えばすぐに乾く素材なので、必要最低限の数を持っていれば十分に生理期間を乗り越えることが可能です。

これら「Be Girl」のプロダクトは、過去にgreenz.jpでも紹介した「TOMS」や「Harry’s」と同様の、One for Oneモデルで販売されています。つまり、先進国の人々が一点購入すると、同じ商品がアフリカの女の子たちに届くという仕組み。現在はウガンダだけでなく、タンザニア、ルワンダ、マラウィなどのアフリカの国々にもその支援が広がっているのです。
 
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機能性だけでなく、カラフルで可愛いデザインは女の子を元気にしてくれます!

「Be Girl」のパッドとショーツを手掛けたダイアナさんは、大学院在学中の2012年に、インターンシップのためにウガンダに滞在。そのときにウガンダの女の子たちが生理のために学校に行けなくなってしまう事実を知り、衝撃を受けました。

ウガンダは、最低限の栄養・衣類・住まいのニーズが満たされなくなるとされる国際貧困ラインの1日1.90米ドル以下で暮らす人の割合が33%と、依然貧困層が多い状態の国です。(出典元)実際に生理用品を毎月手にすることがままならない女の子が数多くいます。

また、貧困により必要な生理用品を手に入れられず生理のたびに学校を休むことになると、最大で年間の授業期間の30%近くを欠席することにもなってしまうのです。(出典元

あまりの問題の大きさにショックを受けたダイアナさんは、現地で傘、蚊帳、糸、ハサミ、そして針を使いすぐに試作品を制作。こうして生まれたのが、「Be Girl」のサニタリーパッドとショーツだったのです。そして、彼女はこのプロダクトへの関わりをきっかけに、自身の価値観も大きく変化した話しています。

私はとても貧しい家庭で育ち、いつも憧れのニューヨークで働けたらと夢見ていました。そのときは、デザインが貧困の地域を救える可能性があるなんて、まったく気づいていませんでした。

そんな私は、ウガンダでの経験を通じて「どうやったら自分のスキルを自分以外の誰かが幸せになるために使えるか?」と考えるようになりました。

現在は、新たにエチオピアでプロジェクトを立ち上げるほか、南アメリカでのパイロットプロジェクトやアメリカのシェルターや学校との協業を進めるなど、事業の更なる拡大に取り組んでいるようです。
 
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このプロジェクトを手掛けるBe Girl Co-Founderのダイアナさん

ダイアナさんのように、思い切って現場に足を踏み出して、「リアルな声」に触れることで、私たちも本当に求められている仕事や、働き方を変えるような新しい価値観に出会えるかもしれませんね。

もしそんな体験ができるとしたら、あなたはどんな現場に足を踏み出してみたいでしょうか?

[Via GOOD,HUFFPOST IMPACT,SOCIAL CHANGE NATION,Miss Heard,LaTina,Be Girl,THE WORLD BANK]

(Text: 村上萌)