ISSUE ものづくり

3 months ago - 2016.02.28

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繊維産業にイノベーションを起こしたい。オリジナルの布をプリントするサービス「HappyFabric」が誕生!

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左:杉原彩子さん 右:堀江賢司さん HappyPrinters店舗の前で、スツールとオリジナルファブリックのサンプルを持って。

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HappyFabric」のサービスを提供する、HappyPrintersは布の印刷業のプロである堀江賢司さんと、グラフィックデザイナーの杉原彩子さんの出会いから始まりました。

小さいけれど世界一ワクワクする印刷工場を目指し、UVプリンターやレーザーカッターを備え付けたスペースをオープンした二人は、熱い想いを共有し、すぐに意気投合したそうです。裏原宿にある印刷スペースはデジタルファブリケーションのマシンを備え、ものづくりを身近なものにしてきました。

そんな活動はすでに2年を超え、もっとワクワクすることをやりたい!と新しく始めたのがHappyFabricというオンライン上のオリジナルファブリックをプリントするサービス。

ここでは誰でも好きなデザインをアップロードし、1mからオリジナルの布をプリントすることができます。サイト上には世界中のクリエイターがアップロードされたデザインが集まります。

クリエイターは自分の欲しいデザインの布を作り買うこと、そしてそれをサイトを通じて販売することが可能になりました。そして、アップロードされたデザインの中から、誰でも面白いデザインの布を選び、購入することもできます。
 
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HappyFabricのサービス概要

二人がこのオリジナルの布をプリントするサービスを通して考えていること、企んでいることには夢がいっぱい詰まっています。

オリジナルの布を使ったワークショップに大反響

杉原さんと堀江さんの出会いは、渋谷でFABと呼ばれる新しいものづくりが活発化する時でした。FABとは、デジタルファブリケーションと呼ばれる、UVプリンター、レーザーカッターや3Dプリンターなどのデジタル工作機器を使うことで、誰もが簡単に、素早くものづくりを体験することが出来るようになることを目指すムーブメントのこと。

そうした個人のものづくりパーソナルファブリケーションといいますが、できた作品のデータはインターネット上で公開しシェアされ、世界中で新しいものづくりのシーンが共有され始めています。堀江さんはこのものづくりムーブメントに魅力を感じ、何かやろうと杉原さんに声をかけました。

杉原さん その頃、イヌイットさんでワークショップに参加しました。それは自分の好きな布を買って持っていって、オリジナルスツールを作るもの。そこでせっかくなら市販の布じゃなくて、自分でデザインした布で作りたいと思って堀江くんに頼み込んで、小さい単位でオリジナルの布を作ってもらいました。

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オリジナルファブリックを使ったスツール

オリジナルの布を持ってワークショップに参加したところ、思っていた以上の大反響があったとか。

杉原さん 当時、オリジナルの布を使っているというだけで、すごいテキスタイルデザイナーさんなんですか??って驚かれました(笑)そこで、もしかしたらニーズがあるんじゃないかと感じました。

二人は個人でオリジナルのデザインの布のプリントが出来る場所を作りたいと思い、物件を探しだしたところ、タイミングよく今の場所が見つかったそうです。

世界一ワクワクする印刷工場HappyPrinters始動

布へプリントするサービスを提供することを目指していた二人ですが、熱やコストなどの問題から、一度はその野望は断念することになりました。そこで二人はUVプリンターを入れて、デジタル印刷サービスを提供することからスタートすることに。

杉原さん HappyPrintersにはふんわり相談しに来る人が多いんです。iPhoneにプリントしたいとか色々。オンラインで頼むプリントより、お店に来て相談することがハードルが低いからか、お客さんと一緒に作るという裾野が広がる感じがしました。そんな中でオリジナルの布が欲しいと個別の相談があり、少しだけ受注して、改めてニーズを感じました。

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杉原彩子さん

堀江さん フラッグシップとしてのお店があって、そこで人とのつながりを作る。その上で、ウェブサービスで注文を受けて、工場で本物の布のクオリティのものを作る。そんなサービスがあったらいいのではと改めて思いました。

二人が考えたのは、工場と連携するデジタルファブリケーションの実現。なるべく人の手を介在せず、個人のものづくりを自動化すれば、今までの企業が面倒で実現できなかったたサービスが提供できる。そうすれば、本当に何か作りたい人へ、HappyFabricのサービスが届くんだろうと考えたそうです。

テキスタイルプリントサービスとHappyFabricの野望:テキスタイルデザインのアーカイブとして、新しい産業を生み出したい

二人には実現したい夢があるそう。

杉原さん 私はものを作る楽しさと大変さを伝え、技術を残していきたい。なんでも機械を使えばすぐ作れるわけではないので、お客さんのお手伝いをしながら、一緒にものづくりをしたいです。

そして、このサービスは様々なデザインを登録できるので、デザインのアーカイブとして機能したら、もっと面白い。失われかけているテキスタイルのデザインを集めて、HappyFabricのデザインと一緒に紹介したいですね。

すでにお二人のもとにはいくつか、廃業する染め物屋などから、古い型紙をどうしたらいいかなどの相談が舞い込んでいます。

堀江さん 現状では、国宝級のものしか残らないんです。でもヨーロッパのアンティークみたいに、もっと身近な古いもの、例えばうちのおばあちゃんの着物の柄みたいなものが残ったら面白い。デジタルデータにすることで残していけるんじゃないかと思っています。

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堀江賢司さん

杉原さん デザインのアーカイブがあれば、クリエイターにとっても発想源になり、ものづくりの幅が広がると思います。今はデザイナーと名乗らないとデザインできないような雰囲気があって、一般の人はデザインをすることに抵抗があるのかもしれません。

でも本当はデザイナーになるために資格がいるわけではないですよね。なるべく色々な人に、子供の絵とか、塗り絵とか様々なものを布に印刷して、ものづくりを楽しんでもらいたいです。

堀江さん 今は物理的なものづくりから、デジタルなものづくりへ移行してきています。でも、今の繊維産業の構造だと、布の在庫を抱えることが難しいため、無難なデザインの布しか作らない。

そこで、受注を受けてからのテキスタイルプリントサービスを提供すれば、在庫管理の問題はなくなります。売れ線の布ばかりではなく、今までの布にはなかった、デジタルでしかできないデザインの布の生産が増えてくると面白いと思います。

そして、作り手であるクリエイターは、サービスを通して自分のデザインを販売し利益を得ることが出来て、買う人はカタログから選ぶように布を買うことができるようになる。この仕組みが新しい繊維産業、印刷産業のあり方の一つになったらいいですね。

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プリントされた生地サンプル

デザインのプロもアマチュアも自由に新しいデザインの布を作り、それがアーカイブされ循環する仕組みができれば、クリエイションが加速し、産業自体が活気づくのではないでしょうか。今ある技術で出来ることをするだけではなく、新しいアイデアを形にするしくみを作るため、HappyFabricの二人は挑戦を続けていきます。

(文、写真:熊谷薫)
 
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熊谷薫(くまがい・かおる)
2012年から公益財団法人東京都歴史文化財団東京文化発信プロジェクト室(現アーツカウンシル東京)東京アートポイント計画にて、地域社会で展開するアートプロジェクトの記録調査/アーカイブ/評価の一連の手法開発を試みた。現在はフリーになり、地域アートプロジェクトや芸術祭のマネジメントや、渋谷界隈のデジタルファブリケーションを中心としたものづくりネットワーク、TOKYO FABBERSの事務局、HappyFabricなどのPR担当などを務める。日々、旅をしながら、人をつなぎ新しい仕事を作っている。

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