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「銃は日用品ではありません」。競合他社をも動かした、アメリカ大手スーパーマーケットチェーンの銃持ち込み禁止キャンペーンって?

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世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions 2015」では2015年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、アメリカでの事例です。

病気よりも銃による被害で亡くなる人が多いと言われている国、アメリカ。

その背景には、銃販売店やガンショー、そしてネット通販などで多くの人が銃を買うことができる環境があります。ディーラーから買う際には身元確認が必要ですが、個人間の売買も認められているなどの抜け穴も。

その結果、学校での乱射事件など、子どもを巻き込んだ痛ましい事件が後を絶ちません。こういった惨劇を受けて、オバマ大統領が銃の販売業者に免許取得を義務づけるといった銃規制強化を発令したことも記憶に新しいと思います。

そんな中、100年以上の歴史があり、ウォルマートやコストコとシェアを争う規模の大手スーパーマーケットチェーン「KROGER」は、法の動きに先駆けて銃社会への疑問を投げかける取り組みを行いました。

「KROGER」はまず店内への拳銃持ち込みを禁止、そしてショッキングなポスター広告を掲出したのです。

たとえば、こんなポスター。たくさんの商品が陳列されているスーパーの店頭に、ドロドロのソフトクリームを持った女の子と、銃を持った父親らしき男性が立っているビジュアルに、「このうち一人は、KROGERに入れません。さて、どちらでしょう?」といったコピーが書かれています。
 
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他には、上半身が裸だったり。
 
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スケボーに乗っていたりする人と銃を持っている人が並んでいるビジュアルのポスターも。
 
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KROGERは、これらのショッキングでユーモアあるポスターを掲出すると同時に、「#GroceriesNotGuns(銃は日用品ではない!)」というハッシュタグを用意。賛同者がSNS上に意見を発信できるようにしました。

その結果、SNSから150万件の反応があり、銃規制を求める36万人分の署名が集まることに。1万6,000人から銃の持ち込み反対に抗議する電話も来ましたが、Benenson Groupによる世論調査によると、調査対象の83%の人がKROGERの姿勢に賛同すると回答。

競合である大手スーパーマーケットチェーンの「SAFEWAY」と「ALBERTSONS」も、「KROGER」に続いて銃の店内持ち込み禁止を決定する流れとなりました。
 

さまざまな人が食料品や日用品を買いにくるスーパーが、特定の人の入店を拒否するというのはかなり勇気のいることだと思われます。それでも安心して買い物ができる環境のためにと立ち上がった姿勢が共感を集め、業界をも動かす力にもなったのではないでしょうか。

(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)