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ラオスと日本の合作映画が誕生へ! クラウドファンディングに挑戦中の『サーイ・ナームライ』プロデューサー・森卓さんに聞く、合作映画に挑む理由

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この記事はグリーンズで発信したい思いがある方々からのご寄稿を、そのままの内容で掲載しています。寄稿にご興味のある方は、こちらをご覧ください。

「ラオス」と聞いて、馴染みのある方はそう多くないはず。ラオスは、人口700万人・日本の1/3の面積の小さな国です。

国連の基準ではアジア地域で最貧国の一つとされ、2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、60%を超える国民が1日2ドル未満で暮らす、後発開発途上国です。

ラオスは、周囲を他国に囲まれた環境のため、自国での産業や文化が育ちにくい状態でした。しかし、現在、ラオスの新鋭的な若者達により、映画文化が芽吹きはじめています。

そして、ラオス自国の映画文化を促進するため、「ジャパン・ラオス・クリエイティブパートナーズ」は、両国の制作スタッフと共に、日本・ラオス合作映画『サーイ・ナームライ』を製作するプロジェクトに取り組んでいます。

代表である森卓(もりたく)さんは、13年前にラオスに移り住み、ラオスにて初の日本語情報誌「テイスト オブ ラオス」を発刊している、ラオスを知り尽くす日本人です。

映画の土壌が整っていない国ラオスで、なぜ合作映画を作るのでしょうか?
 
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『サーイ・ナームライ』プロデューサー森卓さん

ラオス映画文化の創造に情熱をかける若者たち

映画は、ラオスの人々にとって大事な娯楽ですが、内戦・革命などの歴史的混乱の中で、映画文化が育つ土壌は失われていたそうです。

現在、ラオスの映画館は全国に5カ所あり、上映されている映画は、ハリウッドやタイ作品、日本の漫画原作作品ばかりで、ラオスオリジナルの映画はほとんどありません。

しかし、2011年に、海外へ留学して映像を学んできた若い映画人が、ラオスオリジナルの映画製作を始め、これまでになかった自国作品に、国民の映画に対する関心も高まってきました。そんな中、森さんは、ラオス国際映画際「ヴィエンチャナーレ」にて、若手映画人たち出会ったそうです。

ラオスの人は一般的に大人しく、ゆるやかな生活を好みます。仕事においては、時間通りに来ることはなく、一生懸命やるということは美徳とされていません。

しかし、若い映画人たちは、徹夜することを厭わず、激しい議論を交わしていました。その姿に、心は動かされ、ラオス映画を作り、その映画を世界中に知って欲しい、と思うようになりました。

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「ヴィエンチャナーレ」にて

映画への考えは強くなり、2015年の日本・ラオス国交60周年の節目として、個人的に何か立ち上げられないかと考えた時に、ラオスと日本合作で映画製作ができないかと考えたそうです。

森さんは、「アジアにおいて先進的な映画文化を持つ日本と、映画黎明期ラオスの融合により、新たな化学反応を生み、ラオスの文化活動に努める人々に、ラオスで作ったものも外国で認められるという励みになるような、ラオス人に夢を与えられる映画を製作したい」と、2014年5月に映画プロジェクトを立ち上げました。

素人から始めた映画プロデューサー

森さんは映画製作経験はなく、ゼロからのスタートだったそうです。やると決めると、森さんはすぐに日本に拠点をつくり、日本とラオスを往復し、政府機関や企業に交渉すると同時に、日本の映画人へのアプローチを粘り強く行いました。

森さんの実行力により、外務省の日ラオス外交関係樹立60周年記念に選ばれ、またこのプロジェクトに賛同し、熱量を持って製作に取り組む日本の映画スタッフと出会い、映画製作の実現は近づいてきたそうです。
 
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ラオスにてスタッフによる打ち合わせ風景

映画制作に関して全く素人の僕が、映画産業のなかったラオスという国で日本とラオスの合作による映画を作りたいと言い始めました当初は、出来ると信じている人は殆どいませんでした。1年程は準備期間で、実現できるかどうかの博打でした。

それでも、「必ず出来るんだ」と実際に動き回ると、少しづつ同志が集まり、応援者もあつまりました。

映画に情熱を燃やす両国の映画人とともにあらたな風を吹き込む

『サーイ・ナームライ』製作は、国際色豊かなスタッフにより成り立っています。監督は、熊澤誓人日本映画大学准教授であり、2011 年『天国からのエール』の監督を手がけた熊澤誓人氏、監督補は、ラオスの映画シーンを先導するAnysay KEOLA(アニサイ・ケオラ)氏です。

主人公は井上雄太氏(東宝芸能)、ヒロインにティダー・シッパサイ [Thida SITHPHAXAY](ラオス)と両国の俳優をキャスティングし、その他のスタッフも多種多様な国籍メンバーが一丸となって、製作に励んでいます。
 
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森さんは、『サーイ・ナームライ』製作の意義をこう語ります。

日本で活躍する映画人がラオスの制作者たちとともに、ラオス語によるラオスが舞台の映画を制作し、一流の現場で活躍する日本の映画人から高度な技術とプロの厳しさを実践で学ぶ場を作ります。


この事業を通してラオスの映画界に新しい風を吹き込み、日本で初めてラオスを紹介する映画作品として、ラオスの魅力を多くの方に伝え、日本とラオスの新時代の友好関係を築いていくものと信じています。

同じアジアの映画先進国日本が、その礎作りに貢献できるものと確信しております。

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日本・ラオス合作映画『サーイ・ラームナイ』は、2016年春、ラオスと日本で公開予定です。このプロジェクトを経て、両国の映画シーンにどのような化学反応が生まれるのか、楽しみです。

– INFORMATION –

 
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石根友理恵
1987年生まれ。大手IT企業・ITベンチャー企業にて、広報・webマーケティング・プロモーションを経験後、現在フリーランスで、web領域を中心としたPR・メディア編集のほか、執筆活動を行う。