新鮮で美味しい食事を食べて、社会復帰を目指してほしい! イギリス発、貧困層の食料確保と社会的支援の両方に取り組む「Community Shop」

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みなさんは、日々の食生活に困るくらいの貧困に陥っている人が、どれだけいるかご存知ですか?

今回紹介するプロジェクトの舞台となるイギリスでは、2013年のデータによると、全人口のおよそ3分の1、実に1930万人が貧困に陥っていると言われています。(出典元)それにも関わらず、まだ食べられる状態の食料品がおよそ8億人分も毎年捨てられていて、食べ物はあるのに貧困にあえぐ人がいるという矛盾した状況が生まれているそうです。(出典元

greenz.jpでは、以前貧困問題を解決するために食料分配に取り組む「Food Waste Fiascos」を紹介しましたが、今回は生活困窮者の人々に食料を分配するソーシャルスーパーマーケット「Community Shop」をご紹介します。
 
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ソーシャルスーパーマーケットとは、生活困窮者を支援するスーパーのこと。「Community Shop」では、通常の3割の価格で食料品を販売しており、貧困に陥っている彼らでも充分な食事を摂れるようになります。

販売される食料品は期限が近かったり、ラベルミスといったパッケージに難があるなど、本来ならば廃棄になるものを大手スーパーマーケットから買い取っているため、社会問題になっている食料廃棄を減らすことにつながっているのです。

一方で、単に安さを求めた人々が利用できないように会員制となっていて、その地域に住んでいる失業者や福祉手当を受けている人のみが加入でき、各店舗の会員の上限は750人までとなっています。

さらに「Community Shop」の大きな特徴は、生活困窮者に安い食べ物を販売するだけでなく、彼らの自立も支援していること。利用者は就業訓練や履歴書作成ワークショップ、債務解決ワークショップなど、社会復帰に必要なスキルを習得する機会に恵まれます。
 
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廃棄されるはずだった食料品が、3割の金額で店頭に並ぶ

実際「Community Shop」の会員である、2人の子どもの母親であるDoreen(以下、ドレーンさん)は、以前は収入の少なさから、毎日の食料の確保だけでも精一杯。そして自信を失ってしまったことから、家に引きこもりがちだったといいます。

しかし、「Community Shop」の会員になったことがきっかけで、今では栄養が充分な食事を口にすることができ、就職に必要な知識や技術も学び、自信を付けて家から出るようにもなって、更にはメンバーの相談役としても活躍するようになっています。
 
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Community Shopの手助けによって、社会復帰を成し遂げた人々も多い。そして、現在はメンバーの相談役として活躍している人も

そんな「Community Shop」の運営費は、寄付や国からの支援などに頼らず、社会問題を解決して収益事業に取り組むビジネスからの収益で全ての活動を賄っているそう。

利用者が受ける社会復帰支援プログラムも、提携している「Community Hub」という地域サポートシステムを通して行われていて、そのための事業資金も全てお店の売り上げでカバーしています。
 
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Community Shopを中心に、複数の団体が協力して問題に取り組んでいる(Borderless)

このように、経済的支援と社会的支援の両方に取り組んでいる「Community Shop」。取締役のSarah Dunwell(以下、サラさん)は、複数の支援を掛け合わせた活動にした理由について、こう答えています。

単に割引した食べ物を提供するだけでは、人の人生は変えられません。彼らの人生を変えるには、一人ひとりが抱える問題に合わせた解決の道筋を提供して、乗り越えられるようにしなければいけないんです。

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取締役のサラさん

このように「Community Shop」は、貧困と社会的孤立、そして食料廃棄物という3つの問題を、複数の団体が協力して解決に取り組んでいます。

貧困問題だけでなく、私たちの周りで起きている様々な社会問題も、このように複数の団体がコラボレーションすることによって、もっと効果的に解決できるかもしれません。

一つだけではなく、複数の社会問題を同時に、そして効率的に解決できる。そんなシステムが、これからの社会を大きく変えていくのではないでしょうか。

[via tree hugger, Community Shop, Daily Mail, The Guardian, The Guardian ]

(Text:大矢崇人)