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“女性らしさ”や“男性らしさ”を飛び越えて、自分らしく美しくいるために。ジェンダーに囚われない下着づくりに取り組む「Play Out」

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「女の子なんだから、大人しくしなさい」
「男の子なんだから、泣くな」
子どもの頃、そのように叱られたことはありませんか?

女の子らしさ、男の子らしさ、子どもらしさ、大人らしさ…
少し考えてみると、私たちの周りには様々な“らしさ”という定義にあふれています。でも、この“らしさ”って、一体何を根拠に、誰が決めているのでしょうか?

私たちが無意識に縛られているジェンダーの区別。そんな「生まれ持った性別によって、選択肢が狭められてしまう現状を変えたい!」という思いから生まれたのが、今回ご紹介する「Play Out」です。

「Play Out」を立ち上げたのは、Abby Sugar(以下、アビーさん)とSylvie Lardeux(以下、シルビーさん)。“ジェンダーニュートラル”な下着を開発・販売する取り組みを行っています。

「Play Out」がデザインする下着は、ジェンダーの区別なく、女性、男性、それ以外の多様な性別の人向けで、履き心地が重視されたデザインも魅力の一つ。

現在発売されているのは、ボクサーブリーフとトランクスの2種類で、それぞれ形が異なり、身体的な性別に合わせて購入することができます。今後、ビキニタイプやTバックなどの新しいデザインの展開も、予定されているのだとか。
 
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日本でも少し前から、レースや可愛らしい色を使った男性用の下着や、ユニセックスの下着などが販売されていますが、いずれも「男性が女性“らしい”下着もつけられる」「男女兼用」というコンセプトのもとに開発されており、ジェンダー“らしさ”の垣根を失くすことが目的ではありません。

身体的な特徴を受け入れながら、ジェンダーに囚われないことを目指す「Play Out」は、男性らしさ・女性らしさのどちらに偏るわけではなく、新たな価値観を提示しているのが魅力といえるのではないでしょうか?
 
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女性でも、男性でもない魅力を持った「Play Out」のモデルたち

最近では、このような下着を開発するだけでなく、乳がんにより乳房を失った女性を応援する団体「Flat Topper Pride」とのコラボレーションも開始。“女性らしさ”の象徴ともいえる乳房を失った彼女たちが、自らの胸を「病気を乗り越えた勇気であり、人の強さと多彩な人生の証」と受け止め、手術で乳房を取り戻したり隠すのではなく、“ありのままの自分”でいる自信を持てるように手助けをしているといいます。
 
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「Play Out」で活躍する両性具有のモデル、Rain Doveさんと乳がんで両乳房を切除したMelanie Testaさん

アビーさんとシルビーさんが「Play Out」の展開に乗り出したのは、レズビアンというバックグラウンドを持つ彼女たちが、市販されている女性用下着に自分たちのほしいものがないと不満を抱いていたのがきっかけ。

「もっとシンプルでセクシーな、ストレスを感じないつくりの下着があるべきだ!」と、アビーさんとシルビーさんは”ジェンダーニュートラル”な下着を自分たちの手でつくり始めたのだそう。

アビーさんとシルビーさんは、こう語ります。

「Play Out」で、今の社会を変えられるとは思っていません。ですが、「Play Out」がファッションやジェンダーに存在する決められた“らしさ”の縛りを緩め、誰もがありのままで美しくいられる社会をつくるためのきっかけとなれればいいと思います。

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(左)シルビーさん (右)アビーさん

これまで、当たり前のように存在してきた周囲からの“らしさ”という縛り。「Play Out」が思い描くのは、全ての人が、“女性らしさ”や“男性らしさ”を飛び越え、自分が決めた“自分らしさ”を美しく、大切に思える社会。

私たちが周囲に求められる”らしさ”の壁を飛び越え、「こうあるべき」「こうすべき」という枠を破り、ありのままの自分を楽しめる社会をつくるにはどうしたらいいのでしょう?

[via Takepart]
(Text: 水野淳美)