ISSUE まちづくり

1 year ago - 2015.06.07

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あなたの住むまちの魅力は何ですか? 住民のリアルな声が手書きのポストカードで届く「The Neighborhood Postcard Project」

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「あなたの住んでいるまちって、どんなところ?」

そんな質問をされたときに、みなさんならどのように答えますか? 中には、近所にある公園や美味しいパン屋のことを紹介する人もいれば、逆に「道端にゴミがいっぱい落ちていて…」とあまり良くないイメージを話す方もいらっしゃるかもしれません。

ではそんなとき、みなさんの住むまちの魅力を、さらに素敵に高めていくにはどうすればいいのでしょうか? サンフランシスコを拠点に活躍するアーティスト、Hunter Frunks(以下、ハンターさん)が考えた解決策は、まず住民自身にまちを再発見してもらうことでした。

ハンターさんが立ち上げた「The Neighborhood Postcard Project」は、まちに住む人種も収入も文化も違う人々から、「なぜそのまちが好きなのか?」という声を吸い上げて、まちのイメージを向上させようというプロジェクトです。

気になる仕組みは、とても簡単。ウェブサイトからデータをダウンロードして、専用のポストカードを準備。そのポストカードを持って、近所の公園やイベントに出かけます。そして、そこに集まる人々にポストカードを一枚ずつ配布して、まちの魅力や最近体験した素敵なエピソードを書いてもらうのです。
 
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実際に送られた手紙。「フィルモア通りを歩いていたら、5ダイムでマニキュアを買うことができたの!」

書き終えたポストカードは、直接まちを歩いて渡すも良し、電話局が配布している住所録などから選んで郵送してもOK。

ただひとつ重要なのは、知り合いにおくるのではなく、地域外に住む見知らぬ相手にランダムに送りつけること。見知らぬ相手に送ることで、まちの魅力を発信するだけでなく、新しいつながりを生み出すこともできます。

これからのまちのイメージを生み出すのは、住民たち自身!

ハンターさんが、このプロジェクトを思いついたのは、2013年のこと。当時サンフランシスコの行政仕事でデザインなどを担当していた彼は、市内のベイビュー地区に住む若者と話す機会がありました。

犯罪や失業者が多発し、ドラッグに手を出す若者が多いベイビュー地区。「どうすれば治安が回復し、若者たちが自分のまちを好きになれるか」と考えていたとき、ハンターさんは彼らがほしいのは行政による対応ではなく、ベイビュー地区に対する、人々の偏見を払しょくすることだと気づきました。
 
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ハンターさん

時に偏見は、本当の価値や真実を覆い隠してしまうもの。そこで「現状のステレオタイプを壊すために、ベイビュー地区に住む人々のリアルな声を外に届けよう」とハンターさんが思いついたのが「The Neighborhood Postcard Project」だったのです。

ベイビュー地区での活動が始まると、実際にポストカードを受け取った2人の女性が送り主と会い、夕飯を共にしたことも。すぐに大きな反響が押し寄せ、今ではサンフランシスコを飛び出して、全世界18か所に活動の輪が広がっているといいます。
 
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南米チリでの様子

でも、なぜこのプロジェクトは、直筆のポストカードでなければいけないのでしょう? ハンターさんは、手書きのポストカードにこだわる理由について、こう話します。

確かにSNSによって、私たちは世界中の人々と交流することができるようになりました。しかし、実は私たちがSNSで交流している相手って、似た価値観や興味を持つ、ごくわずかな人々だけなのではないでしょうか?

みなさんのなかにも、きっと友人から届いた手書きのポストカードを、いつまでも大事にしている人がいるかと思います。このように、人の手で思いを込めて書かれたポストカードは、SNSのツイートよりもはるかに力強いものなんです。

「The Neighborhood Postcard Project」は、一人から始めることもできます。みなさんもウェブサイトからツールキットをダウンロードして、ランダムにポストカードを送ってみませんか? まちの魅力を再発見するだけでなく、新たな出会いが生まれるきっかけになるかもしれません。

[via GOOD, citylab, co.exist, Hunter Franks]
(編集協力:岩崎史香、水野淳美、笹澤つかさ、高橋尚子)

writer ライターリスト

スズキコウタ。

スズキコウタ。

greenz.jp 編集デスク 1985年、築地生まれ。2013年よりgreenz.jpにライターインターンとして参加し、greenz global編集長、greenz.jp編集アシスタントを経て、2015年2月より現職。 主にライターインターンプログラムを通した海外事例の企画編集と人材育成、ライターコミュニティのマネージメント、そして日々の記事の進行調整を担当する一方、DJ・選曲家・ミュージシャンとしての活動も。2016年末には、これまでの作品を集めたファーストアルバムをCDで発表予定。 Twitter: @2kaiprod Profile: http://about.me/kotasuzuki Essays: Tiny Little Thingz

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