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人の目を見て話すことを忘れていませんか? Samsungが開発した、自閉症の子ども向けアプリ「Look At Me」が教えてくれること

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みなさんは、子どものころ「人の目を見て話しなさい」と大人に注意されたことはありませんか?

子どもの頃は、なぜ注意されるのか良くわからなかったけれど、最近友人と会話をしている時に、相手の目線がスマートフォンの画面に集中していると、「本当に聞いているのかな?」「伝わっているのかな?」と不安になることがあります。

私たちは、相手と向き合い表情を確かめながら話すことで、時に言葉以上に思いを伝えることができますよね。でも、なかには目を合わせることが苦手な人々もいます。

Centers for Disease Control and Preventionの調査によると、自閉症を抱える子どもは、今や68人に1人の割合。言語発達の遅れや極度のこだわりの他に、アイコンタクトを苦手とするといったコミュニケーション障害も症状の一つにあるといいます。

自閉症の子どもたちが、アイコンタクトをしながら会話をする術を身につける手助けをしたい。そんな思いを込めて、Samsungが制作したアプリ「Look At Me」をご紹介します。

「Look At Me」は、カメラ機能を使ったクイズアプリ。残念ながら、現在のところ日本語には対応していませんが、Google Playで無料ダウンロードすることができます。それでは、実際にその使い方を見ていきましょう。
 
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まず最初のミッションは、周りの人の顔を様々な表情で、撮ること。相手にカメラを向けることで、意図的に人の顔をよく見ることを増やそうというわけです。

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つづいて、保存した画像をもとに、お題にあう表情を選んでいきます。たとえば、「楽しんでいる顔」を探しだし、当てはめていきます。正解ならばポイントゲット!

Samsungは毎日時間を決めて利用することを推奨していますが、楽しく遊べるゲームアプリに仕上がっているので、子どもたちから「もっとやりたい!」という声が聞こえてきそうですね。

実際にこのアプリを使ったことで、以前よりもアイコンタクトができるようになったという、Jong Hyun(以下、ジョンくん)。彼のお母さんは、こう話します。

以前の息子は親である私とさえ、アイコンタクトをすることを苦手としていました。それはまるで私たちの間に見えない壁があるようで、彼にとって自分が他人であるかのように感じることさえあったんです。

このアプリを使ってトレーニングしていくなかで、彼はいろんな方法で、より自然な見え方で自分自身を表現するようになりました。そして、私を母親として見てくれているように感じたのです。私たちはお互いの目を見ることで、もっと近づくことができたと感じています。

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ジョンくん

このアプリを通して、母親との信頼関係が増した様子のジョンくん。

私たちは親しい仲であればあるほど、ついつい目を見て話すことを忘れてしまいがち。でも、アイコンタクトを大切にすることは、より相手のことを深く知り、思いやることにつながるはず。

まず、友人と会話するときに、意識的に目線を合わせることから始めてみましょう。きっと、それが社会全体にもっと愛のある会話を増やすきっかけになるに違いありません。
 

[via TechCrunch]
(Text: 大間千奈美)