ISSUE ソーシャルグッド

1 year ago - 2015.01.29

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憎しみの歴史を乗り越える、世界一の握手。トルコとアルメニアをつないだ「The Longest Handshake」

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世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions2014」では2014年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、ロシアのNGOによる事例です。

グローバル化で遠く離れた国や人びとがつながり合うようになった一方で、いまも領土や民族、資源などをめぐって近くの国同士のいがみあいが世界中で起きています。

アルメニアとトルコの対立もそのひとつ。

19世紀末から20世紀初頭にかけてオスマントルコ帝国で起きたといわれる、アルメニア人の大虐殺。当時のオスマン帝国内の少数民族であったアルメニア人の多くが、強制移住や虐殺により死亡したとされる事件です。

その歴史的な認識をめぐって、トルコとアルメニアは衝突を繰り返してきました。隣り合うふたつの国のわだかまりによる暗殺やテロは後を絶たず、その国境は閉ざされたまま。

そして2009年には友好の証として置かれていたモニュメントも政治家の手で破壊され、両国の関係は冷え込んでいました。

政治的な緊張が続くなか、ロシアのNGO「TANGO Network」、そしてふたりの男が立ち上がりました。アルメニア人のOvanes Hadjinyanさんとトルコ人のDenis Barishさんは、握手の世界記録に挑戦すると宣言したのです!

ふたりのチャレンジは、肌を刺すような寒さに包まれた12月6日から始まりました。強い風に加え、雨が降り注ぐ。そんな中、ふたりは多くの人に見守られながらお互いの手を握り続け、12月8日、ついに世界記録となる43時間の握手を達成しました!
 
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その模様はトルコとアルメニアだけでなく、世界11カ国の250社以上のメディアに取り上げられ、400万人以上の人たちが目にすることになりました。

雨風に耐え、手を握り合い笑顔を交わし合うふたりの姿は、トルコとアルメニアの人びとに希望を与えました。そして、その流れを受け、双方の外相が5年ぶりに公の場で握手をすることが実現したのです。
 

TANGO Networkは、今回のキャンペーンについてこう話します。

どんなことも、新しいステップへ足を踏み入れるには大きな心と勇気が必要です。だからこそ、非凡でたぐいまれなステップが、この2つの国には必要でした。

トルコとアルメニア、それぞれの国の人々は、いまの状況を変え親密な関係を築くためにアクションをする心の準備があるということを、このキャンペーンは示すことができました。

いまも世界には国境をめぐる争いが絶えません。しかし、痛ましい過去を乗り越えていくためには、お互いの歴史を見つめ合う勇気と、お互いの文化を認め合う姿勢が大切だと、このふたりの握手は教えてくれるようです。

カンヌ2014の連載は、まだまだ続きます。次回も、お楽しみに!

(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)

writer ライターリスト

丸原 孝紀

丸原 孝紀

greenz シニアライター 1976年京都生まれ。コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。社会課題を解決するアイデアを提案するプランング・ユニット「POZI」のプランナーとしても活動中。

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