ISSUE☆連載 場の発明

1 year ago - 2015.01.21

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賃貸をもっと自由に! カスタマイズ賃貸マンション「CLASKIT」をリリースしたツクルバに聞いた「暮らしをデザインする楽しさ」

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どこに住み、どんな暮らしをつくるのか。本当に必要なものは何か。「暮らしのものさし」は、株式会社SuMiKaと共同で、自分らしい住まいや好きな暮らし方を見つけるためのヒントを提供するインタビュー企画です。

みなさんは、インテリアの本や雑誌を眺めて、「こんな素敵な家に住みたいなぁ…」と想像を膨らませたことはありませんか? 特に海外の家は、壁紙の色がカラフルだったり、扉や棚に個性があったりして、見ているだけでうっとりしてしまいます。

でも、日本の賃貸マンションやアパートは同じような規格の家がほとんど。現状復帰が原則なのでカスタマイズもあまりできないし、そもそもDIYにはそれなりのスキルが必要です。

「こだわりの家に住むなんて、建築家に新築一戸建てをお願いできる一部の人しかできないもの」と諦めている人も多いのではないでしょうか。

それが近い将来、誰でも自分らしくオリジナルな家で暮らせる時代が来るかもしれないのです。

シェアオフィスや飲食店など領域を横断した場づくりを実践するツクルバがプロデュースした「CLASKIT」は、新しい形のカスタマイズ賃貸。壁や床など、カタログから好きなメニューを選ぶと、入居するまでに大工さんが施工してくれます。費用は大家さん持ち。とっても手軽に、自分好みの家が完成するのです。

ツクルバがCLASKITに込めた想いや、実現したいこととは? 代表の中村真広さん、担当の森勇貴さんにお話を伺いました。
 
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右が中村さん、左が森さん。ツクルバは、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する、場の発明カンパニー。会員制シェアードワークプレイスの「co-ba」やイベントプランニングサービスの「365+」、中古住宅の流通を促進する不動産のオンラインマーケット「cowcamo」といった自社事業のほか、空間デザイン・プロデュースを行っています。

壁、床、オプションをカタログから選ぶだけで、世界にひとつだけの家が完成!

まずはCLASKITの仕組みをもう少しご紹介しましょう。CLASKITの賃貸マンションに入居が決まると、カスタマイズポイントが300pt付与されます。この範囲内ならカスタマイズは無料。壁・床・オプションから好きなメニューを組み合わせ、どこに設置するかを決めます。

たとえば壁のメニューは、ランダムに棚をさしこめる「ボーダー」、穴にフックをかけられる「ドット」、レールに棚受けをはめこむ「ガチャ」、1488色の中から好きな色が選べる「ペイント」、海外から輸入された「壁紙」、アーティストが絵を描いてくれる「アート」の6種類。
 
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床のデフォルトは国産のスギ無垢材ですが、白い木肌のヒノキやワリバシを製材する際に出る端材でつくられたタイルに変えることもできます。
 
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オプションも、「サイクルラック」「スピーカー」「ピクチャーレール」「ハンモック」とこだわりを叶えられるラインナップです。
 
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では、300ptの中でどれだけカスタマイズできるのでしょう?

たとえば、500mm×500mmのガチャはひとつ6ポイント。すべてガチャで揃えると、幅12mの巨大本棚をつくることができます。ペイントは20㎡で30ポイント〜、ハンモックはベッドタイプで13ポイント。範囲内でかなり遊ぶことができそうです。

森さん 観葉植物が好きな人なら壁のメニューを駆使して置いたり、アートが好きならピクチャーレールを使って写真や絵画を飾ったり。住む人の好きなものや価値観が現れる家になるんじゃないかと思います。

僕だったら?そうだな、自転車が好きなのでやっぱりサイクルラックを使いたいですね。ドットのフックには自転車の整備に使う工具やヘルメットをかけて。ガチャやボーダーには本を置きます。壁紙もどこか一面に貼りたいなぁ。

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上の写真は施工イメージです。何を選んでどこに設置するかによって、表情ががらりと変わりますね。ボーダーやドットに自分で色を塗ってプチカスタマイズするのも楽しそう! あなただったら、どんな家にしますか?

ここがヘンだよ、日本の賃貸住宅!

ツクルバにとって、CLASKITは初めての住宅案件です。オフィスやお店など多数の人が集まる場づくりを得意とするツクルバですが、住宅を手がけることは念願だったそう。
 
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中村さん 元々、ツクルバには住宅業界出身の人が多いんです。僕もそうだし、共同代表の村上もそう。今回担当した森も、マンションデベロッパー出身です。

co-baが有名になったおかげでありがたいことにオフィス系の仕事がたくさん入ってきましたが、いつか自分たちで理想の住まいを手がけたいなと思っていました。なんといっても、過ごす時間がいちばん長い空間ですから。

CLASKITは新しい形の賃貸マンションですが、中村さんたちは住宅業界にいたとき、既存の住宅環境になにか違和感や疑問を感じていたのでしょうか。

中村さん 違和感は…ありまくりですね。大学時代、僕は建築家の教授のもとで建築学んでいました。建築家が住宅を設計する場合は、住む人の趣味嗜好を聞き、細部までこだわった家づくりをします。でも、そんな風に家をつくろうとするのは一部の人だけ。

より広い層の人と関わりたいと思って大手デベロッパーに入りましたが、そこは真逆。高層マンションに上から下までコピー&ペーストしたかのように同じ部屋が連なっていて、住む人が関与する余地がありません。このふたつの間がないものか、と考えていました。

森さん いざ自分たちが家を借りようと思っても、不満だらけなんですよね。住みたいと思える家が少ないし、絵を飾りたいと思っても壁に穴をあけちゃだめと言われる。そうしたら何もできないじゃん!って(笑)

ふたりとも、「日本の住宅事情に一言もの申してやりたい!」と考えていたそう。そうした不満が、CLASKITの誕生につながりました。
 
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よりたくさんの人に提供できるよう、キットを選んだ

でも、たとえば入居者が自分でDIYをする仕組みや、オーダーメイドでプロにリノベーションしてもらう仕組みもできたはず。なぜ今回は「キット」にしたのでしょうか?

中村さん 昨年、入居者自身が自由にDIYできるオフィス「DIY OFFICE SHIBAURA」をリリースしたんです。幸い入居者は決まったしみなさん楽しくDIYしていたけど、後々聞いてみたら、「楽しいけど、やっぱり大変!」という感想でした。それで、これはもう少しハードルを下げないと一般の人には難しいな、と思ったんです。

逆にオーダーメイドだと、費用が高くなってしまいます。入居者の負担は0で、オーナーの負担も限られた範囲にしておけば、両方ともやりやすいと考えてキット化しました。

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DIY OFFICE SHIBAURAの施工前・施工中・施工後。

森さん 壁紙だけ好きなものを選べるカスタマイズ賃貸は大手の業者もやっています。それよりもう一歩踏み込みたいと思って、壁を飾るボードや床材、ハンモックなど、自分たちが「あったらいいな」と思うものを盛り込みました。

壁紙の柄やペイントの色だけで千種類以上あるので、組み合わせは無限大。迷ってしまいそうですが、迷った分だけ家に愛着が持てそうです。

中村さん 自分が想像した空間ができあがる経験って、建築関係の仕事をしていたらあるかもしれないけど、普通の賃貸暮らしをしていたら中々ないんじゃないかと思います。

面白いですよ! 一度でもそういう経験をしたら、「この一角をちょっとカスタマイズしてみようか」と住まいに手を加えたいという想いが生まれると思うんです。そうやって住まい手のリテラシーが上がるきっかけになるんじゃないかな、と。

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自分の手で暮らし方をデザインするって、どういうこと?

CLASKITが目指したのは、「プラモデル感覚で、誰でも暮らし方をデザインできる」こと。おふたりにとって、「暮らし方をデザインする」って、どういうことなんでしょうか。そう聞くと、「1歩でも2歩でも踏み込んで、暮らしを自分ごとにすること」という答えが返ってきました。

森さん 新築マンションのデベロッパーで営業と商品企画の仕事をしていた頃、家を「既製品」「工業製品」と見なしている人が多いことに驚きました。施工検査のときに、ほんとに小さな壁のキズなんかを、細かくチェックするんですね。

工事現場に足を踏み入れたことがない人が多いからわからないかもしれませんが、施工しているのは人間です。

手仕事だから歪みは絶対に発生するし、木は自然の素材だから伸縮する。暮らしていくうちに、少しずつ汚れたりキズがついたりしていくでしょう。それなのに、100%キズも歪みもない状態が求められてしまう。そこに疑問を抱いていました。

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中村さん 隙間が空いていることに目くじらを立てるよりも、隙間を補修する方法を学んで自分でやるほうが、楽だしかっこいい。ライフスタイルを追求するのもいいけど、それに伴ってライフスキルをあげていこうぜって言いたいです。

確かに、自分が手を加える余地のない賃貸住宅に長く暮らしていると、少しずつ「家は提供されるもの」で、住まい手は「用意された箱に住むだけ」という感覚になってきます。

自分で壁や床を選びカスタマイズできるCLASKITは、「自分らしい暮らしを自分でつくる」という意識を取り戻すひとつのきっかけになるかもしれません。

森さん ツクルバに入って、暮らしを楽しんでいる人たちと出会うようになりました。青木純さんの取り組みとか、「こんなに面白い暮らしってあるんだ!」って感銘を受けて。

そういったものが新しいスタンダードになっていけばいいけど、まだまだ一般の人にはハードルが高い状態じゃないでしょうか。CLASKITを通して、その裾野を広げることができたら、と考えています。

中村さん 好きな服を着たり好きな文房具を持っていたりすると、気分があがりますよね。住まいはその最たるもの。

自分が好きなものに囲まれて暮らしていると単純に幸せだし、人を呼びたくなる。プライベートな場である家が、どんどん開かれた場になっていったら、面白いですよね。ツクルバではこれからも、居心地が良い、人を呼びたくなる場をつくっていきたいと思います。

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おふたりの話を聞いていて、日本の住環境は、もっと自由に、もっと多様化していくんだろうなと思いました。

CLASKIT住宅はまだ一棟だけですが、これからどんどん増やしていく予定だそう。「賃貸アパートやマンションでも、DIYのスキルがなくても、自分好みの家に住める」ことが当たり前になったら、素敵ですよね。日本の借家率は約3.5割と決して少なくないので、たくさんの人に影響を与えそうです。

第一弾の「CLASKIT nerima」(練馬区桜台)は、今月末に内覧会を開催予定。それぞれ間取りが違う5部屋が借り主を募集しています。「見学だけでも大歓迎!」だそうなので、ご興味がある人は、訪れてみてはいかがでしょうか。
 
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1/31(土)、2/1(日)完全予約制現地内覧会受付中!
CLASKIT nerima

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hidaemi

hidaemi

greenz.jpエディター/ライター 1984年2月29日生まれ。茨城出身、神奈川在住。 「地域」「自然」「生きかた・働きかた」をテーマに、書くことや企画することを生業としています。虹を見つけて指さすように、この世界の素敵なものを紹介したい。 HP:http://www.cotohogu.com/ blog:http://himaemi.blog.jp/ twitter:@emi229「東北マニュファクチュール・ストーリー」というサイトを、一般社団法人つむぎやと一緒に運営しています。 ・日本橋のシェアオフィスにて、気ままなごはん会「6階食堂パルプンテ」を開催。日によって美味しさにばらつきがある、適当な会です。

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これまで、家づくりと年収は切っても切れない関係でした。 住みたい家に住めるのは特別な人たちだけ、そんな思い込みをなくして、好きに思い描いて、こだわり続けて暮らす。 SuMiKaは、自分にフィットする暮らしを応援したいと考えています。 どこに住み、どんな暮らしをつくるのか。 本当に必要なものは何か。 自分にフィットする「暮らしのものさし」を、探してみませんか? ⇒ https://sumika.me

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