ISSUE ソーシャルグッド

1 year ago - 2015.01.18

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入場料は「ロン毛」! メタルファンの髪で、がんと闘う子どもたちのウィッグをつくるライブイベント「HAIRFEST」

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世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions2014」では2014年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、メキシコの事例です。

がん治療の辛さは、体の痛みだけではありません。抗がん剤で髪の毛が抜けることは、心理的に大きなショックをもたらします。特に見た目の変化に敏感な子どもたちにとっては、脱毛は深刻な問題。友だちなどからの目が気になって、自信をなくしてしまう子どもも少なくありません。

しかし、脱毛をカバーする自然なウィッグをつくるには、たくさんのお金が必要です。

経済的に恵まれないがん闘病中の子どもたちにも、ウィッグを届けたい。そして、がんと闘う自信を取り戻してほしい。そんな思いで、メキシコの子どもがん患者支援団体「カサ・デ・ラ・アミスタッド(友情の家、という意味)」は、驚くような作戦を企てました。

それは、メタルバンドのライブイベントの実施。「HAIRFEST」と銘打たれたそのフェスの入場料は、なんと「髪の毛」です! 25センチ以上の髪の毛を寄付した人は、無料でフェスに入場ができるようにし、ウィッグの材料を集めたのです。
 
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子どもたちのために、9つのメタルバンドが結集!

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メタルファン自慢の長髪を、その場で大胆にカット

ふつう長い髪の毛をたくさん集めるのは大変ですが、メタルファンは長髪が多いので、一発で大量に集めることができるそう。

寄付する髪の毛の条件は、長さだけではありません。髪を染めていないこと、きちんとトリートメントされていることも条件となっていました。そして、寄付ができない人は、70ドルを団体に寄付することで参加できます。
 
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HAIRFESTには、メキシコを拠点に活動する9つのバンドが協力。そのなかには、自ら髪の毛を寄付したメンバーもいたそうです。

9つのバンドによるメタルフェスに、髪の毛を寄付することでタダで参加できる。しかもそれが、子どもたちの笑顔につながる。そんな熱いフェスにメタルファンは殺到し、たった2時間で満員御礼に! バンドはその勢いに乗って、8時間もの熱いライブを繰り広げました。
 
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メタルファンの髪の毛が、子どもたち一人一人にぴったりのウィッグに

この一日開催されたHAIRFESTによって、通常団体が一年かけて集めるくらいの量だといわれるウィッグ107個ぶん、お金に換算すると16万ドルもの価値がある毛髪が、一気に集まりました。さらにソーシャルメディア上で900万件以上情報がシェアされ、小児がんへの注目も高まることに。
 

これまで毛髪の寄付といえば、女性を対象にしたものがほとんどでした。

そこで「長髪といえば…」と発想を広げ、かつ子どもに贈る髪をヘヴィーメタルというハードな音楽ジャンルのファンから集めるという意外なイベントにまで飛躍させる。

企画から実施まで、まさに常識を超えるフェスですが、課題が大きければ大きいほど大胆なアイデアが必要なのかもしれません。

カンヌ2014の連載は、まだまだ続きます。次回も、お楽しみに!

(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)

病で髪を失った子どもの笑顔をウィッグで取り戻す!
「Japan Hair Donation & Charity」

writer ライターリスト

丸原 孝紀

丸原 孝紀

greenz シニアライター 1976年京都生まれ。コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。社会課題を解決するアイデアを提案するプランング・ユニット「POZI」のプランナーとしても活動中。

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