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誰にだってきれいになる権利はある! サンフランシスコ発、ホームレスのためのシャワー付きバス「Lava Mae」

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シャワーを浴びて一日の汚れを洗い流すと、身も心もすっきりして「また明日からがんばろう!」という気持ちになれませんか?

反対に、忙しくて身だしなみを整えられずに家を出てしまった朝は、「誰にも会いたくないな…」なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

今回ご紹介する「Lava Mae」は、「サンフランシスコのホームレスに身だしなみを整えることで、心機一転、新しい一歩を踏み出してもらいたい!」という思いで生まれたプロジェクトです。
 
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Lava Maeはスペイン語でWash Meという意味

Lava Mae発起人のDonieceさん(以下、ドニースさん)が、ホームレスたちの新たな一歩をサポートするために始めたのは、バスを利用した移動式シャワー。身だしなみを整えて、職探しやコミュニティの仲間入りを進めてほしいという思いが込められています。

Lave Maeのホームページによると、サンフランシスコにはホームレスが7350人もいて、そのうちの半分が路上で生活しているそう。そして、その数は年々増加しているといいます。しかし、彼らが使えるシャワーの数は8つのみ…

そこでドニースさんが考えだしたのが、バスを使った移動式シャワーシステムでした。バスをつかうことで、ランニングコストを低く抑えることができるだけでなく、サンフランシスコ市内の約120km2という広い面積(ほぼ山手線の内側の面積と同じ位)に分散して暮らしているホームレスの人々に、まんべんなく使ってもらうこともできます。

このアイデアを思いついたドニースさんはバス会社に直談判して、使われなくなった公共バスを寄付してもらいました。そして様々なクリエイターたちの手を借りながら、シャワー付きバスへとよみがえらせたのです。バスの運転手もボランティアで成り立たせているのだそう。
 
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バス内部。バスの中にはシャワーだけでなく、トイレやタオルも常備されています。2014年6月からプロジェクトが開始され、500回ものシャワーを提供してきました。

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バスの外観

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設計図

Lava Maeでは2台目のバスをつくるべく、昨年10月にはクラウドファンディングに挑戦。見事に成功し、約460人に支持され、2か月ほどで5万ドルの目標を達成しました。今後この資金を使って、ソーラーパネルや水の循環装置を取り付けた、よりサステナブルなバスをつくる予定です。

さらにサンフランシスコを飛び出し、サンパウロ・シンガポール・アトランタ・ロサンゼルスにもこのバスを広めていく計画も立てているのだとか。
 
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クラウドファンディング以外にも、たくさんのサポーターがいます。

実際にこのバスを利用しているSilas(以下、シラスさん)は、末期の肝臓ガンを患っています。服用している薬の副作用で敏感肌になってしまった彼にとっては、清潔さを保てるということが生きがいになり、毎週末楽しみにしていると話しています。
 
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シラスさん

もともとユニークな方法で問題を解決することが得意だったという、発起人のDonieceさん。あるとき、道端で出会ったホームレスの若い女性が、身だしなみを整える余裕もなく泣いている姿を見て、

誰だってきれいになる権利を持っているんだ。

彼らが威厳と自信を取り戻すきっかけをつくりたい!

という思いを抱き、このプロジェクトを始めたそうです。
 
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発起人のドニースさん

「誰でも同じように、きれいになる権利を持っている」というドニースさんの思いは、サンフランシスコだけでなく、全世界すべての都市に当てはまるのではないでしょうか。2020年の東京オリンピックに向けて、日本でも様々な立場の人が共に生きていけるまちづくりを進めていきたいですね。
 

[via lavamae,indiegogo,psfk,psfk2,autoevolution]

(企画 / text: 吉岡遥菜)