ISSUE まちづくり

1 year ago - 2014.11.16

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“地方で暮らす”を実現させるために必要なことってなに? “移住”についてのアイデアを分かち合う「移住フェス」[イベントレポート]

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『移住フェス』の運営メンバーとゲスト。みんな集まって、笑顔でパチリ!

みなさんは「ここではないどこかで暮らしたい」と考えたことはありませんか。もしかしたら、その思いを実現させる方法をすでに考えはじめている方もいらっしゃるかもしれません。

2014年9月28日、後楽園にあるサイボウズ株式会社で開催されたのは、“移住”という選択肢を考えるイベント「移住フェス」。

「暮らしたい場所で暮らすライフスタイルを手に入れるにはどうすればいいの?」移住に関心のある約100人の参加者が集まり、そんなテーマについて語り合いました。

“移住”に関心を持っている人はたくさんいる

移住フェスを主催したのは、代表を勤める東信史さんを中心としたプロジェクトチーム「エリアル」です。エリアルは、ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会が2013年に主催した「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」から誕生しています。
 
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東信史さん 今日は20人くらいが集まって、移住についていろいろ話せればいいなというくらいに思っていたのですが、これだけたくさんの人が集まってくれたことに驚いています。

たくさんの参加者を前にそのような感想を語った、東さん。地方や地方への移住について関心を持っている人がこれだけたくさんいることに驚きつつも、テーマの設定に大きな手ごたえを感じているようでした。
 
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エリアル、東さんのオープニングトークで、明るいフェスがスタート!

エリアルの取り組みの目的は、都心に暮らす人が地方で暮らそうと思ったときに、移住についての情報が適切に届けられるプラットフォームを整えること。そのビジョンは、国も課題として掲げるようになった東京への一極集中、地方の復興にぴったりはまります。

イベントに集まった人々の数は、このテーマについていかに関心を持っている層が多いかを、改めて浮き彫りにした形となりました。

全国各地から“移住”へのヒントを持った団体が集結

また、今回移住フェスを展開するにあたり、“移住”というキーワードが絡みそうな多数の協力団体が参加しました。

参加団体は、京都移住計画NPO法人 東北開墾NPO法人 グリーンバード四国若者1000人会議小布施若者会議広島Shake Handsなど。どの団体も、地方を盛り上げよう、地方への移住を提案しようと活動されています。

イベントの開始にあたり、エリアルを筆頭に、それぞれの団体の活動内容についてプレゼンテーションが行われました。
 
エリアル

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東信史さん エリアルは新しい移住のスタイルを考えたいと思っています。地方には地方暮らしを楽しんでいる人がいて、都会には地方の暮らしのリアルを知りたいと思っている人がいる。双方をつなげるプラットフォームをつくり、一人ひとりが暮らしたい場所で暮らせるライフスタイルをつくりたいです。

四国若者1000人会議
 
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岡紗也華さん 2013年の夏にできたばかりの団体です。四国若者1000人会議は、3つの“場”を提供しています。ひとつは四国の若者が気軽に集まれる“場”、もうひとつはたくさんの人が四国のヒトやモノに触れられる“場”、最後は田舎と関わりながら生きる方法を若者に伝えていく“場”。四国の魅力をたくさんの人に届けたいと思っています。

京都移住計画
 
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タナカユウヤさん 京都移住計画は、京都に移住したいと考えている人のサポートを行っています。主な活動は情報発信とコミュニティ支援です。生きるために必要な“衣食住”ではなく、暮らすために必要な“居職住”をテーマに、京都で暮らしたい人に向けて、居場所や仕事、コミュニティなどの提案を行っています。

小布施若者会議
 
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大徳孝幸さん 株式会社リクルート じゃらんリサーチセンターから、長野県小布施町の町役場に2年間出向しています。小布施町は長野県で一番小さいながら、とてもユニークな町なんです。

住民参加によりその自然あふれる魅力を守り続けている小布施町。町長もとってもオープンで、いつ行っても気軽に飲み会を開いてくれますよ(笑)。こんな小布施町について、たくさんの人に知ってもらいたいです。

NPO法人 東北開墾
 
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高橋和氣さん 食べ物がついた『東北食べる通信』という雑誌を月額1980円で発行しています。情報誌がメインで食べ物がおまけというイメージです。

食べることが価値として消費されるだけでなく、生産者の顔が見える情報も届けたいと思っています。この『食べる通信』はシリーズとなり、『東松島食べる通信』、『四国食べる通信』なども誕生しています。

日本全国の食に携わる人と都会の人をつないで、ダイナミックなムーブメントをつくりたいと思っています。

加生健太朗さん

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加生さん こんにちは。加生健太朗と申します。いろいろな活動をしているのですが、今日は「NPO法人 グリーンバード」の名刺を持っていますので、グリーンバードと名乗らせていただきます。

僕は福岡県の生まれですが、15歳で東京に出てきて、そして東京で社会人になりました。そして震災後に、地元にUターンしたというケースです。結果的に、僕のUターンは失敗しました。そんな僕の立場からは、地方で暮らすことの難しさなどについてお話したいと思います。

各団体の紹介のあとは、それぞれの団体がブースをつくり、興味を持った人を交えた対話をスタート。さらに、Googleハングアウトで地方に住む人々とつないで、地方で暮らすために必要なことについて情報交換も行いました。
 
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それぞれのブースで、リアルに、あるいは映像で現地とつないで、情報交流を行いました

本気で地方に住むことを考えているから話し合いも白熱!

今回移住フェスのファシリテーションを担当したのは、株式会社フューチャーセッションズの上井雄太さん。フューチャーセッションズは、チーム「エリアル」が誕生した「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」の設計も行っており、その流れからこのイベントは実現しました。
 
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フューチャーセッションズの上井さん

都会と地方を結ぶ情報交流は、時間を追うごとにどんどん活発に。上井さんもその盛り上がりを感じて、話し合いがさらに深まるよう、セッションの内容を変更しながら場を整えていきます。

2014年9月に「地方創生」を重点政策に掲げた第2次安倍改造内閣が始動しましたが、今回の移住フェスでは、都会に住む人たちの多くが、地方で暮らす方法を本心から模索していく様子がよりリアルに感じられました。

対話の中から生まれた“移住”についての気づきを共有

いよいよ時間が差し迫って、各団体での対話が終わると、“移住”についてどのような気づきがあったのかを共有するワークショップへ。ブースごとに気づきを3つ発表。そのなかにはこういった意見がありました。
 
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ワークショップではグループを入れ変えながら気づきを共有

「同じ四国でも地域が違うとまったく異なる暮らし方があった」
「地域が移住を促進したいなら情報発信が鍵になる。その際、誰に知ってほしいのかを明確にしておいたほうがいい」
 
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気づいたことなどをどんどん付箋に書き出していく

「移住が人を幸せにするわけではない」
「具体的な情報が提供されると、そのまちで暮らすイメージにリアリティが持てる」
「移住先でコミュニティに交わり仕事を手にするには、移住者からの働きかけも大切」
 
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再びブースで集まったメンバーに戻って気づきを分かち合いました

移住に対して漠然としたイメージを持っていた参加者も、これらの情報交流やワークショップを経て、移住への憧れや課題がより明確になったようでした。

“移住”がもっと身近な選択肢になる未来に向かって

イベントの締めくくりに、フューチャーセッションズの野村恭彦さん、サイボウズの椋田亜砂美さん、そしてエリアルの東信史さんから、イベントを振り返っての総評がありました。

野村恭彦さん 私は京都移住計画のブースにいたのですが、交流のなかで、京都移住計画の田中さんがおっしゃった『それぞれが生きたい場所で生きることをサポートしたい』という言葉にグッときました。

“移住”と聞くと、この東京一極の状況を変えようという方向になるかと思ったのですが、そうではないことに気づきました。

いろんな場所に行って、暮らしてみて、そこで自分らしい暮らしを見つけることが大切なんじゃないかと思ったのです。そのためには、地域の情報が必要であり、こういったイベントの場も大切です。今後もこのような場があれば、ぜひ参加していきたいと思います。

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野村恭彦さん

椋田亜砂美さん 雑誌でもテレビ番組でも地方が脚光を浴びるようなコンテンツが人気を集めています。わたしも地方出身者なので、こうやって東京で仕事をしながらも、ときには田舎に戻って暮らすことを想像することがあります。

やっぱり難しいかもと感じる点も多いのですが、地方で暮らしたいと考える人がいるなら、ぜひ応援したいと思っています。

今日感じたのは、移住したいと思っている人は移住先でなにかをはじめたいと思っている人が多いということ。その実現には今日のような横のつながりがどんどんつくることが大事なのではないでしょうか。

20年、30年後に、“移住”がひとつの選択肢になるよう、この『移住フェス』の活動を今後も支援していきたいと思います。

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椋田亜砂美さん

東信史さん 今日はたくさんの人にゲストに来ていただきました。でも、よく考えてみたら参加してくださったみなさんも移住先で何かをはじめたい人が多いわけですから、今後はみなさんもこういった場のゲストになりうるのだなと気づいて少し驚いています。

“移住”は必ずしも幸せを運んでくるものではありません。だから、移住が増えればいいと考えているわけではないんです。ただ、僕らはみなさんが、行きたい場所に行き、暮らしたいように暮らせるようになったらいいなと思っています。それを実現するためにも、みんながつながりあっていけるといいですね。

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東信史さん

「そこに移住するときには、どんなことを心掛ければいいの?」「どんなコミュニティがあったり、どんな仕事があったりするの?」「もとからいる住人に溶け込むには、どうすればいいの?」

移住を考えたら、そういえば、現地の人に聞いてみたいことがたくさん思い浮かびました。移住とは、自分らしいライフスタイルを実現するための方法のひとつであり、その実現のためには、まずは知ることが大切。エリアルが主催した移住フェスでは、皆がそんな気づきを共有しました。

東さんは「今日の『移住フェス』はvol.0です。これから、どんどん広がってほしいという意味を込めて、vol.0としたいと思います」と話します。

地方で暮らすことに興味がある人は、今後の「移住フェス」の動きに注目ですね。みなさんも次回のイベントに、参加してみてください!

ローンなし、煩わしいことなし。住まいを小さくして自由に生きよう!
「未来住まい方会議」YADOKARI×鈴木菜央による、場所・時間・お金に縛られない暮らしかた

writer ライターリスト

井上 晶夫

greenz ライター フリーランスのエディター&ライター。編集プロダクションや出版社を経てフリーランスとして活動開始。企業コンテンツや雑誌、ウェブの記事などを手がける。今、テーマとしているのは“対話”。

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