ISSUE ダイバーシティ

1 year ago - 2014.09.08

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まずは強い希望を持てるような体験を!「LGBT Youth Japan」が企画するニューヨーク・スタディツアーとは?


Creative Commons: Some rights reserved by Quinn Dombrowski

インターネットがあれば、どこにいても自分の調べたいことは調べられる。そんな風に感じている人も多いかもしれません。しかし、ことLGBTに関してはそうとも言えないのが現状です。

こんなにたくさんの情報がインターネットにある時代になっても、地方に住む性的マイノリティーの人たちに情報を届けるのは難しいのかもしれません。なぜなら、インターネットは検索をしないと情報にたどり着けないものだから。

と語るのは、LGBT(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー)の抱える問題解決を、率先的に解決しようとする人を育てる団体「LGBT Youth Japan」を立ち上げた山田さんです。

今回は、LGBTが抱える様々な問題に焦点を当てる「スタディー・ツアー」のお話を中心に、社会問題に取り組む人材を育てるためのヒントを伺いました。
 

LGBT Youth Japanのボランティアメンバーとツアー参加者

人とのリアルな交流の大切さを知って生まれた活動

高校時代、自分は人と違うのではないかと感じて悩み、おぼろげながら知った「レズビアン」という言葉。親に隠れてガラケーで検索してみても、怪しげなアダルトサイトが出てくるばかり…

何を切り口に調べてゆけばいいのかわからない状態で、私はちっとも自己肯定感を持てませんでした。人と違うから親不孝だと感じ、自分自身で自分を差別しているような感覚を持っていました。

切り口のヒントをくれるのは、きっと周りの人たち。都心であれば、当事者団体から情報を得ることができるかもしれませんが、地方だとおおっぴらに活動していないため、そこまでたどりつけなかったそう。
 

Creative Commons: Some rights reserved by Caitlin Childs

大学進学とともに上京し、次第にレズビアンに対する正しい情報を得るようになってはいたものの、相変わらず自己肯定感や未来への希望を持てずにいた山田さん。転機が訪れたのは、2011年にアメリカ留学したときのことでした。そこで、子育てをしているゲイのカップルに出会ったのです。

それまでの私は、自分が将来子どもを持てると想像することすらできなかったし、セクシュアリティを人に言えないと頑なに思い込んでいました。自分自身を差別する気持ちは、情報を得ただけでは変わらなかったんです。

でも、ゲイのカップルの子育ての話や、そういう環境を勝ちとってきた人々の話を聞くことで、「あれ、もしかしたら私にもできるかもしれない」と信じられるようになりました。

LGBTの問題を考えていきたい人に、こういった強い希望が持てるような体験をしてほしい。そんな想いは強くなり、世界で活躍する人材を育てる「S.T.E.P.22」という団体の支援を受けながら、2013年にLGBT Youth Japanを設立します。

「LGBTの問題を解決したい人」を育てる

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2013年のスタディー・ツアーの様子

一口に”LGBT”といっても、抱える問題はさまざまあります。多くの人は「カミングアウトできない状況」や「家庭、学校、職場で何となく差別する雰囲気が蔓延し、『自分の居場所がない』と感じる状況」、「法的制度が整わないため、事実婚も認められない状況」などの問題を想像するかもしれません。

しかし現実はもっと複雑です。レズビアンでも子供のいる人といない人、仕事のある人とない人では抱える問題が違います。トランスジェンダーかつ同性愛(身体的には異性愛、精心的には同性愛)といった具合に複合的に考えなくてはならない場合もあります。

そこで、山田さんは問題解決に取り組む団体ではなく、問題に取り組む人材を育成する団体をつくることにしました。

たとえば自分の仕事の中で、LGBTを意識して考え、行動し、周りにちょっとした影響を与えるような人が出てきてほしいと思っています。そういう人が増えれば、インターネットにアクセスできないような人にも情報を届けることができるようになります。

最先端の地、ニューヨークへ!スタディー・ツアーの内容とは?

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スタディー・ツアー事前準備の様子

そこで、LGBT Youth Japanが取り組んでいるのが、LGBT支援体制を学び、日本の未来を考えていく人材を育てることを目的としたスタディーツアーです。

LGBT関連団体が300カ所以上あるニューヨークを訪ね、現地のNPOや企業の人と対話し、自分たちの未来像を考えます。また、NPOから資金集めの方法を聞いたり、どのように社会を動かしていくかというアドボカシーの手法を学んだりも。

事前研修から渡航中のディスカッション、渡航後の報告会までの約4ヶ月間、スタッフと参加者は日本の現状と海外の現状・取り組みを学び、考えていきます。
 
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ツアー後の事後報告会の様子

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2013年のスタディーツアーでの一コマ

2013年のスタディーツアーで訪問したのは、LGBT支援NGOが附属されたニューヨーク市立高校や、LGBT支援団体を母体とした老人ホーム、LGBTの子を持つ親を支援する団体、LGBT当事者の社員を福利厚生などの面で支援する企業など。

また、先進的な制度を学ぶだけではなく、明るい未来を信じられる体験をすることも目的としているため、レズビアンカップルの家庭に行って、カップルの子供で14歳の少女の話も聞いたそう。

その子は中国からレズビアンカップルが迎えた養子だったのですが、参加者の一人が彼女に「あなたにとって家族とは何ですか」と質問したんです。すると、彼女は「家族というのは、血縁とか戸籍だとかは関係なくて、一緒に生きていきたいと思う気持ちでてきた集まり」と答えてくれたんですね。

それを聞いて私たちはみんな涙を流しましたし、アメリカで学んだことを生かして、日本で自分たちなりの未来をつくっていきたいと強く思いました。

こういった経験をした参加者は、どんな感想を持ち、その後どのような取り組みをしているのでしょうか。

昨年のツアーには4人のスタッフと4人のメンバー、総勢8人が事前研修から事後報告会まで関わりましたが、一様に口にしていたのは「非常に刺激的だった」ということと、「日本にも仲間がいるんだという実感を守ることができた」ということ。

ツアー中の毎日のディスカッションの時間で、それぞれのバックグラウンドや経験から自由な意見が出てきて、活発な議論が生まれたのだそうです。
 
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2013年のスタディー・ツアーに参加したメンバー

参加者のうちの2人は、もともと関西圏の大学のLGBT団体の代表をしています。ツアーを通して勇気をもらった二人は、一緒に中高生向けのスタディー・ツアーをつくりたいと意気投合。「Plantseeds(プランシーズ)」という団体を結成し、活動を広げています。

また、企業のなかからLGBTの取り組みをしようと奮闘したり、国レベルで政策を議論するための方法を考えたり、それぞれの現場で試行錯誤は続いています。

2014年度のスタディーツアーは?

2014年度のスタディーツアーはこの9月に出発を予定しています。「”誰もが多様性を認め合い、自己肯定感を持って生きられる社会”を実現したいと少しでも思われるなら、その想いをツアーに参加する若者に託していただけませんか?」と呼びかけ、クラウドファンディングで約26万円を集めることに成功しました。

テーマは下記の8つで、10日間の研修で毎日1テーマについて関連団体を複数訪問し、その後のディスカッションで考えを深めていくとのこと。

・教育現場でのLGBT、若者支援
・LGBTの老後
・アライ(LGBTについて正しい知識と理解をもち、支援する異性愛者)とLGBTの関わり
・LGBTの家族〜結婚・出産・子育て〜
・保健(HIV/AIDS)及び医療を考える
・ダブルマイノリティーを考える(例:移民×LGBT)
・トランスジェンダー

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ツアーには当事者だけでなく異性愛者の人も参加します。スタッフの一人で、実際に今年参加する予定の小阪さんは、アライ(LGBTについて正しい知識と理解をもち、支援する異性愛者)で、「異性愛者だからこそできることをやっていきたい」とLGBT Youth Japanに関わっています。

LGBTを取り巻く環境を変え、社会を変えていくには、それぞれの立場で”自分ごと”として考える人が育つことが大事。セクシャリティに関係なく誰もが自分らしく生きられる社会を実現するために、世界に学びにいく若者たちをぜひ応援してください。

LGBT Youth Japanについてもっと知ろう!
LGBT Youth Japanのホームページ

writer ライターリスト

FelixSayaka

greenz ライター フェリックスさやか。大学院卒業後、小学校非常勤講師を経て教育系出版社に編集者として勤務。退職後、フリーランスで執筆活動を行う。在職中から外国人向けテニススクールの運営を手伝い、「地球人としての日本人のありかた」「日本人の国際人教育」について興味を持つ。 Twitter:@SayakaFelix

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