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分断された南アフリカを、デザインの力で再構築する。ケープタウンで始まった「World Design Capital 2014」に注目! [Designing South Africa]

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Designing South Africa」は、南アフリカを”デザイン”という切り口でのぞいてみる、ライターインターンの大久保咲希のマイ企画です。ネガティブなイメージを持ちがちなアフリカのことが、少しちがって見えてくると嬉しいです。

「南アフリカ」と聞いて、みなさんはどんなイメージを持ちますか。アフリカという響きに、「まずしい」「かわいそう」というネガティブなワードを連想する方もいるかもしれません。

4年前のワールドカップも記憶に新しいですが、今や南アフリカはアフリカ大陸の経済大国として、急速に発展が進んでいる国のひとつ。そして今年ケープタウンで、デザインで社会を変えようとする動きが始まっています。

南アフリカの悲しい歴史であるアパルトヘイトの撤廃後、人種の区別なく行われたはじめての選挙から今年で20年。今なお、格差の問題、社会の不安定さなど問題はありながらも、この節目の年に新たな一歩を踏み出しているのです。

ケープタウンをデザインでより良い街へ

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ケープタウンで今年1月から始まっているのが、「World Design Capital 2014(以下WDC2014)」です。デザインを通じて社会をよりよいものにすべく、「Live Design Transforming Life」というスローガンを掲げ、様々なプロジェクトに取り組んでいます。
 
World Design Capital」は都市振興プロジェクトの一環として行われていて、国際インダストリアルデザイン団体協議会によって2年に一度、一都市が選ばれます。これまでトリノ、ソウル、ヘルシンキなどが選ばれ、2年後には台北がWDCとなることが決定しています。
 
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カウントダウンセレモニーの様子

今回掲げられたスローガンは次の4つです。

1. アフリカンイノベーション。世界との対話をー世界と対話するアフリカのデザイン
2. 分裂の橋渡しーわたしたちの街を再びつなぎ、コミュニティーを和解させるデザイン
3. 今日は明日のためにー人々と地球のための持続可能な解決策
4. うつくしい場所、うつくしいモノー建築、インテリア、フード、ファッション、ジュエリー、クラフト、アートのインスパイア。

それらのテーマのもとに、なんと460ものプロジェクトが展開されていく予定です。
 
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Table Mountain Frames

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FoodPods

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Nino’s Mourning Toolbox

例えば、街の美しい自然を見直すきっかけをつくる「Table Mountain Frames」や、貧しい人たちのための農業ビジネス「FoodPods」、子どもたちとその親が愛する人の死を乗り越えるためのツール「Nino’s Mourning Toolbox」などなど魅力的なものばかり!

今回の連載では、それらをひとつひとつ連載でご紹介していく予定です。
 
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WDCへの想い

わたしたちは、たった一年で大きな変化が起こるとは思っていません。しかしそれは大きな契機となり、2015年以降の真の意味でのチェンジにつながっていくはずです。

こう語るのは、運営メンバーのリチャード・ヘルスさん。また「これまでの3都市はどれも先進国だったけれど、ケープタウンは違う。発展途上だからこそ、より前に進むためにはデザインをどのように使うのか、そこに重点を置きたい」とも。

もうひとり、運営メンバーのアレイン・リースバーグさんもこう言います。

私たちが重視するのは、社会的にも精神的にも一度分断してしまったケープタウンを、デザインの力でひとつにつなぎ合わせ、一体感を持たせつつ再構築をしていくことです。単なる一時しのぎでなく、ずっと持続していくようなプロジェクトこそ求められています。

人種差別や貧困の歴史を乗り越えつつある南アフリカで、デザインはどんな貢献ができるのか。南アフリカの新たな動きを紹介する今後の記事を、どうぞお楽しみに!
 

[via Cape Town Magazine/LEXUS/World Design Capital Cape Town 2014/Cape Town 2014]
(text:大久保咲希)